犬は、本能的に病気や自分が弱っていることを隠す傾向があります。これは、野生で暮らしていたころの習性で、敵に襲われないために自分が弱っていることを隠す必要があったからといわれています。
そのため、相手に本当はビビッていたとしてもバレないように隠そうと振る舞うのはごく自然な行動ですが、実は、しっぽや耳、仕草などは無意識にストレスを表しているのです。それぞれの仕草にはどのような意味が込められているのかを知ることで、余計な恐怖を与えることなく、愛犬を危険から守ることにも繋がります。
そこで、今回は犬が「本当はビビッている」時にするしぐさ5つをご紹介します。
1.しっぽや耳が下がる
犬のしっぽや耳は、体の中でも感情に最も素直に反応する部分です。それだけに、犬が「ビビってる」場合にも特有の動きを見せます。
普段は立っていたり上を向いているしっぽが下がっているのは、気分も下がっている証拠。更に、後ろ足の間にしっぽを巻き込んでしまっている場合にはより強い恐怖を感じていると考えられます。
また、耳をパタンと倒すのは信頼している相手に甘える時の仕草でもありますが、体を屈めている、しっぽを下げている、震えていたりする場合は、恐怖を感じている合図です。
2.腰が引ける
一見、何でもなさそうに見えても腰が引けている場合は「実はビビってる」状態です。見たことのないものや警戒すべきものを前にして、それが気になって「確かめたいけど、やっぱり何が起きるかわからなくて怖い」と感じて腰が引けているのでしょう。
くんくんと対象の匂いを嗅いだり、前足で少し触ってみたりしながらも腰が引けている場合には、何かが起きたらすぐに逃げ出せるように保険をかけている態勢というわけです。
3.首元を掻く
後ろ足でしきりに首の辺りを掻くのも、実は恐怖を感じているサインです。犬には、不安や恐怖で強いストレスを感じたとき、相手や自分の気持ちを落ち着かせるために見せる「カーミングシグナル」という仕草があります。
この首元を掻くという行動は、代表的なカーミングシグナルとされています。こんなときは、「落ち着くんだ、わたし!」と自分に言い聞かせているか、恐怖を感じている相手に「どうか落ち着いてください!」と訴えかけているのです。
4.動きが止まる
ふと、それまでしていた動作をピタリと止めるのも、恐怖を感じているときの仕草です。中には、猟犬のポインターが獲物を見つけたときの合図でする「ポイント」という動作と同じように、片方の前脚を曲げた状態でピタリと止まる犬もいます。
これは、動きを止めることで恐怖を感じている対象に対して全神経を集中させ、警戒しています。
5.地面の匂いを嗅ぐ
犬が地面の匂いを嗅ぐのは、情報収集や探し物のためといったイメージが強いかもしれません。ですが、実は地面の匂いをしきりにくんくんと嗅ぐのもカーミングシグナルのひとつ。
一見、全く関係のない動作をとることで気を紛らわそうとしているサインとも、「わたしはあなたには興味はありませんよ。あなたのことなんて何とも思ってませんよ」とアピールしているともいわれています。他にも、さまざまなカーミングシグナルがありますので、調べてみると面白いかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?愛犬が何気ないように振る舞っていても、「本当は恐怖を感じている」と、飼い主なら気づいてあげたいですよね。
ちょっとした体の動きや仕草などから恐怖を感じていると気づくことができれば、愛犬が何を苦手なのかをしっかり把握でき、今よりもさらに穏やかな暮らしを提供してあげることもできるかもしません。
そのためにも、普段から愛犬の些細な仕草に注目しておくことが必要ですよ。
監修ドッグトレーナーによる補足
「犬の気持ちが分かればどんなに良いだろう」と思うのは愛犬家なら当然のことでしょう。実は、犬は全身で気持ちを伝えています。しっぽや耳、鳴き声や仕草や行動に注目することで犬の気持ちを読み解くことができます。
それぞれにどんな意味が込められているのかを知りよく観察することで、今まで見過ごしていた愛犬の気持も理解することが可能となり、信頼関係もさらに深まりますよ。