1.温度と湿度
犬たちは全身毛におおわれていて、汗腺も鼻や足裏など限られた部分にしかありません。
そのため気温が高いときは体温の調節をすることが難しいと言えます。暑くなればハッハッと口から細かく息を吐きますが、これも体温調節をするための大切な行動です。大きく口を開けて呼吸をすることで舌や口腔から唾液を気化させ、熱くなりすぎた体温を放熱しているのです。
しかし外気温が高く、また湿度が高いときはこの口からの放熱が阻害されます。特に日本の夏の屋外では湿度が高いため唾液が気化せず、体内に熱がこもったままになってしまうのです。
また、犬の場合は人間より体と頭の位置が地面に近く、アスファルトの輻射熱や蒸気など過酷な環境で歩いていると考えてあげる必要があります。ハアハアと息をしすぎて脱水を起こす危険もあります。
このため夏場のお散歩の場合、気温や地面の温度に注意してあげてさらにいつでもお水を飲めるようにしてあげることが大切ですね。
2.外敵
近年では室内で飼育されている犬が多いため寄生虫の問題も減少してきてはいるようですが、やはりお外を散歩するときには各種の寄生虫や病気の感染に注意をするべきでしょう。なかでもよくくっついてきてしまうのは次の通りです。
蚊
こちらは皆さんご存知のフィラリアを媒介する昆虫です。蚊に刺されただけでもかゆくて嫌なのに、血液を吸う際に蚊の体液を注入されることで蚊からフィラリアの幼虫を移されることがあります。
フィラリアの幼虫は体内をめぐって血管内に入り、その後成長することで長い糸のような成虫となりそれが繁殖すると血管を詰まらせる病気を起こす原因となります。
5月以降には毎月フィラリアのお薬を飲ませている方も多いのではないでしょうか。駆虫剤があるから安心、ではなく、なるべく蚊に刺されないように工夫してあげることも大切です。
ノミ・マダニ
ちょっとした原っぱなどを歩いた際、あるいはよその犬と接触があったときは注意しましょう。
ノミ、ダニのいずれの場合も、寄生されることで血液を吸われたり卵を産み付けられたりして繁殖し皮膚疾患を起こす危険と、別の病原菌や寄生虫を媒介させる危険があります。
こまめに被毛や皮膚の状態をチェックしてあげ、もし見つけたらすぐ取り除くのではなく専用のお薬やシャンプーなどを利用して駆除してあげましょう。
病原体(細菌・ウイルスなど)
道路というのは何が落ちているかわかりません。目に見えるごみや食べ物以外にも注意してほしいのが、病原菌です。
毎年のワクチンをちゃんとしている方は気にしていないかもしれませんが、お外を素足で歩く犬たちにとっては病原菌を踏んで歩いているのと同じことで、これを帰宅してからなめたり、歩いているうちに吸い込んだりしていると思うとちょっと気になりませんか?
散歩をしていると強烈な下痢などを起こすパルボや神経系に影響を及ぼすジステンパー、最近であれば人の間で流行しているコロナなど、様々なウイルスを体にくっつけて歩いているということになります。
犬の体そのものに影響を及ぼす病原体であったり、人に影響のある病原体だったりさまざまな場合がありますが、帰宅したらちゃんと手足や体の表面を吹いてきれいにしてあげましょう。
3.有毒な植物
犬は意外と草を食べます。お散歩の途中でちょっとそこらの道草をぱくっとすることは珍しくありません。
しかしこの「道草を食う」こと、ちょっと注意が必要な植物も多いのです。
よくある花壇や鉢植え、路肩の植物などの中で食べると中毒症状を起こすなど注意が必要なものをいくつかピックアップしましょう。
- アサガオ
- アジサイ
- スイセン
- チューリップ
- スズラン
- アロエ
- ソテツ
- ワラビ
- イラクサ
などです。
まとめ
お散歩はとても楽しいものですが、犬の健康を損ねる危険が潜んでいる場合があります。健康のための運動で逆に体調を崩したりしないように、お散歩ルートの危険性などをあらかじめ確認しながら行くと良いですね。