犬の肉球について
犬の肉球は毛で覆われておらずプニプニとした感触で、身体の中でも特徴的な部位ですよね。そもそも肉球とはどんな部位なのでしょうか?
肉球ってどんな部位?
肉球の内側は弾性繊維や脂肪などで構成されており、触るとプニプニとした弾力を感じます。この弾力性によって、歩いたり走ったりする時にかかる衝撃を吸収するクッションのような役割があります。
一方、地面に面する外側は内側よりも角質層が厚くなっており、地面との摩擦によってしっかりと歩いたり走ったりすることができるほか、しっかりと地を踏みしめるブレーキの役目も担っています。
肉球の「触覚」も大事な情報
犬は優れた嗅覚や聴覚によって周囲を観察していますが、それに加えて肉球が地面を触る感覚も犬にとって大切な情報となります。
たとえば犬がトイレシートを「トイレする場所」と覚えるのは、自分のトイレのニオイに加えて"トイレシートを踏む感覚"で覚えていることが多いです。
私の愛犬は盲目なのですが、薄いフロアシートのたった数ミリの段差にも敏感に反応して怪訝な表情になることがあります。そのくらい肉球の触覚は大切な情報源なのです。
肉球が傷む原因
1.季節性の乾燥
冬は空気が乾燥しますので、肉球も乾燥しやすい季節です。また、冬だけではなく夏も肉球の乾燥に気を付けたい季節です。夏場は湿度が高い日も多いため意外に思えますが、犬は肉球から汗をかきますので、汗の水分が蒸発する際に乾燥しやすいのです。
2.アスファルトでの散歩
硬くザラザラとしたアスファルトでお散歩を繰り返していると、肉球の表面の角質化が進むため硬くなりやすいです。また、夏場の熱いアスファルトを歩くと肉球の水分が蒸発しやすくなります。
弱った肉球で熱いアスファルトを歩くと、さらに治りが悪くなったり火傷を負う恐れもありますので注意が必要です。
3.アルコールや洗剤での乾燥
お散歩の後に足の裏を拭いたり洗ったりしますが、拭き過ぎや洗い過ぎも肉球を乾燥させてしまうため注意が必要です。アルコール含有のシートやシャンプーなどは、肉球の水分や油分を過剰に除去してしまいやすいです。
4.アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の症状が足の裏に出た場合、肉球が硬くなったりゴワついたりする「苔癬化(たいせんか)」が見られることもあります。
5.老化現象
老化現象によって新陳代謝の機能が低下すると、肉球の水分量が減って乾燥しやすくなります。老化は致し方ない自然現象ですので、シニア期に入ったら内臓や関節のケアと共に肉球のケアにも意識を向けてみましょう。
肉球ケアの方法
肉球は治りにくい部位
肉球は歩く時に絶対的に使う部位のため、ダメージを負ってしまうと治りが悪い部位です。
乾燥して硬くなってしまうとひび割れて痛みが生じたり、その傷口から細菌感染を起こす恐れもあります。ダメージが深刻になる前に、肉球のケアを始めてみましょう。
肉球専用の保湿剤を塗る
犬は身体を舐めるため、口に入っても安全性の高い「肉球専用」の保湿剤を使用してあげましょう。保湿剤にはクリーム、ジェル、ローションなどざまざまなタイプがありますので、愛犬の肉球に合う商品を見つけてあげてください。
保湿剤を塗る前には土や泥の汚れを除去し、足裏の毛が伸びている場合はカットしてから保湿をしてあげましょう。
長時間硬い地面を歩かないようにする
肉球のためには、できれば長時間アスファルトのように硬い道を歩くのを避けることがベストです。しかし、今や道という道はほとんどアスファルトになっているため、なかなか「アスファルト以外の道」を探すのは難しいかもしれません。お散歩の後の保湿ケアをしっかり行ってリカバーしてあげましょう。
ひび割れが悪化した時には靴を履かせるのも◎
すでに肉球のダメージがあってひび割れなどがひどい場合には、お散歩の際に犬用の靴を履かせてあげるのも1つの方法です。靴に慣れていないと最初は不快感によってうまく歩けないこともありますので、室内で少しずつ靴に慣れておく必要があります。
靴を履かせると足が蒸れやすくなるので、長時間の着用は避け脱いだ後には汗を拭き、その後で保湿ケアをしてあげるようにしましょう。傷口がある場合はローションが染みるかもしれませんので、クリームやミツロウのような水分が少ないタイプの保湿剤が良いかもしれません。
まとめ
ついつい触りたくなってしまう愛犬の肉球ですが、触った時にガサガサしていたりひび割れていたりした時には要注意です。
犬の肉球が硬くなってしまう原因は
- 季節性の乾燥
- アスファルトでの散歩
- アルコールや洗剤での乾燥
- アトピー性皮膚炎
- 老化現象
の5つが考えられます。
その多くが「肉球の乾燥」が原因となっていますので、肉球専用の保湿剤を塗ってケアしてあげる方法が効果的です。アトピー性皮膚炎など皮膚トラブルによる原因の場合は、症状を悪化させないために保湿剤の使用について獣医師に相談すると安心です。
肉球が乾燥しすぎてひび割れてしまうと、その傷口から細菌感染してしまう恐れもあります。ひび割れている状態だと歩く時に痛みも生じますので、ダメージを受ける前に肉球ケアで愛犬の可愛い肉球を守ってあげましょう。
みなさんもぜひ、お散歩後に足の裏を洗ったり拭いたりした後には保湿のケアをプラスしてみてください。