犬は『一度会った人』を覚えているの?
時々遊びに来る友人を見ると、嬉しそうに近寄っていったり、中にはお腹を見せたりするなど、不用心な姿を見せる愛犬…。「頻繁に会っているわけでもないのに、しっかり覚えているの?」と飼い主としても嬉しさとともに、不思議に思いますよね。
犬は一度でも会った人のことはしっかり覚えているものなのでしょうか。これは、正解とも言えますし、不正解とも言えます。犬には、感覚記憶、短期記憶、長期記憶という3つの記憶があります。まずはそれぞれの感覚について説明し、これらを踏まえた上で『一度会った人』を覚えているのかどうかを解説します。
犬の感覚記憶
1つ目の感覚記憶は、ほんの数秒間触られたときなどの記憶のことを指します。具体的な例で言えば、道端で出会い、「可愛いね」と言いながら撫でてくれて、そのまま去っていった人などが当てはまります。
しかし、この数秒間見たり聞いたり、触れ合ったりしただけでは、犬にとって『重要な人』として認識されません。
生き延びる上で、また自分にとって必要な情報ではないため、たった数秒間で記憶が消去されてしまうのです。そのため、このような関係であれば、次に会ったとき、覚えていてもらえない可能性の方が高いでしょう。
短期記憶
短期記憶は、名前の通り短期間だけ記憶している記憶のことを指します。では、どのような行動が短期記憶に当てはまるのでしょうか。
例えば、家にやってきた友人が玄関先で数十分、話し込んで帰ったとします。同じ空間には一緒にいるため、しばらくの間は記憶することができるでしょう。
しかし、密な関係を築くほどの行動を起こしていないため、ある一定期間が過ぎれば、記憶は消去されてしまい、次に会ったときには「初めまして」のような顔をされてしまう…ということもありえます。
しかし、短期記憶であっても、これを短期間の間、何度も繰り返すことで長期記憶に移行していきます。
長期記憶
長期記憶とは、永久的にその犬の記憶に残る事柄を指します。人や物、行動など、様々な『モノ』が対象となります。長期記憶は、特に犬の印象に残っていて、自分にとって必要な情報であると認識されたモノが入ります。
例えば、友人が家にやってきて、一緒に遊んだり、撫でてもらったり、あるいは友人の手からおやつをもらったりするとしましょう。
また、時間があるときは、一緒に散歩に行ってくれることも。すると、犬にとって「この人は自分に楽しいことを提供してくれる人」「嬉しいことをしてくれる人」と記憶が付けられ、自分にとって重要な存在であると認識します。
すると、長期記憶に分類され、長期間会わなくても「こんにちは!来てくれて嬉しいよ」といった反応をしてくれます。
先に話が出たように、短期記憶であっても、何度も短期間に会うことで、「この人はよく家に来てくれるな。重要な人なのかも」と認識され、長期記憶に移行していき、やがて信頼できる人と認められることも多いです。
何度も繰り返し学習し、永久的に行うことができるしつけなどは、短期記憶から長期記憶に変わる典型的なケースと言えるでしょう。こうして長期記憶に分類された人は、『一度会った人』であっても、次に会うまでに覚えてもらえている可能性が高くなります。
なかなか覚えてもらえない…どうしたら覚えてもらえる?
複数回、会っているにもかかわらず、毎回「初めまして」「誰ですか?」といった反応をしてくる友人・実家の犬…。なんだか切なくなってしまいますよね。しかし、それはまだ短期記憶で留まっているからでしょう。
犬によって、何度も会っていても短期記憶が長期記憶に移行される回数やスパンは異なります。短期記憶に分類される関わりを3か月に一度行い、数回会うだけで長期記憶に移行される犬もいれば、1~2週間に1度会わなければ長期記憶に移行されない犬もいます。
最も確実な方法は、1~2週間、最低でも1か月に1度は会うように予定し、何度も繰り返し会うことです。4~5回会うことで、長期記憶に移行される犬は多いです。
しかし、より確実に、早く覚えてもらうためには、1度に触れ合う時間を1~2時間と多く設け、その時間でスキンシップをとったり、おもちゃで遊んだり、飼い主の許可が下りるのであれば、一緒に散歩に行ったりと、密な時間を過ごすことでしょう。
このように、犬にとって嬉しい、楽しい時間を積極的に提供することで、今までなかなか覚えてもらえなかった犬でも、一発で覚えてもらえるようになることも多いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。犬に永久的に覚えてもらうためには、長期記憶に分類されなければいけません。そのためには、地道に、定期的に会い続けるか、その犬に「この人といると楽しい!」と思わせることがポイントです。ぜひ、次回、仲良くなりたい犬と会うときは、飼い主の許可を得た上で実践してみてくださいね。
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20代 男性 匿名