ライフステージの変化
飼い主さんの多くが経験する愛犬の性格の変化として、「やんちゃだったのに急に大人しくなった」「元気に暴れ回って仕方なかったのに、落ち着いてきた」という「静」の方向への変化があります。この変化の多くは、パピー期から成犬期へ、成犬期からシニア期へといったライフステージの変化によるものです。
おとなになって分別がついて落ち着くようになったり、単純に体力が低下したことによって運動量が減ったりといったことが理由になります。わんこはオオカミが幼形成熟した姿といわれており、性的に成熟しても子どものような性格を持ち合わせているとされますが、それでもやはり、ライフステージによる性格の多少の変化は避けられないものです。
成長をゆっくり見守りましょう
ライフステージによる性格の変化は、どうすることもできません。多くは「落ち着いていく」変化ですから、愛犬の成長、年を重ねていく姿をおおらかな気持ちで見守りましょう。落ち着いていってしまうことが少し寂しく感じることもあるかもしれませんが、それでも、愛犬の性格の根本的な部分は変わらないはずですよ。
反抗期
人間の子どもに反抗期があるように、わんこにも反抗期があります。反抗期の有無や回数、激しさには個体差がありますが、多くはパピー期から成犬期の過渡期である6ヶ月前後から2歳くらいまでの間に起こります。
自我が芽生えたことにより、それまで従っていた指示に急に従わなくなったり、完了したはずのしつけができなくなってしまったり、要求行動や破壊行動をとったりするようになります。「あんなに良い子だったのにどうして」と嘆いてしまう飼い主さんもいるかもしれませんが、反抗期をどうやって乗り越えていくかが1つの踏ん張りどころでもあるのです。
以前と変わらない毅然とした態度で対応を
愛犬が反抗期になったからといって、飼い主さんが必要以上にうろたえたり、愛犬との接し方をこれまでと変えたり、要求行動に安易に応えてしまったりすると、反抗的な態度はより強くなってしまう恐れがあります。
大切なのは、飼い主さんが以前と変わらない姿勢で、毅然とした対応を見せることです。自分の行動に意味がないと悟れば、わんこは自然と反抗的な行動をやめるようになります。トイレやハウスなどのしつけについては、もう一度最初からやり直すくらいの気持ちで臨むことが大切です。
ストレスによるもの
要求行動や破壊行動を引き起こすものとして、反抗期以外にも、ストレスが原因となる場合があります。これはいわゆる常同障害の一種で、ストレスにより心のバランスが崩れることで、無駄吠えが増えたり、粗相するようになったり、攻撃的な行動が増えるようになります。
また、嘔吐や下痢、食欲不振などの身体的な症状を併発する場合もあります。「何だか最近、急に乱暴者になってしまった」と思ったら、愛犬が日々の生活の中でストレスを感じていないか、生活を見直してみる必要があります。
ストレス発散の場を
ストレスが原因の場合には、対処法はそのストレスの原因となっているものを取り除くことしかありません。ストレスの原因の代表的なものは、散歩や遊びの時間が足りていないことによる運動不足、引越しや家族構成が変わったことなど環境の変化によるもの、飼い主さんから強い叱責を受けることへの恐怖心によるもの等があげられます。
ストレスの原因が解明できたら、できる限り、その原因を取り除いてあげましょう。根本的に取り除くことが難しい場合は、別のところでストレスをしっかり解消できる場を設けてあげることです。
病気にかかっている
愛犬の体内に潜む疾患が原因で、性格が変わったように感じることもあるので、注意が必要です。「触ろうとすると急に噛むようになった」のは、触られると痛い部位があるからかもしれません。「何だか以前と比べて元気がなくなった」のは、病気によって身体が弱っているからかもしれません。
また、人間の場合でも「認知症になると性格が変わってしまう」といわれるように、近年増えているわんこの認知症も、性格の変化に一役買ってしまうことがあります。
病気の早期発見と治療を
病気が隠れている場合には、性格の変化だけでなく、何らかの身体症状も現れているものです。特に食欲の変化や、大便の色や形などを気を遣って見てあげましょう。病気にいち早く気づくためにも、定期的な健康診断を行うとともに、おかしいなと思うことがあれば、早めに動物病院を受診しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?かわいい愛犬の性格は、飼い主さんにとって唯一無二のものですよね。性格の変化が見られたときには、それが対処すべきものなのかどうか、しっかり見極めることが大切です。