犬の口腔内にはどれだけの細菌がいるの?キスは避けるべき?

犬の口腔内にはどれだけの細菌がいるの?キスは避けるべき?

犬は感情表現として飼い主さんのお口を舐めたがるものですが、衛生面が少し気になるところ。愛犬が一生懸命ペロペロとキスをしてくれるのは何とも嬉しいことですが、愛犬とのキスにはリスクがあるのでしょうか?今回は「犬の口内細菌」について解説いたします。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の口腔内細菌はどのくらい?

口を開けているダルメシアン

犬の口腔内細菌は約400種類が特定がされています。まだ特定されていないものを含めると、今後細菌数がもっと増える可能性があります。

人間と犬は保有する菌の種類が違う

人間の口腔内にも同じく約400~500種類の細菌が存在しています。しかし、人間と犬とでは細菌のバリエーションに違いが見られます。人間と犬で共通して保有している菌は約15%程度です。人間と犬の口腔内細菌の種類がほとんど違うのは、人間と犬の食べ物が違うためであると考えられています。

人間に有害になりうる菌

顕微鏡を覗く女性

パスツレラ菌

70%の犬の口腔内にいる菌で、猫の場合ではほぼ100%存在すると言われています。噛まれることがなくても、犬に口の周りを舐められたり、犬の唾液などが飛ぶなどの理由でも感染症を引き起こし得る細菌です。

  • 皮膚の化膿
  • 呼吸器系疾患
  • 骨髄炎
  • 敗血症

などを引き起こす例があり、死に至ってしまったケースもあります。

カプノサイトファーガ

こちらも犬の口腔内にいる細菌で、カニモルサス、カニス、サイノデグミという3種類があることが分かっています。カプノサイトファーガ菌は、咬まれたり引っかかれたりすることで感染症を引き起こす恐れがあります。

  • 発熱
  • 倦怠感
  • 頭痛

などの症状で自然に治まることがほとんどですが、

重篤化すると

  • 敗血症
  • 髄膜炎
  • 播種性血管内凝固症候群

などの救急医療が必要な全身症状に進行する恐れがあります。

報告されている患者数は少なく、発症率は低いとされています。しかし、日本国内では1993年~2017年末の24年間で93件の感染が確認されており、そのうち19例が死亡に至っています。そのほとんどがカニモルサスの感染で、軽症で2件のサイノデグミの感染が報告されています。海外でも発症に至って重篤化してしまったケースもあるため油断は禁物です。

手足の大部分を失った女性の例

エマージェンシーの看板

2007年オーストラリアで、ある女性が病院に緊急搬送されました。搬送された女性の症状は、両腕両足が冷えて斑点が出ており、顔は紫色に、ほとんど話すことが不可能という重篤な状態でした。その原因は細菌感染によるものでした。

カプノサイトファーガ・カニモルサス菌が原因

カプノサイトファーガ・カニモルサスという菌が原因であることを特定できた頃には、その女性の入院は2週間に及んでいました。最終的に抗生物質によって回復することができましたがすでに遅く、女性は左膝下と右足の一部、手足の指全体を切断せざるを得ませんでした。

その女性が具合が悪くなる以前のことを思い返してみると、足の甲を軽く火傷したことを思い出しました。そして、その火傷部分を愛犬が舐めたということも。

こんな場合は要注意!

注意マークの積み木

犬に口や手などを舐められたからといって、必ず感染症を引き起こすわけではありません。

しかし、

  • 傷口を舐められた
  • 血が出る咬まれ方をした

など、傷口に犬の唾液が付着した可能性がある場合や、

  • 高齢者
  • 妊婦
  • がん患者
  • アルコールを過剰に飲む人
  • 脾臓を摘出した人
  • ステロイドなど特定の薬を服用している人

など、免疫力が低下している状態の方の場合は、細菌感染が重篤な症状になる危険がありますので注意をしましょう。

まとめ

眼鏡の女性にキスをする犬

犬の口腔内には約400種類もの細菌がいます。それらは健康な犬でも保菌していることが普通なのですが、その細菌の中には人間に感染すると最悪の場合死に至る恐れのある種類も存在しています。犬の口腔内細菌による感染症の原因菌はパスツレラ菌とカプノサイトファーガ菌であることが多く、国内外で感染例が報告されています。犬とキスをしたからといって必ず感染症になるわけではありませんが、犬の唾液が付着した場所に傷口があった場合や免疫力が弱い状態の方は感染症の発症に十分注意しましょう。

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