犬と冬
近年では室内飼いが増えている犬たちですが、昔は屋外で飼育されていたことがほとんどでした。冬の間も例外ではなく、良くて玄関先、普通はお庭などで過ごしていた犬たちにとって、冬の寒さは耐えられないものではないようです。超小型犬は被毛も薄く、体温調節に優れているとはいい難いものの、ダブルコートの柴犬などのサイズになれば多少の雪でもへっちゃらです。
しかし室内飼いの犬が増え、寒い地域原産の大型犬でも家に入って過ごしているとストーブの前や暖かい布団の上などに陣取って、暖かさを満喫しているのをよく見るようになりました。我が家のゴールデンレトリバーもストーブの季節になると、毛が焦げるのではないかと思うほどの近い距離で暖を取っています。
なので、犬たちは決して冬が大好き、寒さが大好き、というわけではないんですね。被毛が厚いのも露出している部分がほとんどないのも、外気温から体や内部の機能を守るためなのです。そのため寒さが厳しいと、人間同様に体調を崩すことがよくあるんですね。
寒さによる不調
犬の体も、冷えによって様々なトラブルが起こります。
自律神経系のトラブル
胃腸は自律神経によってコントロールされており、気温の急激な変化で受けるストレスがダイレクトに作用する臓器でもあります。特に寒い期間は冷えのストレスで自律神経のうち交感神経ばかり活発になり、心身が常に緊張状態を強いられています。
体が冷えると体温を保って臓器の働きを守るため、交感神経が緊張し全身の血管を収縮し血圧を上げています。これはこれでとても大切な機能なのですが、寒さが続く間は常にこのような状態がキープされてしまい、体をリラックスさせる副交感神経が働かず交感神経が休む暇がありません。
また、交感神経が活発な状態が続きすぎると胃腸のぜん動運動自体が抑制されてしまい、嘔吐や下痢、便秘などの胃腸全体のトラブルにつながってしまうのです。
感染症のトラブル
人間の生活でもそうですが、寒く乾燥した季節になるとウイルスの活動が活発になります。特に地面の臭いをかいだり様々なところを舐めたりする犬は、ウイルスの感染が人間よりはるかに起こりやすい環境にいるといってもよいでしょう。さらに寒い季節になると犬たちも飲水量が減り、感染症のリスクが高まるといわれています。
ウイルスによる感染症は様々なものがありますが、くしゃみやせき以外に体調不良による食欲不振が出ることもあるので、体調にはよく注意してあげましょう。
トラブル対策
人間も寒いと縮こまって、体はいつも緊張していますよね。そんなときに嬉しいのは暖かいお風呂や暖かいごはんです。犬の場合も冬に食欲が落ちたなと思ったら、まずは体を温めてみましょう。お風呂に入れるのは少し難しいですし湯冷めの可能性もあるので、暖房を入れてあげたり少し厚手の防寒着を着せてあげたりするといいでしょう。
また、フードも体を温める食材を混ぜて与え、内部からほかほかする効果を狙ってみるのもいいでしょう。寒いと冷たい食事を受け付けなくなったり、飲水量が減ったりすることも多いため、食事やお水は少し温めたり味をつけてあげたりすると良いかもしれません。
まとめ
冬になるとがつがつご飯を食べるようになる犬と、食欲が落ちてしまう犬がいます。食べる場合はそこまで心配はいりませんが、食べなくなった場合は寒さの他の原因も考えられますので、まずは体を温めてあげたあと、少量を何回かに分けて与えてみるなどして、改善がないようでしたらかかりつけの獣医さんに相談してみてくださいね。