犬が『混乱』している時に見せる行動5つ
1.吠える
自分の意図したことが伝わらず、また、自分がどう行動していいのかもわからなくなると、人間同様、犬も戸惑い、混乱します。その結果、自分の意思を何とか伝えようとして大きな声で吠えることがあります。
2.飼い主さんの指示に従わない
名前を呼んでも無反応で、飼い主さんの「おいで」「まて」などの指示に全く従いません。
3.破壊行動
家具を齧ったり、スリッパ、ソファ、衣服などを噛み千切ります。また、むやみに走り回って障子や壁にぶつかり、破壊します。
4.攻撃的になる
飼い主さんや家族の誰かが体に触れようとすると、威嚇して唸り、噛もうとします。また、飼い主さんがなにか指示を出すと、明らかに反抗的で高圧的な態度になり、飼主さんに向かって吠えたり、唸ったります。
5.臆病にになる
「攻撃的になる」の逆で、飼い主さんが側にいて家の中にいても、聞きなれない音がしたり、車の音やサイレン、雷などに異常に怯えて身を隠そうとします。
また、飼い主さんと一緒に散歩に出かけていても、聞きなれない音や工事やサイレンなどの大きな音に怯えます。
犬が混乱する原因
飼い主の感情の動きが理解出来ない
人間には、喜怒哀楽があり、感情の起伏があります。
けれども、犬と接している時、特に愛犬に家族として暮らしていくための正しいルールを教えなければならない時期に、一貫したルールなどなく、飼い主の気分次第で褒められたり、叱られたり、優しくされたり、冷たく扱われたりすると、犬は飼い主の心の動きを理解することが出来ずに、混乱します。
飼い主を信頼出来ない
犬は、集団生活を送って生きてきた動物です。しかも、人間とは長い長い共生生活を過ごしてきた歴史があり、人に飼育されている犬にはその歴史の記憶が刻み込まれています。
ですから、犬には「人間に保護されていたい、人間と共に安全な場所に身を置きたい」という欲求があります。ですから、犬が自分自身で自分の家族を守らなければならないと思うような頼りない飼い主だと犬は、飼い主を信頼しません。
犬自身が家族を守ろうとする行動は、当然、人間との暮らしの中では通用しません。おそらく理解出来ない、傍若無人な行動にしか見えないでしょう。こういった行為も、犬が混乱した結果、引き起こされる問題の一つと言えます。
愛犬を混乱させる飼い主の行動
ルールを教えるのに一貫性がない
「テーブルの上の食事を食べてはいけない」「外から帰った来たら足を拭く」「人を咬んではいけない」「マテ、と言われたらヨシ、と言われるまでは待つ」など人と犬とが一緒に生活するためには、犬が覚えなければならないルールがたくさんあります。
例えば、仕事の指示を出す人が複数いて、その人たちがそれぞれ違う指示を出すと、その指示に従って働く人が「…だれの言うことを聞けばいいの?」「…なにから優先して仕事を進めるべきなの?」と混乱します。
せめて、指示を出す人が複数いたとしても、優先順位や仕事の進め方に対する指示などが一貫していたなら指示を出す人が複数いても混乱は少なくて済みます。
犬が家庭の中で暮らす場合も同じことで、犬に指示を出す人が複数いて、家庭の中で守るべきルールに一貫性がないと、知能が高く人の言葉をきちんと理解している犬であればあるほど、混乱します。
犬に対する理想が高い
「犬は利口だから、きっと出来るはず」と思い込み、躾やルールを教える際に犬が上手に出来ないと「なんで、うちの犬は物覚えが悪いんだ!」と自分の犬に幻滅します。犬に対する理想が高いのに、その理想通りに犬が成長しないと、叩いたり、蹴ったりといった体罰によって犬を支配しようとします。
褒める時と叱る時のメリハリがない
飼い主さんの感情の起伏が薄く、口調や声だけでなく表情にも感情が現れないと、犬は飼い主さんの気持ちを理解出来ません。また、犬がルールを破った時、しっかりと叱ったり、「無視」という罰を与えないと犬はいつまで経っても「自分が守るべき家族のルール」を覚えることが出来ず、混乱したままになってしまいます。
常に感情的に接する
自分の感情を優先し、愛犬がしっかりと家庭の中で守るべきルールを守れていても、飼い主さんのその時の感情で、褒めたり褒めなかったり、無視するように接したりしていては「どうして、この前は褒めてくれたのに今日は褒めてくれないの?」と犬が混乱します。
愛犬を混乱させない行動
家族のルールを統一する
犬を家族に迎え入れる時に、全員が犬に家族として守るべきルールを教えるために「テーブルの上に登らない」「噛まない」「名前の呼び方」「上手にトイレが出来たらしっかりと褒める」など、統一したルールを決めておきましょう。
「犬のしつけ」とはなにかを家族全員が理解する
犬が人間と一緒に暮らす際に、吠える、噛む、家の中で暴れまわり家具などを破壊する、脱走する、などの問題行動を起こす時には、必ずなにか原因があります。人間だけの都合を犬に強いるのではなく、まず、犬の習性を知り、その上で犬のしつけがなぜ必要なのか、どう躾けるのかなどについて家族全員が話し合い、理解しておきましょう。
指示は簡素に短い言葉ではっきりと
犬は、人間の言葉をまず「音」として捉え、前後の行動などを見てその「音」と関連づけて、本当の意味を理解します。ですから、犬を混乱させないようにするには、なにか指示を出す際は「マテ」「おいで」「いいこ!」など出来るだけ簡素な短い言葉ではっきりと伝えましょう。
まとめ
人に飼われている犬が混乱していると、さまざまな問題行動をおこすようになります。せっかく深い縁があって家族なったのだから、愛犬も飼い主さんも楽しく、毎日を過ごせるように、飼い主さんとご家族が犬に対して確かな知識を持ち、なおかつ常に穏やかな気持ちで愛犬に向き合いましょう。