犬の散歩の必要性①体力向上・健康管理
まず、犬にとって散歩が必要だと考えられる理由として健康管理の問題が考えられます。現在の日本では犬の室内飼育が多く、本来の適正に合った仕事をしている犬はほとんどいないでしょう。そのため、慢性的に運動不足になりがちで肥満傾向にある犬も少なくないと考えられています。
そのため、犬が運動をして体力を発散し、適度な筋力をつけて健康的な体を維持するためには散歩に出ることが必要です。もちろん散歩に行く必要がないくらい広大かつ変化に富んだ敷地で飼育されている犬の場合は体力面の心配はありませんが、そのような恵まれた場所で暮らす犬はそういないでしょう。
運動不足に陥ると、どのようなリスクがあるかということは人間と同様で、肥満になったり体力・免疫力が低下して病気にかかりやすくなったりします。また、筋力不足で足腰の怪我をしやすくなったり、老犬の場合は寝たきりになるのが早まってしまったりすると考えられています。犬が健康的に長生きするために、散歩は欠かすことのできないものなのです。
犬の散歩の必要性②社会性が身につく
犬にとって散歩が必要だと考えられるのは、運動面からだけではありません。1日のほとんどを室内で過ごしている犬にとって、散歩で外に出る時間はとても大きな楽しみになっていると思います。
外に出ることで感じる空気や音、におい、足元の感触、出会う犬や人・他の動物たちなどは、犬にとって魅力的な刺激となるはずです。様々なものに出会い、感じ、触れ合うことで犬は精神的な充足感を得るだけでなく、社会性を身につけて成長することができます。
犬の社会性とは、社会の中のあらゆるものに対して慣れていることを言い、見知らぬものや初めて会った人などに対しても平常心で対応するために必要とされています。犬の社会性は子犬の時期(生後3~4か月頃)に最も育ちやすいとされており、その時期に様々なものに触れ合って経験しておくと、どのような場面でも落ち着いて行動できる犬に成長すると考えられています。
反対に社会性を身につけず育った犬は、初めて出会うものに対して憶病になったり警戒心から攻撃的になったりパニックに陥ったりしてしまうことがあります。犬の問題行動の根本的な原因に「社会化不足」があるということは多くの行動学者や獣医師が指摘していることです。
社会性を身につけるために最も重要だと言われているのが散歩。犬は散歩に出ることで多くの刺激を得るでしょう。その刺激は犬にとって大切な知識・経験となり、心の成長を助けます。より社会性を身につけるためには、同じ散歩コースだけでなくいろいろな道・公園などを歩いて見るもの・聞くもの・出会うものに変化をつけてあげることが大切です。
散歩の必要性③ストレス発散・本能を満たす
犬は散歩で運動をして社会性を身につけます。そうすることで体力やストレスを発散して充実感を得ることができるのです。体力が有り余り、刺激の乏しい生活を続けていると精神的にストレスが溜まってしまいます。ストレスが溜まると犬は無駄吠えをしたり、家の中で物をかじったり暴れたりと問題行動を起こすようになるでしょう。また、自分の足や尻尾を血が出るほど噛むなど自傷行為をするようになる犬もいます。
さらに犬が持つ本能を満たすためには、ただ歩くだけでなくジョギングをしてみたりボールを追いかけさせたり、ドッグスポーツに取り組んでみることもおすすめです。精神的に満たされた犬は飼い主への信頼を深め、家の中などで落ち着いた時間を過ごせるようになると考えられています。
まとめ
一時期、「小型犬は室内で遊ばせれば問題ない」「小型犬は散歩不要」などということがペットショップでの販売文句として言われることがありました。そうした情報を見聞きして、散歩に行くのは大変だから小型犬を飼ったという人もいるようです。
しかし、犬の散歩は単純に運動させることだけが目的ではありません。もちろん、体力を発散させ健康的な体をつくるためにも散歩はとても有効ですが、それ以外にも様々な刺激を与えて精神的に満たされた毎日を送らせるという意義があると思います。
もしも犬が散歩を拒否する場合は、散歩の中で不安や恐怖を感じることがあるのかもしれません。また、体力的に負担を感じているのかもしれません。
まずはなぜ犬が散歩を拒否しているのかを考え、散歩コースを変えてみたり抱っこで外を散策してみたりしてみてはいかがでしょうか?散歩拒否を長期にわたってそのままにしてしまうと心身の健康が崩れてしまう恐れがあるので、散歩のバリエーションを豊富にして外の楽しみを改めて教えてあげてくださいね。