犬の平均寿命が延びている理由
犬の平均寿命が飛躍的に延びているのはご存じでしたか?30年ほど前と比べると、なんと約2倍になっているのです。30年ほど前の犬の平均寿命は7.5歳。現在は犬種や体の大きさによりバラつきはあるものの12歳~15歳ほどと言われているのでぴったり2倍です。
人間の平均寿命が延び続けているのと同様、犬の平均寿命が延びた理由は医療や食事が関係しているよう。また、飼い主さんが犬を「家族」として大切に育てるようになったのが大きな理由になっているのです。
飼い主さんの意識の変化
現在、犬を飼われている方は、ほとんどの方が愛犬のことを「うちの子」や「我が子」という気持ちで、一緒に暮らしていると思います。もともと犬は「猟犬」や「番犬」として人間に飼われていた動物ですが、今ではすっかり「大切な家族」になっていますよね。
私自身が子供の頃、今から35年ほど前になりますが、犬と言えば戸建てのお家の玄関先で犬小屋に鎖で繋がれていた「番犬」が多かったと思います。現在ではほとんどの犬が室内飼育で、犬種ごとの特徴や愛犬の健康状態を踏まえ、愛犬にとって快適な「居住環境」を整えているご家庭が多いと思います。
私が見ていた35年ほど前に飼われていた犬たちも、もちろん飼い主さんに愛されていたと思います。現在と違うのは飼い主さんの意識や犬に対する知識ではないでしょうか。やはり「大切な家族」として存在すようになった愛犬に、健康で長生きしてもらいたいという気持ちから、愛犬の健康状態をチェックし、異変にいち早く気づき対応する。
また、しつけや健康に関する良い情報を集め「犬に関しての知識」をつけ、愛犬が健やかに過ごすことが出来るよう心がけている方が多いからこそ寿命が延びているのだと思います。
獣医療の発達
愛犬の健康に気遣う飼い主さんが増えてきたことに伴い、犬に対する医療も発達してきました。単純に動物病院の数が増えているだけでなく、健康診断はもちろん、検査内容も人間並みで、基本的なところでは血液検査や尿検査、またCTやMRIなど高度な医療技術まで導入されているほどです。
犬は言葉で体調不良を伝えることが出来ないので、愛犬のちょっとした不調でも動物病院で診察してもらう飼い主さんも多いと思います。そんな飼い主さんの行動と獣医療の発達も犬の寿命の延ばしている理由のひとつです。
高品質なドッグフードが増えた
私が子供の頃見ていた近所で飼われていた犬たちは、子供たちから給食の残りのパンや牛乳などをもらって平気で食べていました。実際、私も与えたことがあると思います。そして、その当時、犬のご飯と言えば、飼い主さんの残り物というご家庭も少なくなかったはず。今でこそ絶対に与えてはいけないと常識になっている、玉ねぎなどが入っていたご飯もあるはずです。
市販のドッグフードが定着し始めたのが30年ほど前になるそうです。ドッグフードは定着し始めてから現在まで、常に進化し続けています。近年では無添加、無着色、グルテンフリー、グレインフリーなど、愛犬の体質や体調に合わせ選ぶことが出来るほど種類が豊富。
犬の寿命が延びたのは健康志向が高い飼い主さんが増えたことで、高品質で栄養バランスのとれたドッグフードが販売されるようになったのも理由のひとつです。
犬の高齢化による問題
介護
犬も人間同様、年齢を重ねることで、体の自由が利かなくなることがあります。目が見えづらくなる、足腰が弱くなり歩けなくなる、一日中ほとんど寝たままになるなど、老犬になることで様々な体の変化がみられます。そうなるともちろん介護が必要です。犬の介護に関しては、高齢化だけで起こることではなく、成犬でも何らかの病気で介護が必要なる可能性もあります。
愛犬に長生きしてもらいたくて、健康に気遣い病気することなく過ごしていても、いつかは寝たきりになってしまい介護が必要になる時が来るかもしれません。犬の介護は想像以上に大変です。
例えば一人暮らしの場合やお仕事が交代制などで不規則な場合でも、最期の一日まで愛犬のためにどのように関わっていくのか、助けが必要な場合はどこに連絡すればよいのかなど、あらかじめ考え、調べておくことが大切です。介護は高齢化の問題というよりも、犬を飼ったのであれば「当然起こること」として心に留めておきましょう。
飼い主さんの高齢化
犬の寿命が延びていることで問題になっているのが飼い主さんの高齢化。高齢犬のお世話をする飼い主さんが高齢という、いわゆる「老老問題」です。犬のお世話をするのは、なにかと体力が必要なこともあります。高齢犬とはいっても自力で歩けるのであれば、お散歩も必要ですし、年齢的に動物病院に連れていく機会も多いと思います。介護が必要な犬であれば尚更大変です。
飼い主さん自身が高齢により犬のお世話が出来なくなってしまい、飼育放棄に繋がり、里親探しも難しく殺処分になってしまうケースもあるようです。また、「離れて暮らす高齢の親が高齢犬を飼っている」という悩みを持つ方もいるようで、高齢の親が犬のお世話を出来なくなってしまった時、飼われている犬は誰が責任をもって面倒をみるのか、というのが問題になっています。
いっぽう犬の寿命が延びていることで、最期までお世話をすることが出来るのか心配して、犬を飼うこと自体を諦めている高齢者が増えているのも事実。正しい選択かもしれませんが、なんだか少し寂しい決断でもありますよね。
簡単に解決できる問題ではありませんが、一人暮らしの場合はやはり孤独感が強くなります。家族や近親者の良心的な協力がない限り、高齢者が犬を飼うのは難しいケースもあるようです。
まとめ
犬と生活するということは、子供のように可愛がっていた愛犬が、たくましく成長し、いつの間にか自分の年齢を追い越して、年老いていく姿を目の当たりにすることになります。犬の平均寿命が延びていて、愛犬が長生きしてくれることを、嬉しく感じるのは飼い主として当然ですよね。いつかは必ず「最期の時」を迎えてしまいますが、その時まで「更に寿命を延ばすぞ!」という気持ちで愛犬と共に笑顔で過ごしていきましょう。