どうして他人の口をなめるの!?
犬が飼い主さんや家族の口をなめることはよくあることです。愛情表現だとして、受け止めていらっしゃるのではないでしょうか。相手が飼い主さんや家族である場合にも、犬が口をなめることには、いろんな理由があります。甘えている・慰めている・構ってほしい・おねだりしている・遊んでほしいなどです。
では、愛犬が他人の口をなめているのを目撃したことはありますか?飼い主さんや家族の口をなめる理由と、他人の口をなめる理由は、どのように違うのでしょうか。理由を知っておくと、相手との関係性を知るキッカケにもなるかもしれません。
1.ただ気になるから(実はもっと知りたい)
犬には、気になるものをなめることで、そのモノの情報を得ようとする、という習性があります。気になるものがあるとき、まずは様子をうかがい、ニオイを嗅ぎます。
そして、さらに、なめて確認しようとします。犬が他人の口をなめるのは、“ただ、気になるから…”という気持ちでもあり、様子をうかがい、ニオイを嗅ぐだけでは足らず、“もっと知りたい”という気持ちも込められているのではないかと思われます。
逆に考えると、“別にこの人のこと気にならないよ”という相手であれば、近づいても来ませんし、ニオイも嗅ぎませんし、口をなめることなんて決してないと思います。
監修ドッグトレーナーによる補足
実は、人間の赤ちゃんも同様の行動をします。
犬と同様、赤ちゃんは視覚が未発達なため、気になる物は口に入れて確認しようとします。
2.食べ物のニオイがするから
食事や間食をした直後だったのかもしれません。食べ物のニオイがし、他人の口をなめる理由になってしまうことがあります。“何か美味しいもの持ってるの?”と、確認しているのかもしれません。“私にもちょうだい?”と、おねだりしているのかもしれません。
飼い主さんや家族以外の他人からも、おやつや食べ物をもらう習慣がある犬であれば、よくある行為なのではないでしょうか。
たとえば、幼い子供と暮らしている犬の場合。子供の口元には食べ物が付きやすいですよね。自分自身で拭き取ることができず、そのままになっていることがあります。それをなめることを常に狙っている犬もいます。
そのようなことが日常的にあると、他人の口もなめて確認せずにはいられないのかもしれません。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬同士の挨拶でも見られる行動です。
互いの口元のニオイを嗅いで近場に食べ物があるかの情報交換をしているんです。
3.敬意や好意を示すため
犬の祖先であるオオカミには、上位者の口をなめることで、敬意や好意を示す、という習性があるとされています。このことが、犬にも影響し、習性として残っているのではないでしょうか。
相手が他人であるときは、その相手への敬意を示すための挨拶代わりの行為であったり、“あなたのこと好きだよ”という気持ちを伝えるために、口をなめるのではないかと考えられます。相手が飼い主さんや家族なのであれば、“愛している”のサインであったり、よほどの信頼がある証拠だと思います。
監修ドッグトレーナーによる補足
口の中には牙があることを分かった上で口元をなめる。なめる側には大きなリスクがある。
噛まれるリスク分かった上でなめるのは、相手に対する敬意や好意を伝えるという意味になります。
4.コミュニケーションをとろうとしている
私たちが“はじめまして”と自己紹介をするように、“こんにちは”と挨拶を交わすように、犬も行為によって示します。言葉を話すことができない犬ですから、なめるという行為によって示すことがあります。他人の口をなめることで、コミュニケーションをとりたいと考えているんです。
飼い主さんや家族の口をなめたとき、愛情表現だとして受け止めてもらえますし、喜んでもらえることを知っています。そうすると、他人に対しても、同じような行為で気持ちを伝えようとするのです。
他人であると、犬になめられるという行為は、嫌がられてしまうことがほとんどですが、犬にはそのことがわからないからです。
まとめ
犬が他人の口をなめる理由には、
- ただ、気になるから(実は、もっと知りたい)
- 食べ物のニオイがするから
- 敬意や好意を示すため
- コミュニケーションをとろうとしている
などを考えることができます。しかし、他人の口をなめるという行為は、犬にとっても、人にとっても、あまり良いものではありません。嫌がる人がほとんどですし、汚いと思われているかもしれません。相手のことを考え、愛犬のなめるという行為には十分に注意しましょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
愛犬に口をなめられると、とても嬉しくなる飼い主さんも多いと思います。しかし、犬の口内には約400種類もの細菌が豊富にいます。中には人に感染する細菌も。
なめられたからと言って必ず感染症になるわけではありませんが、口内に傷や口内炎、免疫力が低下している状態の方は、感染症のリスクが高くなる可能性があるので気を付けましょう。