犬の『甘噛み』とは?
犬の甘噛みは子犬の頃によく見られる行為で、力を入れて本気で噛むのではなく、力加減しながら、じゃれるように噛む行為のこと。力加減しているので、噛まれても大きなケガをすることもなく、強い痛みがあるわけではないので、許してしまっている飼い主さんもいるようです。成犬になってから甘噛みをする子もいますが、できれば子犬の頃に止めさせたい行為のひとつ。子犬の甘噛みを許していると、成犬になったとき噛み癖がついてしまう危険性があります。
子犬が甘噛みする理由
子犬は産まれたばかりの頃は歯がなく、生後3週齢ごろから乳歯が生え始めます。乳歯が永久歯へと生え変わり始めるのが生後4~5ヶ月頃。多くの犬が7ヶ月から遅くても1歳までには全ての歯の生え変わりが終了します。この生え変わりの時期に歯茎に痒みを感じ、甘噛みが増えると言われています。
また子犬の頃は警戒心が芽生えておらず、非常に好奇心旺盛です。興味を持ったものに対しては、なんでも噛んで遊んでしまいます。飼い主さんの手を甘噛みすることも多いと思いますが、人間の手の噛み心地が良いことと、子犬としては単純に遊んでいるだけなので、「噛むことが悪いこと」という認識はありません。この時期に「噛んで良いもの」と「噛んではいけないもの」をしっかり教えてあげることで、成犬になってからの噛み癖を防ぐことができます。
犬の『甘噛み』におけるNG知識3つ
1.飼い主さんの「手遊び」
子犬の甘噛みしている姿は、なんとも可愛らしいものではあります。飼い主さんが、もしケガをしたとしても、小さな傷程度でしょう。痛みもそれほど強くないため、愛犬と遊ぶときに飼い主さんのほうから「手遊び」で誘ってしまったことはありませんか?愛犬の目の前に手をヒラヒラと動かして見せて、わざと甘噛みさせるように遊んではいけません。
実際に飼い主さんの手の動きに子犬の噛みたい欲求が刺激され、甘噛みして遊ぶ子は多くいるでしょう。これでは人の手は「噛んで良いもの」と学習してしまう可能性があります。飼い主さんとしては愛犬が可愛らしくじゃれる姿を近くで見ることができる、楽しい遊び方かもしれませんが良い遊び方とは言えません。噛み癖が強くなってしまう危険性があるのですぐに止めましょう。
2.大きな声で叱る
飼い主さんが大切にしているテーブルやソファなど甘噛みされたとき、大きな声で叱るのも良くありません。特に女性が甲高い声で叱った場合、犬は叱られていることを理解できず、逆に「構ってくれた」と勘違いしてしまうことがあります。
そのため、テーブルやソファを噛むと「飼い主さんが構ってくれる」と学習してしまい、その後も大切にしている家具を甘噛みし続けてしまう可能性があります。甘噛みされるのが嫌な家具などは「ダメ」のコマンドで「噛んではいけないもの」と教えてあげましょう。また噛まれ困る物は愛犬の届く場所には置かない、また噛むためのオモチャを与えて、噛む欲求を満たしてあげましょう。
3.興奮させる
愛犬と遊ぶことは飼い主さんにとっても楽しいことですよね。特に迎え入れて数ヶ月しか経っていない子犬だと、目を離すのも惜しいくらい、いつ見ていても可愛いもの。飼い主さんも愛犬と遊びたくてしょうがない時期だと思います。そんな時期に愛犬が楽しそうに遊んでいる姿を見ると、つい興奮するまで遊んでしまうことがあるかも。
犬は「嬉しい」また「楽しい」などの気持ちが高まると、興奮してしまい噛む力を全く加減することができなくなってしまいます。子犬の乳歯は永久歯に比べると、鋭くとがっているので強く噛まれるとケガをする可能性も。また、甘噛みが悪化する原因にもなりますし、一度興奮してしまった犬を落ち着かせるのも難しくなります。飼い主さん自身も愛犬が楽しそうにすると、つい「もっと楽しませてあげたい!」という気持ちになると思いますが、愛犬の様子を見つつ、興奮しない程度に遊びましょう。
まとめ
甘噛みを含めた、「噛む」という行為は、犬にとって実はごく自然な行為でもあります。すべての「甘噛み」を止めさせてしまうと、犬にとってストレスになることもあるので、噛むためのオモチャをいくつか用意して与えてください。そして、噛むためのオモチャを噛んで遊んでいる時や、噛んではいけないものを噛まなくなった時には、しっかりと褒めてあげるのも大切です。
「噛んではいけないもの」教えるには「ダメ」や「ノー」の禁止のコマンドで甘噛みを止めます。遊んでいる最中であれば、コマンドと同時に遊びを中断する、またイタズラで家具などを甘噛みしたときは、コマンドと共に飼い主さんがその場から立ち去るなど、愛犬にとって「嬉しくない」と感じる行動をとりましょう。何度も繰り返すことで甘噛みすると「嬉しくないことが起こる」と学習し甘噛みの頻度が減っていくはず。子犬のうちに根気よく教えてあげましょう。