動物の癒し効果
動物が好きな方にとって、犬や猫といった身近な動物に触れることで心が落ち着いたりストレスがすっと軽くなったりといった経験は珍しいものでは無いでしょう。ふわふわした被毛の手触りや、彼らの体温、そして触らせてくれる動物との信頼関係は疲れた心をリフレッシュさせてくれます。
このような効果があるため、動物を通した癒し活動をまとめて「アニマルセラピー」と呼んだりしています。しかし、厳密にいえば動物介在療法や動物介在活動など、日本でアニマルセラピーと呼ばれている活動には区別があります。
動物介在療法
医師、看護師、理学療法士、作業療法士などの医療従事者による、人間の精神的、肉体的な病気などへアプローチする動物を用いた治療行為。この場合の動物は、治療やリハビリのために用いられる器具や薬剤などと同様の位置づけであり、治療者とハンドラー(動物の指示者)は治療計画に基づいて綿密な打合せをする必要があります。
動物介在活動
動物とのふれあいを中心にした活動で、対象者の生活の質や情緒的な安定を図る目的で行われるレクリエーション。ボランティアによる施設訪問はこちらに含まれます。また自宅で動物を飼育することも、こちらの活動の一種です。
動物と触れ合うことはストレス軽減になるか
経験的に知っていることでも、本当にストレス軽減に役立っているのかどうかは疑問があるかもしれません。しかし、この疑問に対して科学的に検証した論文が発表されています。
ワシントン州立大学のパトリシア准教授によると、ストレスを感じている学生に10分間動物と触れ合う時間を設けると、唾液中に含まれるコルチゾールというホルモンが有意に減少するというのです。
約250人の学生を4グループに分け、1グループ目は実際に動物を触れあい、2グループ目はその様子を見ているだけ、3グループ目は動物のスライドショーを10分視聴し、4グループ目は「もうすぐ動物と触れ合えます」といわれただけで10分間放置、という実験を行ったそうです。
その結果、1グループ目の唾液中に含まれるコルチゾールはほかのグループに比べ随分と少なかったというデータが得られたとのことです。たった10分触れ合っただけなのに、これはすごい結果だと思いませんか?
犬を撫でるべき理由
上記のようにストレス軽減効果の他、犬には撫でるべき理由があります。
- 被毛や皮膚の状態チェック
- スキンシップによる信頼関係の確保
- 愛情表現
犬たちは飼い主に触れられ、撫でられることで情緒が安定します。また頻繁にしっかり撫でてあげることで、全身を触られることに抵抗がなくなり皮膚や被毛の状態チェックや体調のチェックが容易になるメリットもあります。
犬のストレスにも注意
犬たちにとっても飼い主とのスキンシップの時間は楽しく、リラックスできる時間です。安心していつの間にかすやすや寝てしまったなんてこともあるかもしれません。
しかし、犬たちも撫でられてイヤだと思うときもあるでしょうし、好きな触られ方や嫌いな触られ方などがある犬もいます。さらに飼い主以外の人に触られるのが大きなストレスになる犬もいます。せっかくのリフレッシュタイムをお互いに気持ちよく過ごせるよう、犬の状態やストレスには配慮してあげることが大切です。
まとめ
犬たちと暮らすということそのものが、私たちのストレス発散方法なのかもしれません。触れて、撫でて、ゆるぎない信頼関係を築くことでお互いの情緒的な安定をもたらすほか、健康チェックもできてしまうなんて、「撫でる」ことは犬にも人にもメリットがたくさんあるんですね。