犬が冬に受けやすいストレスとは?3つの原因と対処法

犬が冬に受けやすいストレスとは?3つの原因と対処法

人間と同じように、わんこもさまざまなストレスを感じています。そして、ストレスが心身の健康に悪影響を及ぼすのもまた人間と同じ。今回は、わんこが冬に受けやすいストレスと、対処法をまとめました。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

1.寒さ

セーターを着てニットの帽子をかぶった寒そうな表情の犬

犬種にもよりますが、一般的に、わんこは夏の暑さに比べれば、冬の寒さは得意とされています。とはいえ、極端な寒さがわんこの身体に大きなストレスを与えるのは事実です。個体差はあるものの、わんこが快適に生活できる気温の目安は18度から22度前後といわれています。

ちなみに東京の冬(12〜3月)の平均気温を見てみると、最も暖かい3月でも平均最高気温は9度ですから、わんこにとって日本の冬が過ごしにくいものであることは明らかです。

特に、暖かい地域原産の犬種やシングルコートの犬種、病気を患っているわんこやパピー期・シニア期のわんこの場合には、寒さへの耐性が弱いため、注意してあげる必要があります。

これらに当てはまらなくても、わんこがきゅっと小さく丸くなっている場合には寒いと感じている可能性が高いですから、何らかの対策をする必要があるでしょう。

適切な暖房使用で快適な温度を

寒さによるストレスを軽減するためには、言わずもがな、わんこが暮らしやすい暖かな環境を作ってあげることが大切です。クレートやケージの中にふかふかの布団や毛布が1枚あるだけでも大分違います。寒くて必要なときには潜り込んだりして使いますし、特に寒さを感じていないときには使わないといった具合に、わんこが自分で判断して使うことができます。

また、室内飼いの場合には、適切な暖房器具の使用で快適な室温を保ってあげるようにしましょう。とはいえ、換気が必要なものや、熱源に直接触れてヤケドをする恐れのあるものは使用に注意が必要です。わんこにとっては、エアコンやホットカーペットなどの方が安全といえるでしょう。ただし、その場合でも大切なのは、わんこが「暑い」と感じたときに逃げられる場所を確保しておいてあげることです。

2.散歩の頻度や距離の減少

リードをくわえている犬

冬の寒さはわんこにも堪えますが、人間にも辛いものですよね。特に雪が多く降る地域などでは、自然と家の中に引きこもりがちになってしまうものです。その結果、わんこの散歩の頻度や距離も、過ごしやすい季節よりも減ってしまうことが考えられます。

外の寒さでストレスを受けるよりは良いと思えるかもしれませんが、こうなると、今度は逆に運動量が足りなくなり、運動不足によるストレスがかかってしまいます。運動不足によるストレスが積み重なると、無駄吠えや破壊行動などの問題行動が発生する可能性が高まります。また、肥満による健康への悪影響も心配です。

室内遊びで運動不足を解消

ベストなのは、冬でも散歩の頻度と時間を変えないことです。しかし、飼い主さんや愛犬の健康状態や、住んでいる地域の降雪状況・道路状況によっては、散歩に行くことでかえって心身への悪影響が懸念されたり、しも焼けなどのリスクが高まったりする場合もあります。

その場合には無理をせず、暖かい室内で運動不足を解消できるように心がけましょう。室内のスペースが広ければ、トッテコイなどの走る遊びが効果的ですが、あまりバタバタ走り回らせることのできない環境なら、おもちゃの引っ張りっこも体力を消耗できます。
また、最近では室内ドッグランなどの設備も増えていますから、近隣の施設を調べてお出かけしてみるのもいいかもしれませんよ。

3.ごちそう

クリスマスパーティーで飼い主からおやつをもらっている犬

クリスマスやお正月、節分にバレンタインなど、冬はイベントごとが多く、ごちそうを食べる機会がたくさんありますよね。愛犬家のみなさんが、「人間だけがごちそうを食べるのではなくて、愛犬にも特別な食事で季節感を楽しんでもらいたい!」と考えるのは当然のことです。

こういった需要を受け、近年ではわんこ用のクリスマスケーキや年越しそば、おせちやお雑煮、恵方巻など、様々な季節もの食品が売り出されています。また、わんこ専用の食品にまでは手が伸びなくても、「イベントだから特別に」と自分のごちそうを愛犬についついおすそ分けしてしまうという飼い主さんも、きっと少なくないはずです。

もちろん、飼い主さんも愛犬もハッピーになれることは間違いなく、有害な食材と量にさえ気をつけていれば、それ自体は悪いことではありません。ですが、人間が年末年始のごちそうで食傷気味になったり胃がもたれたりするように、わんこもごちそうが続くと胃腸に大きなストレスがかかります。

特に、人間用の食べ物のおすそ分けは、味付けの有無や量に気を配らないと、消化の際に負荷が大きかったり、下痢の原因になったりします。

ごちそうのあげすぎに注意

愛犬に特別メニューを与えるときには、愛犬の体重やカロリーを考慮した適正量をしっかり見極めることが大切です。例えば、ケーキを用意してあるのに、いつもと同じ量のフードを与えてしまうと明らかなカロリーオーバーになってしまいます。肥満を防ぐためにも、総カロリーの計算が大切です。

また、連日にわたってごちそうメニューを続けるのも避けるべきです。消化でかかる胃腸への負担はもちろん、ごちそうメニューではバランスの良い栄養を摂取することが難しいからです。栄養バランスが最もよく考えられているのは、何といっても総合栄養食フード。総合栄養食を基本に考えたいのはイベント時も変わりません。

また、愛犬におすそ分けをするときには、それがわんこにとって有害な食材ではないか、人間用の濃い味付けのものではないかをしっかり考えることです。クリスマスのチキンの骨の誤食は下手をすれば命にも関わりますし、お正月のお蕎麦や煮物料理なども、ネギ類と一緒に煮込まれている場合にはNGです。

まとめ

雪の中で遊ぶ犬

いかがでしたでしょうか?冬ならではのストレスがいろいろあることがおわかりいただけたかと思います。飼い主さんが良かれと思っていることが、愛犬にとってはストレスとなっている可能性もあります。愛犬に楽しく暮らしてもらうためにも、飼い主さんにはストレスに関する正しい知識が必要ですよ。

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