「年齢×7」ではない
以前までは「犬の年齢×7=人間の年齢」という計算方法が一般的でした。しかし、現在は新しい計算方式がいくつか発表されています。なぜかというと、犬の平均寿命が以前と比べて長くなったためです。
30年間で犬の平均寿命は2倍になった
一般社団法人ペットフード協会が発表した、2017年の犬の平均寿命は14.2歳でした。同協会の独自調査によると、昭和58年(1983年)の犬の平均寿命はたった7.5歳だったのです。
約30年間で犬の平均寿命は2倍も伸びたのは、ドッグフードの品質向上や医療技術の向上、犬を飼う意識の変化など、様々な変化があったためであると考えられます。
身体の大きさによっても平均寿命に違いがある
犬の平均年齢が変われば人間に換算する計算方法も変わってきます。また、大型犬よりも小型犬の方が平均寿命が長いという違いもありますので、愛犬の身体の大きさをふまえた計算をする必要があります。これらのことから、一様に「年齢×7」では人間に換算しきれないということが現在の考え方です。
老化スピードと計算方式
「年齢×7」の計算では人間に換算しきれないもう1つの理由は、犬の老化スピードは一定ではないということもあります。
小型犬・中型犬の計算方式
小型犬と中型犬の場合、1歳は人間の17歳、2歳は人間の24歳相当であると言われています。3歳以降は老化のスピードが緩やかになり、人間にすると4歳ずつ歳をとっていくと言われています。
小型犬・中型犬の場合、愛犬の年齢を人間に換算する計算式は
24+(犬の年齢-2)×4
となります。
大型犬の計算方式
大型犬は小型犬や中型犬と比べて平均寿命が短いとされていますので、人間に換算したときの老化スピードにも違いがあります。
大型犬の場合は1歳で人間の12歳相当となり、2歳以降は人間に換算したときの7歳ずつ歳をとっていくとされています。小型犬や中型犬よりも平均寿命は短いものの、人間に換算したときの老化のスピードを比べると3歳までは大型犬の方が緩やかであることが分かります。
大型犬の場合、愛犬の年齢を人間に換算する計算式は
12+(犬の年齢-1)×7
となります。
最新の計算方式
2019年11月に、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが、新たな犬の年齢計算式の論文を発表しました。この研究では生後1か月~16歳までの104頭のラブラドールレトリーバーの血液サンプルと、1歳~103歳までの人間の血液サンプルを比較して計算方式を考え出しました。
DNAのメチル化に着目して考えられた計算方式
人間にも犬にもDNAがあります。DNAはA(アデシン)T(チミン)C(シトシン)G(グアニン)の4つの配列で遺伝子が決定するという仕組みになっているのですが、老化する中でこのうちの「C」のシトシンの水素がメチル基に変化することがあります。
これをメチル化と言いますが、研究チームはこのDNAのメチル化に着目し、犬と人間の血液サンプルを比較することで犬の年齢を人間に換算する方程式を考え出しました。
実際に計算してみた
この研究で生み出された新しい計算方法は「犬の年齢の自然対数×16+31」です。理系ではない私は「自然対数とは何ぞ?」となってしまいましたが、スマホの計算機の「In」が自然対数を出すボタンでしたので、深く考えずに計算してみました。(使用した計算機はiPhoneのものです。画面をヨコにするとInのボタンが出現します。)
私の愛犬は11歳ですので、11と入力した後にInのボタンを押します。その後で16をかけ、31を足します。
なんと…11歳の愛犬を人間に換算すると、約69歳…!無邪気でちょっとおっちょこちょいな愛犬も立派なシニアでした。
これは大型犬を前提とした計算式
これは「ラブラドールレトリーバー104頭」の血液サンプルをもとにしていますので、大型犬を前提にして考えられた計算方式です。
私の愛犬は小型犬のミニチュアダックスなので、この計算式を用いても正確ではありません。しかし、愛犬の運動や食事についてしっかりとケアをしてあげなければいけないと気持ちを新たにしました。
まとめ
小型犬や中型犬は1歳で人間の17歳、大型犬は1歳で人間の12歳相当と、犬は最初の1年で人間よりも速く身体が成長します。犬の平均寿命はこの30年で2倍にも伸びていますが、当然人間と比べるとその寿命はとても短いです。
私たちが想像するよりも速く、犬たちの身体は老化を進めていきます。愛犬の年齢を人間に換算してみると、その老化をより強く実感できると思います。愛犬が末永く元気で楽しく暮らせるように、愛犬の年齢に合わせて食事や運動の質を考えてあげたいですね。