犬を車内で自由にさせたら「道交法違反」!?
「道交法違反」とは?
まず、「道交法」というのは「道路交通法」のことです。「道路交通法」は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする法律で、昭和35年6月25日に公布されました。つまり「道交法違反」とは、「道路交通法違反」のことです。
こんな車の乗せ方は道交法違反。罰金、罰則は?
ひざに乗せる
体重5キロ前後の小型犬を膝に乗せたまま運転している飼い主さんはおられませんか?
例えば、トイプードルやミニチュアダックス、ポメラニアンくらいの大きさの犬で、飼い主さんは、「この子は私のことが大好きで、膝の上でも大人しくしているから大丈夫」あるいは「人間の子供はチャイルドシートに乗せないと交通違反になるけど、犬は大丈夫」とも考えておられるのかも知れません。
実際、自分の膝の上に自分の子供さんや孫を乗せて運転している人は滅多にいません。なぜなら、「子供をチャイルドシートに乗せずに膝の上に乗せて車を運転する」という行為は、道路交通法違反になるからだけではなく、もしも、交通事故に合ったとき、運転している大人よりも最初に命を落とすリスクが高いからです。
ちなみに、0歳から5歳の子供をチャイルドシートに乗せなければいけない、と言うのは、道路交通法第71条3項により義務付けられています。違反すると違反点数1点となり、運転席であろうと助手席であろうと、あるいは後部座席であろうと、子供を膝の上に座らせて動いている車に乗っていると、その車を運転している人が1点減点されます。
では、犬を膝の上に乗せて運転していると、道路交通法のどんな法令に違反することになるのでしょうか?
道路交通法第55条第2項
犬を膝の上に乗せて運転していた場合は、道路交通法第55条第2項に抵触します。内容としては、「車両の運転手は、運転者の視野もしくは、ハンドルその他の装置(ギアなど)の操作を妨げ、後写鏡(バックミラー)の効用を失わせ、車両の安定を害し、または外部から当該車両の方向指示器(ウィンカー)、車両の番号票(ナンバープレート)、制動灯(ブレーキランプ)、尾灯(バックランプ)、もしくは後部反射器を確認できないこととなるような乗車をさせ、または積載して車両を運転してはならない」とあります。
この道路交通法第55条第2項に違反すると、違反点数1点となります。
窓から顔を出す
犬を車内で自由にさせていて、開いた窓から犬が顔を出すことがあります。車酔いする犬もいますし、風を顔に受けるのが好きな犬もいますので、気持ちよさそうにしているので窓から顔を出すくらいなら…と考えている飼い主さんがおられると思います。
けれども、3歳から4歳ぐらいの子供さんが同じことをしていたら「危ない!」と肝を冷やすことでしょう。そして、「犬が車の窓から顔を出すこと」も、道路交通法違反になります。
道路交通法第70条
犬が車の窓から顔を出していたら、道路交通法第70条に抵触すると考えられます。「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況を応じ、他人に危害を及ばさないような速度と方法で運転しなければならない」とあります。
犬が窓から顔を出していたら、何かの拍子に車から転げ落ちるかも知れません。もし、違反とされた場合、違反点数2点となり罰金9000円が徴収されます。
犬を安全に車に乗せるには?
まず、犬が運転手の邪魔にならず、自由に動き回らないようにある程度動きを制限することが大切です。そのためには、以下の方法があります。
ハーネスを付けて人間用のシートベルトに装着する
人間が座席で使用するシートベルトに装着できる専用のハーネスを装着します。
ハーネスを付けて、犬専用のフラットボードに装着する
助手席に犬が「伏せ」をした状態で座れるほどの大きさのボードをしっかりとベルトで固定します。飛び出し防止のリードがついているので、ハーネスや首輪をつけてそのリードをつないで係留します。
飛び出し防止用のベルトが付いたボックスを利用する
組立式のボックスをシートベルトに固定し、その中に犬を座らせます。ボックスの中には、飛び出し防止用のリードがついているので、ボックスの中ではある程度動くことができます。
クレートに入れる
大型犬や、多頭飼いをしている場合は、一頭一頭をそれぞれのクレートに入れて移動します。実は、この方法が犬にとっても運転手さんにとっても最も安全な方法と言えます。なぜなら、ショーブリーダーさんや、猟犬などの使役犬の運搬の際や、ペットサロンのお迎えの際にも、クレートに入れて運ぶことが多いことから、犬にとっても、運転手にとっても安全であることがわかります。
まとめ
体の大きな犬なら、車の中で大人しくしていたとしても、座る位置などによってバックミラーやサイドミラーが見えなくなる可能性があり、体の小さな犬なら運転席の足元に潜り込んでしまい、アクセルやブレーキの操作の邪魔になることもあり得ます。
愛犬と一緒に車に乗る際、愛犬の体をどこにも係留せず、自由気ままにさせておくことは、道交法違反かどうかよりも、自分の命、愛犬の命を粗末に扱っていると言わずにはおれません。
また、もしも、愛犬が原因で事故を起こして、その被害者の方が怪我を負ったり、命を落としたりしたら取り返しが尽きません。道路交通法を守れば、絶対に交通事故に遭わないとは言えないけれど、まずは、ご自分のためのためにも愛犬のためにも、安全な運転ができるように、ご自分の愛犬の性格や体格に見合った安全な車の乗せ方を選び、実践しましょう。