犬は悲しんでいる人を慰めるような仕草をする
ある時、悲しんでいると、そばで遊んでいた愛犬がすっと隣にやってきて、頬を舐めたり、前足を膝の上に乗せるような行動を見せてきた…という経験はありませんか。まるで「どうしたの?」「大丈夫?」と心配して慰めてくれているような行動ですよね。
しかし、実際は犬が人間の感情を察知し、慰めるような意味でこのような行動を起こしているのでしょうか。
結論から言うと、答えは限りなく「YES」に近いです。人間同士ほど明確に「悲しい」という感情を理解しているということではありませんが、「なんだか飼い主さんが元気ない」「大丈夫かな?」というように、異変を感じ取り、その気持ちを分かち合おうとしてくれているのです。
1.犬は人間の感情を読み取る能力に優れている
長い年月、人間と共に暮らしてきた歴史を持つ犬たちは、遺伝子的に人間の様子を観察することで、その時の人間の感情を読み取ることができる能力に優れています。
やはり長い間、一緒に暮らしてきたことで、仲間意識の強い犬は、人間のことを自然と理解しようとしてきてくれたのでしょう。
実際に、海外で行われた実験でも、犬は人間のポジティブな感情(喜び、嬉しいなど)とネガティブな感情(怒りなど)を区別していることが判明しています。主に、表情や行動、声のトーンなどで判断していると考えられています。
2.人間に対して同調する能力が高い
また、犬は人間に対して同調する能力も高いです。他の動物と比べても、人間と同じ事を共有したいという気持ちが強かったり、飼い主が嬉しそうにしていると幸せを感じたりと、共感能力に優れています。
やはり、これも人間と歩んできた歴史が長いことも関係していますが、それに加えて、元々集団行動をしていた仲間意識の強い犬たちだからこそ、本来持っている共感能力、協調性が活かされていると考えられます。
飼い主だけでなく、他の人にも寄り添うことが判明!
飼い主が悲しんでいると、傍に寄り添い、慰めるような行動を見せてくれるという話はよく耳にします。しかし、実は飼い主だけでなく、他の人に対しても慰め行動を見せる犬が多くいるのです。
そこで、イギリスのロンドン大学では、「犬が飼い主だけでなく、飼い主以外にも慰めるような行為をとるのか」という実験が行われました。
実験内容
まず、飼い主の居る部屋と、飼い主以外の人が居る部屋を用意し、18犬種の犬たちをそれぞれの部屋に招き入れました。そこで、飼い主、飼い主以外の人は、突然悲しそうに泣いたり、叫んだりする…という実験を行ったのです。
すると、今まで遊んでいた犬も遊ぶことをやめ、悲しむ人の傍へ近寄ったり、前足を乗せて心配そうに様子を覗ったりする様子が見られたのです。これは飼い主の居る部屋だけではなく、飼い主以外の人が居る部屋でも同様でした。
結果的に、18匹のうち、15匹が飼い主はもちろん、飼い主以外の人にも慰めるような行動をとったことがわかったのです。つまり、犬は高確率で、飼い主以外の人の悲しみにも寄り添うことがあるということです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。犬が悲しんでいる人を慰めるという話は有名です。そこには犬と人間が歩んできた歴史や、元々持つ集団行動の習性など、大きく分けて2つの理由が関係していました。犬たちが私たちを理解しようとしてくれているように、私たちも犬たちのことをより理解できるよう、日々精進していきましょう。