犬のヒゲが持つ役割と触れられることを嫌がる理由
1.犬のヒゲには色んなものの接近を察知する役割があります
犬がヒゲに触れられることを嫌がるのは、“異物が接近しているため”や、何かが近づいてきて警戒しているなどの理由があります。例えば、草むらを歩くとき、生い茂る草をかき分けながら歩かなければなりません。私たち人間であれば、手を使ってかき分けることができますが、犬にはできません。
そのため、草などが目に接近していることを、ヒゲが察知するという役割を担っています。ヒゲに異物が触れることで、その異物によって目を傷つけてしまわないよう、自然と目を閉じたり顔をそむけたりする場合があります。試しに、犬のヒゲに触れてみてください。
両方のヒゲに同時に触れると、両方の目を閉じます。右のヒゲに触れると右の目を閉じ、左のヒゲに触れると左の目を閉じます。パチパチとまばたきをするような感じです。
何かが接近したとき、私たちも自然と目を閉じてしまいますよね。犬にはヒゲがあることで、目に近づくよりもずっと早く、ひげのおかげで何かの接近を察知することができるんです。
2.犬のヒゲには視力の代わりとなるセンサーのような役割があります
犬がヒゲに触れられることを嫌がる理由の一つに、周りの状況を把握するための、センサーの役割を遮られてしまうという点もあげられます。暗闇の中を移動するとき、ヒゲによって風向きや空気の流れを察知し、出入口を発見することができます。シニア犬や老犬となり、視力が低下してしまったとき、ヒゲによって物や家具の位置を把握するなどし、安全に歩くことができます。
暗闇の中にいるときや、視力が低下してしまったとき、センサーとしての重要な役割を持つヒゲは、感度が良く、敏感な部分です。そのため、触れられることを嫌がるのです。
3.犬のヒゲには感情を伝えるための役割があります
犬のヒゲは、よく動きます。嬉しいとき、不安なとき、怯えているとき、緊張しているとき、興奮しているときなど、ヒゲの動きをよく観察してみてください。犬は、いろんな仕草や行動によって感情を伝えようとしますが、ヒゲにも感情を伝えるための役割があるようです。
犬がヒゲによって感情を伝えようとしているときに、ヒゲに触れるということを、人間で例えてみましょう。私たち人間は言葉を使って話すことで、感情を伝えようとしますが、話の途中で口元を手で覆われるようなイメージでしょうか。
とても不快な気持ちになってしまいますよね。感情を伝えようとしているとき、ヒゲに触れられては、犬も嫌がって当然なのではないでしょうか。
犬のヒゲを切ってはいけない!?
トリミングをお願いするとき、トリマーさんから「おヒゲはカットされますか?」と聞かれることがあります。犬のヒゲが持つ役割や触れられることを嫌がる理由を知り、犬のヒゲを切ってはいけないのではないか、と思われるかもしれません。
犬のヒゲには重要な役割があることは確かなのですが、現代の犬はヒゲがなくても生活することができます。
草むらの中をかき分けながら獲物を捕る必要はありません。暗闇の中をたった一人で歩くこともありません。夜のお散歩をするときは、街灯がありますし、飼い主さんがライトを持って、照らしながら歩いてくれます。リードを引き、安全に誘導しながら歩いてくれます。
視力が低下してしまったり、失われてしまったりしたときは、犬が安全に暮らすことができるよう、飼い主さんがお世話をしてくれます。このようなことから、犬のヒゲが持つ役割や機能は、退化しつつあるのかもしれません。
まとめ
犬がヒゲに触れられることを嫌がるのは、
- 色んなものの接近を察知する役割があるため
- 視力の代わりとなるセンサーのような役割があるため
- 感情を伝えるための役割があるため
などがあると考えられます。
トリミングのとき、ヒゲのカットを勧められることがあります。見た目の問題や、整えるという意味があるようです。必要ないのであれば、カットを勧められても断って構いません。ヒゲが持つ役割を重視してあげても良いのではないでしょうか。