過度な触れ合いとは?
愛犬と目が合うたびに話しかけたり、抱き上げたり、何をするにも一緒にいようとしていませんか?愛犬は喜んで飼い主さんに応えようとするかもしれませんが、このような触れ合い方は「かまい過ぎ」に当たります。
愛犬と飼い主さんがそれぞれのひとり時間を過ごせていない状態は、愛犬にも飼い主さんにも良い状態とは言えません。
1.ストレスが溜まる
犬が「かまわれたくない」と思うタイミングは
- 食事中
- トイレ中
- 音や匂いに集中している時
- 睡眠中
などです。何かに集中していたり、眠たくてウトウトしているときなどにかまわれるとストレスを感じやすいです。
飼い主さんからのスキンシップを「イヤだな」と感じてしまうことは、お互いの信頼関係を崩してしまう原因にもなります。
2.分離不安になる
情緒不安定から分離不安に
目が合うたびにかまったり、何をするにも一緒にいようとする触れ合い方を続けていると、飼い主さんの関心が自分にないと情緒不安定な子になってしまう恐れがあります。
その情緒不安定な状態が悪化すると、飼い主さんがかまってくれない時や留守番中に取り乱して問題行動を起こしたり、体調不良になったりする「分離不安」の状態になってしまいます。
「好き」よりも「不安」が勝ってしまう
飼い主さんの後追いをしたり、いつも飼い主さんにくっついていようとするのは、飼い主さんが好きだからという気持ちよりも「一緒にいないと不安だから」という気持ちが強くなっている恐れがあります。
もちろん、犬は飼い主さんを慕って一緒にいようとすることは多くありますが、四六時中くっついていようとするのは行き過ぎた状態です。
3.飼い主さんの依存
犬が飼い主に依存してしまうのは、飼い主さんが愛犬に依存しているということが大きな原因になる場合もあります。犬の分離不安の背景には、飼い主さんと愛犬の"共依存"があることも少なくありません。
飼い主さんにとっては深い愛情の表現であっても、行き過ぎた触れ合いは愛犬を「飼い主さんがいないと情緒不安定になる子」にしてしまう恐れがあります。そして、愛犬への依存は深刻なペットロスにも繋がりやすいということも心配です。
犬にとって健全な触れ合いとは?
回数や時間よりも濃密さが大切
社会性の高い動物である犬も、24時間集団行動をしているわけではありません。家族や群れといった集団の中にいても、ひとりでゆっくりくつろぐ時間もたくさんあります。
犬と猫を比較してみると、社会性がそれほど高くない猫は「あいさつ程度の軽い触れ合いを頻繁に行う」という方法で社会と繋がります。一方、社会性の高い犬の場合は「ぎゅっと濃密な触れ合いを数回程度行う」という方法で社会と繋がります。
犬にとって自然な触れ合いとは、濃密な時間をメリハリを持って共有することと言えます。
自立したパートナーシップ
犬と飼い主が健全なパートナーシップを築くには、お互いに自立していることが前提となります。自立できるということは、お互いに「何があっても繋がっている」という信頼があってこそです。
四六時中一緒にいなくても、犬は私たちの愛情をちゃんと受け取っています。「ちゃんと理解してくれる」「何でもしてあげなくても大丈夫」と、まずは私たちが犬たちのことを信頼してあげることが大切ですね。
まとめ
愛犬を不幸にしたい飼い主さんはいません。ずっと一緒にいたいのも、ついかまってしまうのも、すべては愛犬への深い愛情によるものです。
しかし、その愛情が意図せず愛犬や飼い主さんに悪影響を及ぼす恐れがあることを知っておく必要があります。
愛犬をかまいすぎてしまうと
- 愛犬にストレスが溜まる
- 分離不安になる
- 飼い主さんも愛犬に依存する
というネガティブな結果を招く恐れがあります。
犬と飼い主さんが健全なパートナーシップを築くには、お互いに自立していることが大切です。濃密に共有できる時間もあり、お互いに離れて思い思いに過ごす時間もあるというメリハリのある触れ合い方が望ましいです。
かまうことだけが愛情ではありませんし、四六時中かまっていなくても犬たちは私たちの愛情をちゃんと理解できる動物です。愛犬の心と身体の健康のために、そして飼い主さんとの良好なパートナーシップのために、愛犬への接し方を今一度見直してみたいですね。