犬は飼い主を何で判断しているか
犬はもちろん飼い主さんを見分けるのに視覚も使っています。視覚による判断では、飼い主さんの顔かたちだけではなく、歩き方や動き方のくせなども判断材料となっているようです。しかし、犬は人や物事を判断するのに視覚以外の感覚も多く使っています。
音
飼い主さんの声や足音、また、飼い主さんの呼吸音などのほか、犬を飼っている多くの人が経験しているのが、「飼い主さんの乗り物の音を聞き分けている」ことで、飼い主さんを判断しているようです。
特に、飼い主さんが乗っているバイク、車のエンジン音を聞き分け、同じ車種の車でも飼い主さんの車か、そうでないかを聞き分けているように感じる飼い主さんは多いのではないでしょうか。
におい
犬にとって、家族が何人いようと「一番好きな人」「一番信頼できる人」である「1番の存在」がいるようです。散歩に行ってくれる人、一緒に寝る人、一緒に遊ぶ人と役割を犬が決めている家庭もあるかと思いますが、それでも犬にとって一番心安らげる相手はおそらくさほど変動することはないはずです。
例えば、愛犬がおうちの中でお昼寝などをするとき、いつも決まってお父さんの脱いだ服を体の下に敷いていたり、お母さんの服の上やお布団の上で寝ていたり…といったことがあると思います。犬にとって飼い主さんは心から安心できる、絶対的に信頼できる存在なので、そのニオイを嗅げば、犬はとても心が安らぐのです。
また、もしかしたら犬は人間と比べて非常に微細なニオイでも嗅ぎ分けることができるので、飼い主さんの体調の良しあしをニオイから感じ取っていることもあるのかも知れません。
犬の聴覚について
犬の聴覚と人間の聴覚の比較
犬は、人間が聞き取れる音の約2倍以上高音の音までを聞き取ることができます。それは、人間よりもずっと「聞き取れる音の範囲が広い」ということを意味します。また、人間が10メートル離れた場所でどうにか聞き取れる音量の音があるとすれば、犬はその音を40メートル離れた場所で聞き取ることができると言われています。
ですから、「飼い主さんの車の音を聞き分ける」と言うのは、人間がエンジン音に気付く前からその車の音に気付くことができているでしょうし、もしかしたらエンジンが発する人間には聞こえない音をも聞き取って他のエンジン音と区別しているのかもしれません。そして、常に「飼い主さん、早く帰ってこないかな」と待ちわびているので、飼い主さんの家族でも認識していない、アクセルを踏むリズムなどの特徴を覚えていて、飼い主さんの車やバイクの音を聞き分けているのかも知れません。
犬の嗅覚について
犬の嗅覚の特徴
よく、「犬の嗅覚は人間の100万倍から1億倍」と言われていますが、これは人間が嗅ぎ取ることができる物質の濃度を1とし、その100万の1に薄めても、その物質のニオイを嗅ぎ分けることができるということです。「人間が臭いを嗅ぎとれる距離の100万倍離れた遠くのものを嗅ぎとれる」あるいは、「人間よりも100万倍強くニオイを感じる」ということではありません。
例えば、人間の体の中にガンが発生していたら、ある特定の物質が産生されてそのニオイがし、それを嗅ぎ取ることができるように訓練された「ガン探知犬」や、空港などで麻薬や覚せい剤のニオイを検知する「麻薬探知犬」などは、その犬の嗅覚の特徴を生かした使役犬です。
犬は、ニオイからどんな情報を得るのか
犬は、ニオイから多くの情報を分析する能力も持っていると言われています。散歩中に、道路のニオイをしつこく嗅いだり、初めて会う人のニオイを鼻をひくひくさせて懸命に嗅いだりするのは、嗅覚による情報を集めているためです。年齢、性別、相手の心理状態など、様々な情報を集めて判断します。
まとめ
以前、「100匹の柴犬を飼い主が見分けることが出来るか」「100匹のパグを飼い主は見分けることできるか」という実験をしているのをテレビで見たことがあります。私は、殆どの飼い主さんが自分の愛犬をきちんと見分けていたように記憶しています。
逆に、双子の女性を見てどちらが本当の飼い主か、犬は見分けることができるか?という実験でも、犬はしっかりと飼い主さんを見分けていました。つまり、お互いがかけがえのない、大切な存在だと思っていたら、どんな見分け方であれ、確実にお互いを見つけることができると言えそうです。