そもそも醤油の成分は?
そもそも、醤油にはどのような成分が含まれているのでしょうか。醤油の基本となる原材料は、大豆・小麦・塩の3つです。蒸した大豆を炒った小麦に種麹を混ぜ合わせて発酵させ、そこに塩水を加えることで更に熟成期間を置き、火入れをしたものが醤油となります。
こうして見ていくと、「大豆も小麦も塩も、わんこが食べても大丈夫な食材なのでは?」と思ってしまうかもしれません。では、醤油の何が一体問題なのでしょうか。
ポイントは「塩」!わんこの醤油リスク
「もしかして、発酵することで何かわんこの身体に悪いものができるの?」「保存料や着色料が含まれている醤油もあるから?」といろいろ勘繰ってしまうかもしれませんが、そうではありません。醤油がわんこにとって危険である理由は、もっと単純なものです。それは、基本となる原材料の1つ、塩の含有量にあります。
醤油の塩分濃度は海水の5倍!
醤油の塩分濃度は種類によっても異なりますが、約15%前後です。海水の塩分濃度が約3.5%といわれていますから、醤油には実に海水の5倍ほどの塩が含まれていることになります。
「人間の食べ物の味付けは、わんこにとってはしょっぱすぎるからダメ!」とよく言われていることからも、塩の過剰摂取がわんこの健康に悪影響を及ぼすことはよく知られていますよね。つまり、醤油そのものの成分にNG要素があるわけではなく、醤油に含まれる大量の塩分がわんこにとってはNGというわけです。
本当に怖い!塩中毒
塩分の過剰摂取は、最悪の場合、わんこを死に至らしめることもあります。それが「塩中毒」と呼ばれる症状です。体重1kgあたり2〜3gの塩分摂取で中毒症状が出はじめ、4〜5gで死に至るといわれていますから、醤油で換算すれば、体重1kgあたり大さじ1〜2程度の量が危険量ということになります。
心臓疾患・腎臓疾患がある場合は更に要注意
また、心臓疾患や腎臓疾患を抱えているわんこの場合には、更に注意が必要です。人間の場合でも、高血圧の人は塩分を控えた減塩食を摂るように勧められますが、これは塩分を多量に摂取すると血圧が上がり、心臓や腎臓に大きな負担がかかるからです。
犬でもそれは同様で、特に心臓や腎臓に疾患を抱えている場合には、塩中毒に至らない少量の塩分摂取でも体調不良を起こす危険性があります。
どうしよう?もし醤油を舐めてしまったら
もし、愛犬が誤って醤油を舐めてしまうようなことがあったら、すみやかに動物病院を受診し、獣医師の指示を仰いでください。
インターネット上では、「異物を吐かせたい場合には、塩を飲ませて吐かせる」という民間療法も出回っていますが、ここまで読んでいただいたみなさんには、それが危険な処置であることはおわかりいただけるはずです。決して、民間療法で対処しようとはしないでください。
塩分を控えすぎも逆に危険
ここまで聞くと「わんこに塩分は絶対ダメだ!!」と怖くなってしまいがちですが、とはいえ、塩分はわんこが生きていくうえで必要な栄養素でもあります。逆に塩分を控えすぎてしまうと、低ナトリウム血症という状態に陥ってしまいます。こちらもひどい場合には死に至る症状ですので、塩分摂取は「適度に」を心がけることが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?私たちにとって身近で欠かすことのできない醤油ですが、わんこにとってはリスクも高いことがおわかりいただけたかと思います。正しい知識を備えて、愛犬の健康管理を行いたいですね。