なぜ、犬は音を怖がるのか
犬が雷や花火のような大きな音を怖がるというのは、よくある話ですよね。犬は聴覚に優れていますから、遠くで鳴っている小さな音まで聞き分けることができるし、だから大きな音が苦手なのではないか、と考える方も多いのではないでしょうか。
実は、犬が雷や花火のような大きな音を怖がる理由は、音そのものだけではありません。空気が振動しているのを感じ取ったり、建物が揺れているのを感じ取るなどし、不安や恐怖に思うのです。雷がドーンッ!と落ちたとき、私たちもその音に驚き、建物が揺れて恐怖に感じますよね。
しかし、それが雷というものであることを理解できますし、どのように対処したら良いかも知っています。でも、犬には理解することができないため、正体不明の音や振動や揺れに対して、ただただ怯えるしかないのです。こんなとき、犬はどんな仕草や行動を取るのでしょうか。
音を怖がる犬の仕草や行動
1.カラダを震わせる
音を怖がっているとき、ぶるぶるとカラダを震わせることがあります。目に見るだけでもわかりますが、震える愛犬を抱っこしてあげると、ガタガタと震えが止まらない様子がよくわかります。飼い主さんや家族が落ち着かせようと抱っこしてあげても、震えを止めることができないことがほとんどのようです。音が過ぎ去ってくれるのを待つしかありません。
監修ドッグトレーナーによる補足
体を震わせる犬はその場に固まりやすいと言われています。恐怖で体が硬直して動かせないから固まる訳ですね。その緊張はすぐには溶けにくいです。飼い主さんが気持ちをなだめようとしても反応が得にくいのはこのためです。
では飼い主さんが出来ることはないのでしょうか?いいえあります。それは「愛犬のそばにいてあげる」です。愛犬が緊張状態から解放されていくと、次は安心できる場所を見つけようとするかもしれません。その時に飼い主さんが近くにいれば、愛犬はあなたの元へ寄って来て安心することが出来るでしょう。
2.耳を後ろに倒す
音を怖がっているときの様子は、耳の動きにもよくあらわれます。その音の正体を見極めようとし、耳をピクピクとあちこちに動かしてみたり、ピンッ!と後ろに倒すことがあります。耳を後ろに倒しているときは、余程その音を怖がっている証拠です。
優れた聴覚を持つ犬は、遠くで鳴っている音も聞き取ることができるため、まだ私たち人間の耳には届いていない、だんだんと近づいて来ている雷の音を聞き、恐怖を感じ、耳を後ろに倒すことがあります。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬の聴覚は驚くべき繊細さを持っていると言われています。こんな具体例もあります。なんと10メートル先に落ちた針の音を聞き取れるという結果です。
そんな繊細な聴覚の持ち主でしたら大きな音はさぞ恐怖に感じるでしょう。人にとっては大きな音でなくとも、愛犬にとっては恐怖の対象になるかも知れませんね。
3.首や背中の毛が逆立つ
音を怖がっているとき、耳や背中の毛を逆立てることがあります。猫が威嚇するとき、毛を逆立てる様子を見たことはありませんか?犬は、恐怖を感じたときにも毛を逆立てることがあるんです。首や背中の毛を逆立てること様子は、長毛の犬ではわかりづらいかもしれませんが、柴犬くらいの毛の長さであれば、よく確認することができます。
4.挙動不審になる
音を怖がっているとき、落ち着かず、ソワソワとし、部屋中を動き回るなど、挙動不審な様子が見られることがあります。音が自分の身に降りかかってくるかのように感じ、逃げ惑っているのかもしれません。音から逃れようとして、どこか身を隠すことができる場所はないかと、探し回っているのかもしれません。信頼できる相手を頼ろうとして、飼い主さんや家族の後をついて回ることもあります。
5.脱走する
雷や花火の大きな音を怖がり、脱走してしまう犬が多いようです。外で飼われている犬が、音を怖がり、首輪を抜いたり、リードを引きちぎるなどし、脱走するケースがあります。
しかし、実は、外で飼われている犬よりも、室内で飼われている犬の方が、音を怖がり、脱走したというケースが多いようです。飼い主さんや家族がドアや窓を開けた瞬間、飛び出してしまうことがあります。網戸を突き破り、飛び出してしまうことがあります。とくに多いのは、お散歩中に音を怖がり、逃げ出してしまうケースです。
まとめ
犬が音を怖がっている時の仕草や行動には、
- カラダを震わせる
- 耳を後ろに倒す
- 首や背中の毛が逆立てる
- 挙動不審になる
- 脱走する
などがあります。音を怖がる犬はとても多いですが、全く音を怖がることのない犬もいますね。子犬の頃から聞き慣れていて、不安や恐怖に感じることがないのかもしれません。子犬の頃から聞き慣れていても、突然、音を怖がるようになる犬もいます。経験によって、個体差が生まれるのかもしれませんね。