犬が喧嘩をする理由
犬や狼は群れで生活する動物なので、もともとあまり争いを好まない性質があります。お互いのコミュニケーションで距離感をはかり敵意がないことを知らせあい、群れの秩序を保つのです。
しかし、ペットとして飼われる犬たちの中には、道行く犬すべてに喧嘩を売ってしまうタイプの子もいます。これはなぜでしょうか。このようなタイプの犬たちに共通するのが、「憶病」で「社会化されていない」という点が挙げられます。
単純に憶病なだけの子の場合、強い個体に対しては逆らわず恭順の姿勢をとり争いを避けます。しかし、子犬のうちに犬同士の付き合い方を学ばず社会化されていない子の場合、どう接してよいかわからないまま、極度の緊張と恐怖から相手を威嚇して場合によっては攻撃してしまうのです。
今の日本で飼育されている犬たちの多くは、幼いうちから母犬や兄弟から引き離されるため社会化がうまくされていない子が多いといわれています。そのため、道で会う犬同士がお互いに「どうしていいかわからない、怖い!」と感じて威嚇しあうことで、喧嘩に発展してしまうんですね。また、片方が犬同士のコミュニケーションをよく知っていたとしても、相手に伝わらなければこれもまた喧嘩に発展する可能性があります。
喧嘩を止める方法
犬が喧嘩を始めるまでには、いくつかのプロセスがあります。本格的な喧嘩になってしまう前に止めることができれば一番良いので、喧嘩になりそうな兆候を見逃さないことが大切です。犬によっては大好きなボール遊び他の犬と一緒にやりたい子もいれば、邪魔されたくなくて威嚇する子もいます。遊びの好みを把握することも大事ですね。
喧嘩になる兆候
- 首の毛が逆立つ
- しっぽを高く持ち上げる
- 唇を引いて歯を見せる
- 唸り声をあげる
- 相手に当たらない程度に噛む真似をする
このような兆候が見られた場合、即座に犬同士を引き離してクールダウンさせましょう。おもちゃなどを使っている場合は取り上げ、犬同士お互いの姿が見えない状態にして意識を他に向けさせます。これらの兆候がエスカレートすると喧嘩に発展しますが、エスカレートする前にすぐ爆発することもあるので注意深く観察しましょう。
喧嘩の止め方
- 大きな音を出して犬の注意を惹く
- 大量の水をかける
- 犬同士の間を板や段ボールなどで仕切る
犬同士が喧嘩を始めてしまった場合、とにかく犬の意識を相手からそらすことと、お互いの視界から外れることを考えます。
犬の喧嘩を止めるときにやってはいけないこと
突然のことで飼い主の側が冷静さを失うと、その様子が犬にも伝わり、なおさら激しく威嚇したり噛みついたりすることもありますので気を付けてください。
高い声で制止しようとすること
犬たちはもともと甲高い声を聴くと興奮します。しつけの際も高い声より低く落ち着いた声で行う方が犬自身も落ち着いて言うことを聞くようになります。喧嘩によってただでさえ興奮しているところに高い声では全く制止にならないどころか、余計に高ぶらせてしまう可能性があるので、特に女性の場合は注意が必要です。
首輪をつかむこと
犬同士を引き離そうと首輪をつかんで引っ張ったりすると、犬は余計に興奮します。喧嘩をしているときはとにかくパニック状態なので、どんなに普段聞き分けの良い子でも人の言葉が聞こえなくなっているものです。首を引っ張られてさらに怒りに火がついてしまう場合があります。
首輪をつかもうとした手に噛む可能性もゼロではないので、取っ組み合いが始まってしまったら、下手に手を出さない方が良いでしょう。
まとめ
犬同士の喧嘩については、とにかく「喧嘩をさせないようにコントロールする」ことが大切です。犬同士のコミュニケーションが苦手な子を無理にドッグランで他の犬と遊ばせようとしたり、大好きなおもちゃを独り占めしたい子に他の犬と競わせるようにボール投げをしたりすることは、相手を威嚇する行動を促しているようなものです。
よく犬を観察して、威嚇を始めないように遊びをコントロールしたり、いざ唸り始めたらその場を離れたりするなどして、喧嘩に発展しないように飼い主がうまく調整をしてあげることが大切ですね。