日本犬が喧嘩っ早いと言われる理由
現在の日本犬
日本犬は柴犬を代表として、現在世界的にも人気が高い犬種もあります。凛々しい容姿は洋犬とはまた違う魅力がありますよね。近年は、日本の人気犬種ランキングで柴犬がトップ5の常連ですが、トップテン内は柴犬以外はすべて洋犬です。
お散歩中も柴犬は見かける機会が多くあると思いますが、他の日本犬はあまりお目にかかることがないのではと思います。一般的に日本犬と言うと、以下の6犬種のみを指します。ただし、洋犬との交配によって作出されたり、特定の地域でのみ見られる地犬と呼ばれる日本原産の他の犬種もいます。
- 秋田犬
- 甲斐犬
- 紀州犬
- 柴犬
- 四国犬
- 北海道犬
こちらの6犬種は全てが、文部科学省から国の天然記念物として指定されています。私自身も柴犬と秋田犬はお散歩中に出会ったことがありますが、他の4犬種はテレビやネットでしか見たことがありません。
日本犬の特徴
圧倒的に日本犬より洋犬の飼育頭数が多いのが現状。その中でも小型犬の人気が高く、室内飼育が多くなっています。
洋犬は人懐っこく甘えん坊という犬種も少なくなく、飼い主さんもその特徴を愛しいと感じ、溺愛されている方もいると思います。室内飼育されている洋犬は飼い主さんへの依存心が強い子が多いと言われています。
いっぽう日本犬は、飼い主さんには忠実なものの、非常に警戒心が強く、しつけが難しいとも言われています。信頼している飼い主さんでも、ベタベタと触れられることはあまり好まないようです。
日本犬は頭もよく、昔ながらの特徴を色濃く持っている場合には自立心や独立心も高いので、飼い主さんにベッタリと甘えることもあまりないよう。信頼している飼い主さんに対しては従順でも、それ以外の人には全く興味を示さないこともあります。
日本犬はしつけが難しい?
日本犬は自立心が高く独立心が強いのが特徴のひとつ。それゆえに「信頼できる飼い主」として見てもらえない場合、飼い主さんの指示に従ってくれないことも多々あるようです。自分で考えて行動したいという意思を持つ個体も少なくないよう。
自分の身と財産は自分で守るという意識が高いため、警戒心と縄張り意識も強く、他の犬や飼い主さん以外の人に対して強い警戒心を持ってしまうこともあります。日本犬は基本的に気性が荒いとか、上手くしつけができない、喧嘩っ早い、などと言われるのは、そのような警戒心からくる防御行動に対するものや、日本犬の旺盛な自立心や独立心を理解せずに接してしまうことによるものだと思われます。原始的なタイプの犬で、動物としての本能が色濃く残ると言われる日本犬。家庭犬に向いた犬に育てる方法はあるのでしょうか?
日本犬を家庭犬として上手に育てる方法
日本犬は野性味が強いのが特徴。そんなところが魅力のひとつでもありますが、日本犬を人懐こくて扱いやすい家庭犬として育てたい方も多いでしょう。日本犬を家庭犬として育てるコツ、日本犬ならではのしつけのコツをご紹介いたします。
家庭犬に向いた性格の犬を選ぶ
近年は日本犬と言えども、家庭犬として一緒に室内で暮らすのに向いた性格の犬も増えてきています。特に柴犬でそのような犬が多いようです。性格にはもちろん個体差もありますが、日本犬の場合、家庭犬に向いた性格の犬を選んで繁殖し、愛玩犬に代表される洋犬のような人懐こくて触られるのも大好きな性格の犬を作ろうとしているブリーダーさんがいます。と同時に、昔ながらの野性味あふれる、本来の日本犬の性質を強く持つ犬を残そうと努力されているブリーダーさんもいます。ですので、家庭犬として室内で日本犬をかわいがりたいのであれば、そのような飼い方に向いた犬を繁殖しているブリーダーさんから子犬を購入するのが良いでしょう。
社会性を身につける
社会性を身につけることは、日本犬に限らず大切なことですが、もともと警戒心が強く自立心が強い日本犬には特に重要なことと言えます。社会性を身につけるのは子犬の頃からトレーニングするのが一番。社会化期と呼ばれる生後3~4ヶ月までの時期は、警戒心より好奇心が勝る犬が多く、最小限のストレスで初めて出会う物や動物、環境に慣れさせることができる時期だからです。
飼い主さん家族以外の人や他の犬とも触れ合う機会を作り、家族以外の人や生き物に慣れてもらいましょう。音や物、生き物、場所や環境など様々な刺激に慣れてもらうことで頑固さや警戒心によって攻撃性が高くなることを予防できるはずです。
信頼関係を築く
日本犬は飼い主さんに従順と言われますが、それは信頼関係がしっかりと築けいるからこそ。飼い主さんとの信頼関係が成り立っていない場合、全く指示に従わず、手に負えなくなってしまう可能性もあります。自分で自分を守らないと危険だと犬が考えてしまうからです。
信頼関係を成り立たせるのに、罰を与えたり力で押さえつけるようなしつけは必要ありません。しっかりと愛情を持ちながらコミュニケーションをとり、指示に従ったときは、たっぷりと褒めてあげましょう。叱るときは堂々と一喝してください。物事を決めるのは犬ではなく飼い主さんであることを分からせ、何が良くて何が悪いかを伝えることができる必要があります。
溺愛しない
日本犬には独立心が強いという特徴があります。洋犬はひとりで過ごす時間を苦手に感じる個体が多いですが、日本犬の場合、自分の時間を大切にしたい、信頼している飼い主とも一定の距離を保ちたいと感じている個体も多いよう。
信頼している飼い主さんだったとしても、必要以上に抱っこしたり、体を撫でられ続けたりするとストレスに感じてしまう子もいます。自分の愛犬の性格をよく見極め、喜んでいないようであれば、猫かわいがりするのはやめましょう。愛犬の気持ちを尊重して、程よい距離感を保つよう心がけましょう。状況が許す限り一緒にいたい、たくさんなでてかわいがりたい、という方は、日本犬の中でもそのような飼い主との関係を望む性格の犬や、そのような性格が多い別の犬種を選ぶと良いでしょう。
運動不足に注意
日本犬はどの犬種ももともとは猟犬ですので、豊富な運動量が必要になります。運動不足になってしまうとストレスが溜まりやすく、飼い主にとって問題となる行動が現れてしまうことも。ストレスが溜まってイライラしている犬にはしつけも難しくなります。毎日体のサイズや生活環境、性格などに合った適切な量と質の運動を行えるようにしましょう。
まとめ
日本犬には洋犬が持たない独特な魅力があると思います。飼い主に忠実で他者をあまり受け付けないのも魅力の一つですよね。しかし、問題ばかり起こるようでは困ります。日本犬ならではの気質や、個体が持つ性格と向き合い、人間社会の中でもストレスなく過ごせるようしつけを行いましょう。