犬がご飯やオヤツを見るとヨダレを垂らす理由
犬がご飯やオヤツを見てヨダレを垂らすのは自然な現象
美味しそうなご飯やオヤツを前にして、ヨダレを垂らす愛犬の姿に思わず「クスッ」と微笑んでしまったことはありませんか。この現象は人間が美味しそうな食べ物を見たときに、ヨダレが出たり、酸っぱいものを想像したときに唾液が出たりするとの同じ「条件反射」になります。自律神経が正常に働いている証拠なので、全くもって自然な現象です。
「ヨダレ」の働き
「ヨダレ」とは唾液のこと。人間の唾液には食べ物を分解する酵素が含まれています。人間は食べ物を口に入れると、咀嚼と唾液に含まれる酵素の力で、口腔内から食べ物の消化がスタートしています。その働きによって胃の負担が軽減しているのです。
いっぽう、犬のヨダレには食べ物を分解する酵素が含まれていません。犬のご飯の食べ方を見ていてもわかると思いますが、基本的に犬は咀嚼することなく、ほとんど食べ物を丸呑みしてしまいます。噛まずに丸呑みしてしまう犬の食事で活躍してくれるのが、愛犬が垂らしている「ヨダレ」になります。
犬がご飯やオヤツを見たときに出てくる唾液は、食べたものを口腔内から食道、胃の中へとスムーズに送り込んでくれるのです。どうやら、犬はご飯やオヤツを見ると脳からの指令で、食べ物を受け付ける口の状態にするために、お口が唾液でいっぱいになりヨダレが垂れるようです。
犬のヨダレの役割は?
犬のヨダレの一番の役割は消化のためや、食べ物を胃の中へ運びやすくするためですが、それ以外にもあるようです。
体温調整
犬は体温調節が得意ではありません。特に夏場の暑い時期、汗腺がほとんどない犬は体温を下げるの難しくなります。体温を下げるために行うのが口で早く呼吸するパンティング。ハァハァと口を開けたまま短い呼吸を繰り返し、その呼吸によって口腔内の唾液を気化して体温を下げます。
虫歯を防ぐため
実は犬はほとんど虫歯になりません。それは唾液の持つ力によるもの。虫歯は口腔内が酸性になるとなりやすくなってしまいます。人間の口腔内は弱酸性なのに対し、犬はアルカリ性の唾液を分泌するため、虫歯になりづらい口腔環境が整っているそうです。また犬の唾液には虫歯の原因となる糖を作り出す酵素も含まれていないのです。
ただし、アルカリ性の唾液は石灰化しやすいため、人間より早い周期で歯石がついてしまいます。犬の口腔トラブルは虫歯よりも歯周病や歯肉炎が多くなっています。
傷の回復を早めるため
肉球などにできた小さな傷を、舐め続ける愛犬を見たことはありませんか?犬の唾液には、食べ物を分解する酵素(アミラーゼ)は含まれていませんが、その他の酵素はいくつか含まれています。また抗菌作用のある微生物や傷を早く回復させる抗体も含まれているとか。犬の唾液の成分は傷を早く治す力もあるようです。しかし、あまりに舐めすぎていると炎症を起こすなど、さらに悪化してしまうこともあります。過剰に舐めているときは要注意です。
犬の注意したいヨダレとは?
犬はリラックスしているときには副交感神経の働きが強くなり、唾液の分泌量が多くなることがあります。また、大好きな食べ物を見てヨダレを垂らすのも健康的な証なのかもしれませません。唾液自体は犬の健康を守るためにも必要なもの。しかし、いつもと様子が違うヨダレの垂らし方をしているときは身体に異常があるかもしれません。
- 急にヨダレの量が増えた
- ヨダレの粘度が高い
急にヨダレの量が増えてしまうのは、様々な原因が考えられます。歯周病、また口腔内の外傷など、何らかの理由により痛みや刺激があるときに唾液の量が増えることがあります。また、誤飲をしてしまったとき、消化器系、呼吸器や循環器など何かの病気を発症することで、ヨダレの量が増えてしまうこともあります。明らかにいつものヨダレと違う場合はすぐに獣医さんに診てもらいましょう。
ヨダレの粘度が高い場合はストレスが考えられます。唾液の分泌は自律神経に支配されていて、リラックスしているときには副交感神経が優位になり、サラサラの唾液が分泌されます。いっぽう興奮しているときは交感神経が優位になり、粘度の高い唾液が分泌されます。常に唾液の粘度が高い子は、十分にリラックスできる時間と環境を用意してあげましょう。
まとめ
犬が食べ物を見てヨダレを垂らすのは条件反射ではあるものの、やはり「食べたい!」という気持ちの表れだと思います。見ても食べたいものでなければ、そっぽを向いてどこかに行ってしまいますよね。食べる前の「前準備」として唾液を分泌させているようなので、長い時間「マテ」することなく、美味しく食べてもらいましょうね。