犬の嗅覚が人の命を助ける
犬の中には「人間のために働いてくれる犬」が多く存在します。ニオイを嗅ぎ分けることで私たちのために働いてくれているのが「探知犬」や「介助犬」。
犬の優れた嗅覚を活かし、特殊なニオイを嗅ぎ分けます。麻薬探知犬や検疫探知犬など、様々な場面で活躍している犬を目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そして、私たちの健康や命を守る手助けをしてくれるのが「人間の病気」のニオイを嗅ぎ分けることができる犬たち。スゴイ能力を持った犬たちをご紹介していきます。
犬は『人間の病気』を嗅ぎ分けることができる?!スゴイ能力を持った犬たち2選
ガン探知犬
最も有名な『人の病気』を嗅ぎ分けることができるスゴイ犬は「ガン探知犬」かもしれませんね。
高齢化か進む現在、日本では二人に一人はガンになってしまうと言われています。早期発見することによって、ひとつでも多くの命が救われる病気ですが、その早期発見に一役買ってくれているのが「ガン探知犬」です。
「ガン探知犬」が嗅ぎ分けているニオイは、人間の尿や呼気から発するガン特有のニオイ物質。「ガン探知犬」になるため、特殊な訓練を受けた犬は、良性の腫瘍には反応せず、悪性腫瘍のみに反応するそうです。
早期のガンでも非常に高い確率でガンを発見できること、また患者さんの身体に負担のない検査であることがとてもありがたいことだと思います。
「ガン探知犬」は30種類以上のガンのニオイを嗅ぎ分けることができるので、多くの人々の命を救ってきたことは間違いないと思います。
すべての犬種が「ガン探知犬」として活躍できるわけではなく、最も適しているのが狩猟犬として嗅覚が発達したラブラドール・レトリバー。その中でも優れた嗅覚と集中力をもつ個体だけが選ばれます。
「ガン探知犬」になるための特殊な訓練には非常に費用がかかり、1頭育てるのに500万円ほどかかるそう。2017年の時点では、日本国内での頭数も少なく5頭しかいないそうです。
海外では国家レベルで「ガン探知犬」に対する研究が行われていますが、日本ではまだまだ認知度が低く、頭数が少ない状態が続いているようです。
低血糖アラート犬
「低血糖アラート犬」は糖尿病患者さんに寄り添い、低血糖になった時に知らせることができるよう訓練されている犬のこと。糖尿病の治療ではインスリン治療や薬物治療の副作用により、低血糖に陥ってしまうことが多くあります。
大至急、糖分を摂取することで血糖値が上がり症状が回復しますが、処置が遅れてしまうと昏睡状態に陥ることもある危険な状態。そんな危機を回避してくれるのが「低血糖アラート犬」になります。
糖尿病患者である飼い主さんの血糖に異常があると、足や腕をゆすったり、吠えることで異変を知らせてくれるのです。なかには飼い主さんが低血糖になっているとき、必要な糖分の入った飲み物や、薬を運んでくれるほど優秀な個体もいるようです。
糖尿病患者さんは高血糖になってしまうこともあれば、低血糖なってしまうこともありますが、アラート犬はどちらかと言うと低血糖のほうが感知が優れているという点から「低血糖アラート犬」と呼ばれているようです。
「低血糖アラート犬」が嗅ぎ分け感知しているニオイは、「ガン探知犬」と同じく患者さんの呼気から発せられるニオイではないかと言われています。
患者さんの血糖に異常が起きたとき、呼気中のイソプレンという物質が増える、また減ることが分かっており、そのニオイの変化を感知しているのではないかと言われています。
「低血糖アラート犬」は特に向いている犬種などはないようですが、向いている性格はあるよう。社交性があり人懐っこく、前向きで自信がある子。食べることが大好きで食べ物でモチベーションを上げることができる子が向いているよう。
実は日本ではまだ「低血糖アラート犬」は育成中であり実用状況は低いのですが、海外では「介助犬」として多くの「低血糖アラート犬」が活躍しています。
まとめ
犬の嗅覚が優れていることは、皆さんご存知のことだと思いますが、特殊な訓練により、人の命を守る手助けまでできるなんて、犬の能力は本当にスゴイですよね。
「人の病気」を嗅ぎ分ける犬は、日本ではまだ頭数も少なく認知度も高くはありませんが、確実に活躍している犬たちがいます。懸命に「人のために働く犬たち」には、敬意を表したいですね。