攻撃的になる
わんこは、人間の表情や声色などから、人間の感情を鋭く読み取っています。そのため、飼い主さんの愛情が平等でないことにもすぐに勘付いてしまいます。他の子が自分よりも愛情を注がれていると感じれば、やきもちをやくのは人間もわんこも同じです。
平等でないと感じた結果、ひいきされなかった子は、ひいきされている子に対し、もしくはひいきをしている飼い主さんに対し、攻撃的な行動に出ることがあります。親の愛に飢えた子が道を踏み外してしまうのと同様です。また、その逆に、ひいきされている子が「自分が一番だ」と慢心したために、他の子に対して強く出るパターンもあります。その結果、わんこ同士の喧嘩が増えたり、飼い主さんの咬傷被害だったりが発生する可能性があります。
問題行動が増える
例えば、ある1匹のお世話に長時間かかりきりになって、他の子のお散歩の時間や遊びの時間が削られた場合、他の子は平等に扱われないことによる精神的なストレスに加え、運動不足によるストレスも抱え込むことになってしまいます。これらのストレスが要因となり、破壊行動や無駄吠えなどの問題行動を引き起こす可能性もあります。
更にこのとき、飼い主さんがその子のストレス状態を思いやることができずに、「困らせることばかりするダメな子」の烙印を押してしまい、余計に他の子をひいきするようになると、負のスパイラルはどんどん加速していってしまいかねません。
健康状態に差が出る
運動不足による肉体的なストレスや、愛情不足による精神的なストレスが蓄積していくと、健康問題にも関わる事態に発展してしまいます。ストレスが万病のもとなのは、人間もわんこも一緒です。ストレスを感じれば感じるほど、健康状態は悪くなるといっても過言ではないでしょう。
また、同居犬間の力関係の中で、1匹の力があまりに強すぎると、ごはんの横取りなどのトラブルも発生しやすくなります。いつも同じ子がごはんを奪われていて、しかもそのことに飼い主さんが気づかないとなると、力の強い子が肥満傾向になっていく代わりに、力の弱い子が栄養不足に陥ってしまう危険性すらあります。
特にお留守番の時間が長く、飼い主さんが見守っていられる時間が少ない場合には、同居犬間のパワーバランスがどうなっているか、しっかり確認することが必要です。「お留守番が寂しくないように」という理由で多頭飼いを始める人も多いかと思いますが、このような事態になってしまうと、本末転倒の結果になってしまいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?多頭飼いのポイントは先住犬を優先することであるとは、よく言われています。それは間違いではなく、同居犬の中にもある程度の序列は必要であり、暮らし始めた時期に差がある場合には、先住犬をトップにすることが基本となります。
しかし、飼い主さんがそのさじ加減を少し間違えてしまうと、それは「えこひいき」になってしまい、ご紹介したようなデメリットを招いてしまいます。多頭飼いに夢を抱いている愛犬家さんは多いかと思いますが、現実的なメリット・デメリットをしっかり考えた上で始めないと、愛犬を不幸にしてしまいかねません。愛犬の数を増やそうと考えたとき、あなたは愛情を分割するのではなく、愛情を2倍・3倍に増やせる自信がありますか?