犬にとって『歯並び』どれだけ重要?歯並びが悪いとどんなことが起こるの?

犬にとって『歯並び』どれだけ重要?歯並びが悪いとどんなことが起こるの?

わんちゃんによって”歯並びの良し悪し”に差があるのをご存知でしょうか?犬の健康において、歯周病だけでなく「歯並び」や「噛み合わせ」といった歯にまつわる環境も健康寿命に強く影響を及ぼすと言われています。今回は【犬の歯並び】について解説いたします。

犬の正常な歯並びとは?

歯をチェックされるダックスフンド

犬の永久歯の本数は42本ですが、乳歯は28本と本数に違いがあります。最も長く尖った4本の犬歯は、下の犬歯が上の犬歯よりも前面に重なっています。そして前歯は上の前歯が前側に来るように噛み合わさり、上の前歯の裏面が下の前歯の前面と接触しています。

犬の正常な噛み合わせ「シザーバイト」

正常な犬の歯はハサミに例えられています。犬の上の歯と下の歯は接触するように噛み合わさり、特に前臼歯~後臼歯(側面のギザギザの歯~奥歯)は上下で互い違いにピッタリとギザギザがはまるようになっています。

これがまるでハサミのような原理となり、肉を上手に噛み切ることができるのです。このことから、正常な犬の歯並びは「シザーバイト」と呼ばれています。

さまざまな不正咬合

犬の頭蓋骨

「不正咬合」とは噛み合わせに問題がある状態のことです。犬の不正咬合にはわんちゃんによってさまざまな状態があります。

前方交叉咬合(前方クロスバイト)

切歯(前面の小さめの歯)の噛み合わせが上手くいっていない状態のことです。切歯の場合、本来は上の切歯がわずかに下の切歯の前に被って噛み合わさるのですが、下の切歯が上の切歯よりも前になって噛みあっている状態です。

犬歯交叉咬合(犬歯クロスバイト)

犬歯の場合は噛み合わせた時に下の犬歯の方が前になるのですが、上の犬歯が前になって歪んで噛み合わさっていることもあります。この時、上の犬歯が前方向に突き出るようにして生えている状態を「槍状歯」と言います。

後方交叉咬合(側面の歯のクロスバイト)

前臼歯~後臼歯(犬歯の後ろ、側面のギザギザの歯~奥歯)の噛み合わせが上手くいっていない状態のことです。本来は上の臼歯が下の臼歯より外側で噛み合わさるのですが、下の臼歯の方が外側に噛みあっている状態です。

骨格性不正咬合

先天的な要因や歯の生え始め時期の何らかの要因によってあごの骨格が歪み、上下の歯が上手く噛み合わさっていない状態のことです。

噛み合わせた時に上下の切歯(前歯)が接触しておらず離れている状態で、上の切歯が前面に出ている状態を「オーバーバイト(オーバーショット)」、下の切歯が前面に出ている状態(受け口のような状態)を「アンダーバイト(アンダーショット)」と言います。

また、上下の切歯が同じ位置で垂直に噛み合っていることを「レベルバイト」と言います。そして、上下のあごの中心が歪んでいてあごが曲がったように見える状態を「ライバイト」と言います。

「アンダーバイト」が正常な犬種

見上げるブルドッグ

「不正咬合」と言いますが、「アンダーバイト」がスタンダードな犬種も存在します。アンダーバイトがスタンダードな犬種には、ブルドッグの血が入っていたり短頭種に多くいます。

  • ブルドッグ
  • パグ
  • ペキニーズ
  • ボストンテリア
  • フレンチブルドッグ
  • ボクサー

以上のような犬種は、受け口のような状態の「アンダーバイト」がスタンダードですので異常ではありません。

逆に、フレンチブルドッグには「下の切歯はどのような場合においても上の切歯より内側にくることがあってはならない」というスタンダードの基準があるようです。ブルドッグにいたっては、通常時に口を閉じることができないほどの強いアンダーバイトが標準となっています。

歯並びが悪くなる原因

歯並びが悪いポメラニアン

犬の歯並びが悪くなるのは

  • 乳歯が適切に抜けなかった
  • 遺伝によるもの
  • 外傷によって乱れてしまった

など、生え替わりの時のトラブルや遺伝的なものなどさまざまな原因があります。

乳歯から永久歯に生え替わる際になかなか乳歯が抜け落ちないと、永久歯が生えてくるスペースが狭くなることで歯列が歪んでしまうこともあります。

乳歯がずっと抜けずに残っていることも

乳歯が抜けずにそのまま残ってしまうこともあります。これは「乳歯遺残」と呼ばれ、あごの小さい小型犬に多く見られます。乳歯が残ったままだと歯列が歪んでしまうことのほか、乳歯が折れてしまいそこから感染症に進行してしまう恐れもあります。抜け落ちない乳歯は動物病院で全身麻酔下での抜歯の処置が一般的です。

起こりやすいトラブル

犬歯の並びが悪く歯石が付いた犬の歯

犬の歯並びや噛み合わせの不具合で起こりやすいトラブルは

  • 口の粘膜を傷付けてしまう
  • 歯と歯が当たって欠けてしまう
  • 歯があごに刺さってしまう
  • 歯周病になりやすい

などがあります。

噛み合わせが悪い場合でも、粘膜を傷付けたり歯と歯が当たっているという問題が無ければいいのですが、歯並びが悪く歯が折り重なって生えていると歯垢が溜まりやすく歯周病になりやすいので、毎日の歯磨きを入念に行ってあげる必要があります。

歯の生え替わり時期のケアが大切

犬の乳歯が永久歯に生え替わるのはだいたい生後3~6ヶ月頃で、生後7ヵ月~1年までに永久歯が生えそろいます。乳歯が生え替わり始める頃にはお口の雑菌の繁殖が活発になるため、歯磨きの習慣を付け始めることが大切です。

また、歯が生え替わる時期には歯がムズムズして物を噛みたくなるため、子犬用で安全にカミカミできるおもちゃを与えると良いでしょう。物を噛むことで乳歯の生え替わりを助ける効果もあります。そして、歯が正常に生え替わっているか、噛み合わせに問題がないかなどを獣医さんにチェックしてもらうと安心です。

まとめ

口を開けているゴールデンレトリバーの歯のアップ

今回は「犬の歯並び」について解説いたしました。犬の歯は健康に直結しているとも言える大事な部位です。歯並びや噛み合わせが悪いと、口内を噛んでしまって痛みを伴ったり歯と歯が当たって歯が欠けてしまったりして、お口の中に不快感を生みやすくわんちゃんにストレスがかかりやすくなります。

また、歯並びが悪いと歯垢が溜まりやすくなるため歯周病になりやすくなります。歯周病は悪化すると命にもかかわりかねない病気ですので、毎日の歯磨きケアが重要になります。

噛み合わせによってお口の中が傷付いておらず、食べ物を噛むことにも問題がない場合には積極的な治療が必要ないとされる場合もありますが、獣医さんに定期的にチェックしてもらいながら毎日の歯磨きを頑張っていきましょう。

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