犬が子ども嫌いになる理由
子どもの行動が怖い
言葉で通じ合うことのできない犬と私たち人間の間では、声のトーンやボディランゲージなど、いわゆる“非言語コミュニケーション”がとても重要になります。しかし、子どもの声のトーンやボディランゲージというのは、犬にとって不安感や恐怖心を抱かせることが多いのです。
「キャー!」と高い声で騒いだり急に走り出したり、犬の体に突然触ってきたり押したり引っ張ったり…。子ども自身には犬に対して嫌がらせをするつもりがなく、反対に仲良くしたい気持ちからの行動であっても、それらはすべて犬が苦手とする行動ばかりなのです。「かわいい!」と叫びながら走り寄ってこられると、犬は言葉の意味がわからないため恐怖を感じることでしょう。
予測不能な行動に犬のペースを乱されてしまう
また、ゆっくり休みたいときや自分のやりたいことがあるときなどでも、子どもは犬のペースなどお構いなしで遊びに誘ったり撫で回したりすることもあるでしょう。予測不能な行動を取り、犬のペースを乱す存在として、犬は子どもに苦手意識を持っていたり、嫌いになってしまったりするのです。
子ども嫌いな犬への対処法
犬のストレスサインを見逃さない
犬と子どもが接触しているときや、少しでも子どもが近づいてきたときなどには、しっかりと犬の様子を観察するようにしましょう。すでに子どもに対して恐怖心や警戒心を抱いている場合には、子どもを避けるように歩いたり顔を背けたりして接触を避けようとします。
また、撫でられているときやそばにいるときに緊張している場合には、あくびや口のまわりを舐める、体を掻くなど、“カーミングシグナル”と呼ばれる緊張のサインを出すことも。そうした様子が見られた場合は子どもとの接触を避けるようにしたり、遊びを切り上げてあげたりするようにしてください。
子どもに犬との接し方を教える
子どもが嫌いな犬でも、子ども側が接し方を変えるだけでその状況が改善することがあります。犬が子どもを苦手とする理由は上述した通りですので、子どもに対して「急に触らない」「犬の近くで大声を出さない」「嫌がる場所を触らない」など、犬との正しい関わり方を教えてあげるようにすることをおすすめします。
犬が「この子は危険じゃない」と感じることができれば、好意的に接することができるようになりますし、子どもへの印象を変えることができるかもしれません。
「子どもに会う=いいこと」と教える
子どもが苦手、嫌いな犬を少しでも子ども好きにしたいのであれば、おやつなどの報酬を使って条件付けを行うといいでしょう。おやつが大好きな犬であれば散歩の際におやつをたくさん持っていき、子どもの姿が見えたらおやつを与え、さらに近づいたらまたおやつを与える、すれ違ったらおやつを与える、というように「子どもに会う=うれしいことが起こる」と条件付けするのです。
これは繰り返し行うことで効果が出るもので、とても時間がかかりますが、危険のないトレーニングのためどのような犬でもできるもの。子ども嫌いにしないための予防としてパピーの社会化として取り入れるのもおすすめです。
子ども嫌いな犬にしてはいけないこと
強制・強要
すでに子ども嫌いになってしまっている犬に対して絶対にしてはいけないことが、子どもと接することを強制・強要することです。子どもが嫌いな犬の多くは、子どもに対して恐怖心や警戒心を持っています。
そのため、無理やり近づけられたり触られたりすることで、強い恐怖を感じて子どもに対して威嚇や攻撃をしてしまうことがあるからです。また、段階を踏まずに子ども近づけることでトラウマになって、より子ども嫌いに拍車をかけてしまう可能性もあります。
放置
また、「子どもが嫌いでもそのうち自然に治るでしょ」と思って放置することもおすすめできません。確かに自信のない子犬が成長に従って、子どもにも落ち着いて対応できるようになることはあるかもしれませんが、特に成犬の場合は苦手なものや嫌いなものを自然に克服することは少なく、どんどん悪化していく可能性の方が高いと考えられています。
そのため、犬が子どもに対してネガティブな感情を持っていると感じた場合には、すぐに適切な対応、トレーニングを行うようにしましょう。
まとめ
正しい関わり方をすれば、犬と子どもは最高の友達になれることでしょう。しかし、言葉でのコミュニケーションを持たない犬には、子どもの気持ちが正確に伝わらないことが多く、そのせいで子ども嫌いになってしまったりトラブルが起きたりすることがあるのです。
犬を子ども嫌いにしないため、少しでも子ども嫌いを克服してストレスを軽減するためには、時間をかけて少しずつ対処していくことが大切です。すでに子ども嫌いの犬に対しては、子どもとの接触を強制することなく、焦らずゆっくりお互いの距離を縮めていくようにしましょう。