日本での飼育がむずかしい犬種①超大型犬種
日本で飼育がむずかしい犬種の特徴として考えられるのが、“体が大きい”というものです。
- グレートデン
- アイリッシュウルフハウンド
- バーニーズマウンテンドッグ
- セントバーナード
- レオンベルガー
- ニューファンドランド
- イングリッシュマスティフ
など、大型犬の中でも特に体の大きな超大型犬に分類される犬種を日本の住環境で飼育するのはむずかしいとされています。
広々とした庭のある住宅や自宅周辺にゆったりと散歩することのできる豊かな自然があるような環境であれば、超大型犬と言われる犬種でも飼うことは可能だと思います。
しかし、日本の都市部では住宅が密集しており、マンションや3階建ての戸建て住宅などが数多く立ち並んでいます。幅の狭い道路も多く、犬を散歩させることを禁止されている公園なども少なくありません。
そうした環境の中で超大型犬が十分な運動をして必要な筋力と体力をつけ、精神的に満たされた生活を送ることは余程の工夫がなければむずかしいと考えられているのです。
日本での飼育がむずかしい犬種②原産が寒冷地の犬種
犬が快適に過ごすためには気温や湿度などの環境についても配慮しなければなりません。被毛に覆われた犬たちは、基本的に暑さに弱く寒さに強い傾向を持っています。
そのため、高温多湿の日本の夏は犬の体に大きな負荷をかけると考えられ、近年の温暖化の影響もあり犬の熱中症が非常に多く見られるようになってきています。
特に暑さに弱い犬種
数々の犬種の中でもと言われているのが、原産国が寒い地域の犬種や寒冷地で仕事をしていた犬種です。具体的には、
- シベリアンハスキー
- アラスカンマラミュート
- サモエド
- グレートピレニーズ
- セントバーナード
などが挙げられますが、これらの犬種はロシアや北欧などが原産で、雪山で救助犬やそり犬として働いてきた犬種です。
そのため、過酷な寒さにも耐えうるだけの被毛を持っているのが特徴。他の犬種に比べて保温効果の高い下毛が密集し、太く長い上毛で体の熱を逃さないような仕組みになっており、厳しい寒さの中でもしっかりと活動できる体になっているのです。
その反面、暑さに弱いという特徴を持ち日本の蒸し暑い梅雨や厳しい日差しが降り注ぐ夏には熱中症になるなど体調を崩してしまいやすいと考えられています。
そのため、これらの犬種を日本で飼育している場合、春先から真冬に突入する直前まで家の中は冷房をかけっぱなしにしているという家庭も少なくありません。飼育自体が不可能なわけではありませんが、他の犬種以上に生活環境に配慮が必要だとされています。
日本での飼育がむずかしい犬種③攻撃性の高い犬種
攻撃性が高い傾向にある犬種は、日本に限らず万国で飼育がむずかしいと認識されています。イギリスなどでは一部犬種を人や他の動物に危害を加える可能性が高い「危険犬種」として指定し、飼育や繁殖を禁止しています。また許可を得て所有する場合も必ず口輪をしなければならないなどと定められています。
基本的に日本ではどのような犬種であっても飼育が可能ですが、日本では攻撃性の高い犬種を飼うことが特にむずかしいと考えられています。その理由として、日本における犬のしつけに関するレベルが十分に進んでいないことや、犬との共生文化が浸透しきっていないということが挙げられます。
つまり、日本人は犬のしつけや扱いにあまり慣れていないため、攻撃性の高い犬種をしっかりとコントロールして飼育することがむずかしいと考えられているのです。
接し方の知識や技術が普及していない
攻撃性の高い犬種であっても、適切な接し方や扱いをすることで普通の家庭犬と何ら変わりなく飼育することも可能ですが、そのためには飼い主の知識や技術が必要とされているのです。
日本ではまだまだ犬の教育をはじめ、飼い主自身が犬の扱いに関する知識や技術を身につけることが一般的には普及していないのが実情です。
欧米では犬を飼ったらまずパピーパーティーやしつけ教室に参加させることが広く浸透しています。社会の中で犬と生活を送る方法を身につけることを当たり前だと考える傾向が強いとされ、特にイギリスやドイツ、スウェーデンなどはペット先進国として世界から注目を集めています。
攻撃性が高いため飼育に危険が伴うと考えられる犬種としては、ピットブルやロットワイラー、土佐闘犬、秋田犬などが挙げられます。ただし、これらの犬種は体が大きく力で制御しきれないため特に危険と考えられるだけで、小型犬の中にも攻撃性が高い傾向にある犬種は少なからずいます。
また、攻撃性については個体差も大きいため、そうした傾向が見られる場合はしっかりとしたしつけが必要となります。
まとめ
ここでは日本の気候や住環境、また日本における犬文化の遅れを理由として「飼育がむずかしい」と考えられる犬種とその特徴について紹介してきました。しかし、ここで挙げた犬種を日本で問題なく飼育している人も数多くいます。
大切なのは、それぞれの犬の特徴や傾向をしっかりと理解し、適切な環境を用意して飼い主自身が犬の扱いをきちんと学ぶという姿勢を持つことだとです。その覚悟を持つことで、どのような犬種であっても家庭に迎え入れて幸せに暮らしていくことは十分に可能なことだと思います。