理由1:楽しいから、興奮するから
雪が降ると見知らぬ物体や新しい環境に対する興味が芽生え、犬はドキドキワクワクした気持ちになります。人間の子供が雪の中で遊びたくなるのと同じです。
温かい気候や雪がほとんど降らない地域に住む人々にとって、空から舞う雪や降り積もった雪は、子供だけではなく、大人でも童心に戻って興奮してしまうことがありませんか?
犬にとっても雪の目新しさは、とても新鮮で魅力的なものなのです。
理由2:柔らかくて安心だから
室内にいる退屈さを考えると、雪の中で遊ぶことはとても健康的ですし、少しくらい寒くても犬はへっちゃらなのです。たとえ外が寒くても、犬は思い切り運動をしてエネルギーを発散することができます。
雪は雨や泥と違って毛皮を汚すことはありません。雪まみれになっても体をブルブルさせれば被毛は乾きますし、苦手なお風呂に入れられることはありませんから。柔らかくてフワフワした白い物体が、空から降って体に落ちてもケガをする危険がないことを犬は良く知っているのです。
理由3:雪原は大きなプレイルームだから
温帯気候に住む動物たちは、雪の中で戯れるのが大好きです。いつもと違う風景の中に喜びがあり、雪が降って形を変えた地形があります。雪が降ると”周囲の匂い”そのものに変化があり、犬にとって魅力的なマーキングエリアになるのです。
初めて雪を見た犬は、なぜこんなに興奮するのか?犬にとっても分かりません。けれど、楽しかった出来事を体中に記憶しています。雪を見ると空から降る雪の匂い、雪の布団の中にジャンプしたり、体を埋めてスリスリしたりした出来事を思い出してはワクワクするのです。
理由4:匂いを嗅いでみたいから
多くの犬は雪の中に顔を埋めるのが大好きです。それは、雪の匂いを嗅いで探索したいから。雪の中で犬は転がったり、顔を埋めたり、雪を掘ったりして匂いを嗅ぐことができます。草木や花の匂いをクンクンと嗅ぐように、犬は『雪』という新しい物体への興味を感じるのです。
犬は雪の探索を思う存分楽しみます。白い物体の匂いを鼻で嗅ぎ、舌で舐めて味わいます。雪の下に埋もれた土の匂い、雪の中のおしっこの匂いなど、犬の敏感な五感を使ってしばらくの間探索を続けるのです。
理由5:犬の肉球は冷えない構造になっているから
雪の上を歩いても、犬の肉球が冷たくならないのはなぜでしょうか。被毛に覆われた胴体とは違い、犬の肉球は毛皮がないため寒さにさらされています。人間が靴を履かずに素足で雪の中を歩くようなものですね。
犬の肉球が温かい温度を維持できるのは、その構造に隠された秘密があります。まず、犬の肉球の内側はコラーゲンやエラスチン、脂肪組織が含まれる弾力のある層で構成されています。次に、犬の肉球は毛細血管を介さずに動脈から静脈に直接血液を流す構造になっています。これを「動静脈吻合」(どうじょうみゃくふんごう)と呼びます。
肉球が寒い環境にさらされると、動静脈吻合が血流を変化させ、皮膚表面に血液を排出し肉球の表面に温かい血液を送り出します。この構造によって、犬の肉球は寒い環境でも適度な温もりを維持することができるのです。
理由6:飼い主さんと遊びたいから
冬の雪遊びは、雪合戦や、ソリ遊び、スノーシューなど、飼い主さん家族とワンちゃんが夢中になって遊ぶことができます。まずは手はじめに雪の中にダイブ!フワフワの雪に顔をスリスリしたり、雪に突進したりするエネルギッシュなワンちゃんもいるでしょう。
飼い主さんがワンちゃんのために柔らかめの雪玉を投げてあげれば、お口でキャッチャすることもできます。その他、犬と一緒に遊べるソリ遊びも楽しめますね。犬をソリに乗せて引っ張ってあげたり、飼い主さんが乗ったソリをワンちゃんに引っ張ってもらったりと、様々な雪遊びを楽しむことができます。
スキー場に行かなくても外に降り積もった雪があれば、飼い主さんと思い切り遊べることが犬にとって単純にうれしいのです。
理由7:ストレスを発散できるから
雪遊びは、冬の天候による退屈さや不安、ストレスや肥満など健康に影響するトラブルを回避させることができます。また、愛犬と飼い主さんの絆を深めることができます。空中に投げてふんわりと地上に落ちる雪を眺めるだけでも、犬にとってはとても新鮮なのです。
まとめ
いかがでしたか?多くの犬にとって、白くフワフワとした雪はとても新鮮で、雪原は大きくて新しいプレイルームなのです。
見慣れた風景は雪景色へと変わり、人間に分からない雪の匂いをクンクン嗅ぐなど、ひんやりとした感触を体全体で抱きます。雪の中に飛び込こんでスリスリ顔を埋めるなど、犬は興味津々。私たちが初雪を見て、ドキドキワクワクする気持ちと一緒なのです。
【参考資料URL】
《NCBI(国立バイオテクノロジー情報センター:Functional anatomy of the footpad vasculature of dogs: scanning electron microscopy of vascular corrosion casts》
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21438930