犬は飼い主の体調不良を察知できる?
普段は元気いっぱいに飛んで走って遊びまわっている犬も、飼い主さんの体調不良時にはおとなしく寝ていてご飯や散歩の催促をせずにいてくれるということもあるようです。中には、体調不良で休んでいる飼い主さんのそばに寄り添うようにして寝たり、心配そうに何度も様子を伺いに来たりという様子が見られることも。
もちろん飼い主さんの体調不良などおかまいなしに元気にはしゃいで飛びついてくる犬もいると思いますので、すべての犬が体調不良を察知できるわけではないと思いますし、症状や状態によって察知が可能かどうかも変わってくると思います。
犬が飼い主の体調不良を察知できる理由
犬が飼い主さんの体調不良を察知できる理由として考えられるのが、飼い主さんの行動や表情の変化です。日頃はテキパキと動いている飼い主さんが座ったり寝たりする時間が長く、通常の生活リズムと異なっていると「おや?」と感じ飼い主さんに何らかの異変があるということに気が付くのです。
そこで体調が悪いということに気が付けるかということについては疑問が残りますが、“普段の飼い主さんとは違う”ということには多くの犬が気づいていることでしょう。
また、体調が悪いと声のトーンが低くなったり弱々しくなったり、いつもだったら怒られるようなときでも何も言われなかったりすることで飼い主さんの様子がおかしいことを感じ取る犬もいます。あまりにも飼い主さんが動かない時間が長かったり不自然な場所で寝ている(倒れている)時などには、異変を察知し吠えて飼い主さんを起こそうとしたり周囲に知らせようとしたりすることもあるのです。
病気を発見できる犬の能力について
日頃との様子の違いから飼い主さんの体調不良に気が付く犬もいますが、犬の持つ能力を使って病気を発見することができることもあります。主に嗅覚などを利用してさまざまな病気発見に活躍する犬たちを紹介します。
低血糖アラート犬
低血糖アラート犬とは特別な訓練を受けて、糖尿病患者が低血糖になってしまった時にそのことを知らせる働きができるようになった犬のこと。糖尿病によってインスリン治療や薬物療法を行っていると、薬の作用で血糖値が正常範囲より低下し「低血糖」に陥ってしまうことがあります。
糖分を経口摂取することで血糖値が上昇して状態が回復しますが、処置が遅れると意識障害や昏睡状態に陥ることもあります。海外では低血糖アラート犬の実用化が進んできており、測定器を使用するよりも早く低血糖を感知して患者をサポートしています。
がん探知犬
悪性腫瘍の検出を目的とする使役犬で、日本では千葉県館山市の「がん探知犬育成センター」で育成が行われています。がん患者の尿や汗に含まれる特有物質のにおいを嗅ぎ分けることで悪性腫瘍の発見を行います。
日本には現在5頭のがん探知犬がおり、数週間の基本的な訓練でがん患者と健康な人を区別できるようになり、肺がんは感度・特異性とも99%、乳がんは感度88%・特異性98%に到達しました。
てんかん予知犬
脳内の細胞の異常な神経活動によって痙攣や意識障害などの症状を引き起こすてんかん発作。突然発症することもあり、事故や怪我の原因にもなりかねない危険な疾病でもあります。そんなてんかん発作を数十秒から数時間前に予知することができ、訓練することで本人や周囲の人に知らせて患者の安全を守る手助けをします。
なぜてんかんを事前に予知できるかについては科学的な証明がなされておらず未解明な部分ばかりですが、実際にてんかん予知犬と過ごすことで生活を安全にサポートしてもらっているという人もいるのです。
まとめ
犬たちが飼い主さんの体調不良に気が付くことができるのは、日頃から飼い主さんの様子を事細かに観察しているからだと思います、普段の様子と違う飼い主さんに違和感や異変を感じて、犬自身の行動にも変化があらわれるものと思います。正確にはわからない部分も多く、科学的な根拠がない場合も多いと思いますが、愛犬の気遣いを実際に感じる飼い主さんがたくさんいることも事実です。
また、がんを発見したり低血糖やてんかん発作を予知することのできる犬がいることも事実。犬たちの素晴らしいその能力はまだまだ未知の部分もありますが、今後さらなる発展も期待できることでしょう。