愛犬に人の食べ物を与えていませんか?
愛犬は家族の一員だからと、人と同じ食事を与えていませんか?あるいは、愛犬のおねだり攻撃に負けて、食事やおやつをおすそ分けしていませんか?
残飯にお味噌汁をかけたものが犬の食事の定番だった時代もあるので、人の食べ物を愛犬に与えても問題ないだろうと思う飼い主さんもいるかもしれません。
でも、「犬に人の食べ物を与えてはいけない」と言われています。与え方や量に注意すれば犬に与えても大丈夫な食材もあるので、厳密には「人用に調理や加工された食べ物を与えてはいけない」という意味なのですが、どうしていけないのでしょうか?今回は、その理由をご紹介します。
犬に人の食べ物を絶対に与えてはいけない理由
①犬と人とでは必要な栄養素の割合が違うから
オオカミが祖先と言われている犬は、もともとは肉食動物です。しかし人と長い間共に暮らし、さまざまな食べ物を与えられているうちに、人と同じ雑食になりました。そのため、犬も人も必要な栄養素の種類は基本的に同じです。
でもだからといって、犬に人と同じ食事を与えていると栄養のバランスを崩してしまいます。なぜかというと、必要な栄養素は同じでも、犬と人とでは必要な栄養素の割合が異なるからです。
例えば、もともと肉食動物である犬は、人より多くのタンパク質が必要になります。また、人は体内でビタミンCを合成できませんが、犬は体内でブドウ糖からビタミンCを合成できるため、健康であれば食べ物からビタミンCを摂取する必要はないと言われています。
愛犬には、犬の栄養バランスを考慮した食事を適量与えることが大切です。
②肥満や病気になるリスクが高まるから
人用に調理や加工された食べ物は、犬には脂肪分や糖分、塩分が高すぎます。脂肪分や糖分の過剰摂取は肥満につながりやすく、塩分を過剰に摂取すると心臓病のリスクが高まります。肥満は見た目の問題だけでなく、さまざまな病気を引き起こすので軽視は禁物です。
たとえ「少しだけ」のおすそ分けも、積み重なれば肥満や病気のリスクが高まるので、愛犬に人の食事を与えるのはやめましょう。ハムやチーズなどの加工品も、人用のものはNGです。犬用のものを適量与えましょう。
③困りごとにつながるから
私自身は味見したことはありませんが、ドッグフードはにおいが強い割に味は薄いそうです。普段薄味のドッグフードばかりを食べている犬からしたら、人の食事は味が濃くておいしく感じることでしょう。
一度人の食事を与えると犬はそのおいしさを覚えて、次に飼い主さんが食事をするときにも「それちょうだい」とおねだりしてくるかもしれません。
そして飼い主さんがおねだり攻撃に根負けをしておすそ分けしてしまうと、飼い主さんが食事をするたびにおねだりするようになる可能性があります。犬それぞれおねだりの仕方は違いますが、もらえるまで吠え続けることも…。
また、人の食事を与えていると濃い味に慣れてしまって、薄味のドッグフードを食べなくなる原因にもなります。
おねだり癖や、ドッグフードを食べなくなるといった困りごとを回避するには、おいしい味を覚えさせないこと、つまり人の食事を与えないのが一番です。
④犬に有害な食べ物があるから
人が食べても全く問題ない食べ物が、犬には有害である場合があります。その食べ物をそのまま与えていなくても、その食べ物の成分が含まれた料理を与えることで具合が悪くなることもあるので、犬に人の食事を与えるのは危険です。
具体的にどのような食べ物が犬に有害なのかは、このあと詳しくご紹介していきます。
犬にNGな食べ物
犬には有害であるために、与えてはいけない食べ物は意外に多いです。今回はその中から5つの食べ物をご紹介します。
①ネギ類
タマネギ、長ネギ、ニラなどのネギ類に含まれている犬に有害な成分が赤血球を破壊するため、犬がネギ類を食べると溶血性貧血を起こし、血尿や黄疸などの症状が出ることがあります。いわゆるタマネギ中毒です。
ネギ類に対する感受性には個体差があり、大量に摂取しても無症状の犬もいれば、わずかな量でも症状が出る犬もいます。
ネギ類の有害な成分は加熱や加工をしても分解されないため、ハンバーグやシチュー、餃子、すき焼き、肉じゃがなどネギ類を使った料理や煮汁などを与えるのもNGです。
②生のイカ、タコ、カニ、エビ、貝類
生のイカ、タコ、カニ、エビ、貝類には、ビタミンB1を分解するチアミナーゼという酵素が含まれているため、犬に大量に与えたり継続的に与えたりすると、体内のビタミンB1が欠乏して、食欲不振、嘔吐、足のふらつきといった症状が出ることがあります。
チアミナーゼは加熱すると働かなくなりますが、イカ、タコ、カニ、エビ、貝類は消化が悪いため、加熱しても犬に与えるのはあまりおすすめできません。
③ブドウ、レーズン
犬がブドウやレーズン(干しブドウ)を食べると、中毒症状を起こすことがあります。食べてから数時間後に下痢や嘔吐といった症状が見られることが多く、重症の場合は腎不全を起こし死に至るケースもあり、ブドウやレーズンは犬にとって危険な食べ物です。
④チョコレート
チョコレートに含まれているテオブロミンという成分が犬に中毒を起こす恐れがあります。中毒を起こした場合、嘔吐やけいれん、パンティング(浅く速い呼吸)などが見られ、最悪の場合は死に至ることもあります。犬にチョコレートを与えるのは絶対にやめましょう。
⑤キシリトールを含んだ食品
虫歯予防に有効とされているキシリトールは、人用のガムやキャンディなどに含まれていますが、これを犬が食べてしまうと中毒を起こし、低血糖や肝障害に陥る危険性があります。
人用のガムやキャンディを犬に直接与えることはないと思いますが、誤食しないようにしっかり管理しましょう。
まとめ
「犬に人の食べ物を与えてはいけない」と言われているのは、ご紹介したような理由があるからです。
愛犬には犬の栄養バランスを考慮した食事を適量与えて、飼い主さんの食事中に愛犬がおすそ分けをおねだりしてきても応じないようにしましょう。そのときはかわいそうに思えても、無視を貫くことが愛犬の健康を守ることにつながります。飼い主さんが目を離した隙の盗み食いにも注意してくださいね。
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20代 男性 匿名