犬のマウンティング
近年の研究では、犬同士のマウンティングはコミュニケーションの一つであることが分かっています。性的な意味合いは少なく、子犬のうちは遊びの中でお互いにマウントを取ったり取られたりしながら犬同士のお付き合いの仕方を学んでいく一つの手段になっていますし、成犬になってからは遊んでほしい気持ちの表れだったり相手がどこまで自分を許しているかを試す行為だったりするようです。
子犬のころから兄弟犬たちや母犬との遊びの中で社会性を身に着けていきます。この時期に遊んだりケンカをしたりすることで犬同士の付き合い方を学んでいくわけですが、この時期に十分な学習をしていない場合は犬同士のコミュニケーションの仕方が分からずに、マウンティングによるトラブルに発展する場合があります。
マウンティングを止めさせたほうがいい理由
犬同士のコミュニケーションを熟知している犬ならば、マウンティングはそれほど問題となる行動ではありません。お互いに許可しあったり、嫌であればそれなりの行動でマウンティングされるのを避けたりして別の遊びを始めようとするでしょう。片方の犬が多少不快感を示しても、少しの唸り声などの態度に表すことでもう片方の犬も相手が嫌がっていることを理解し、大きなケンカになる前にお互いに距離をとることができます。
しかし犬同士のコミュニケーションを上手に行えない犬の場合、なんの許可もないのに相手にマウンティングをしに行ってしまったり、あるいは逆に激しく抵抗して歯を剥いて吠えかかってしまったりして、大きなケンカにつながってしまうことがあります。
また、マウンティングをされてしまったことで(あるいは大きなケンカになってしまったことで)ほかの犬を怖がるようになり、だれに対しても恐怖のあまり吠えかかってしまうというトラブルにもつながってしまいます。
自分の犬はコミュニケーション能力が高いからといっても、相手もそうとは限りません。相手の犬に与える影響を考えると、マウンティングにつながる行動は避けた方がよいようです。
やめさせる方法
マウンティングは犬がもともと持っているコミュニケーション手段です。本能的な動きなので完全にこれを制止することはできません。ただししつけの範囲ではありますが、行動を抑止することは可能です。ポイントは「ストップ・マテ・ノー」といった行動を停止する指示です。
無駄吠えなどのしつけにもありますが、来客などのタイミングで犬が吠える場合は犬が吠える前に吠える行動を制止し他のことに意識を向けて吠えさえないようにするトレーニングがあります。
これはマウンティングにも十分有効で、他の犬やぬいぐるみ、あるいは人に対してマウントを取ろうとしたその瞬間に「ストップ」などのコマンドで行動を制止したり、他の遊びや出来事に意識を向けさせたりすることを繰り返すと良いでしょう。もちろん制止に従った場合はうんと褒めてあげてくださいね。
また、自分の犬がマウンティングされそうになった場合については行動を制止するより先に「呼び戻し」のしつけで対応しましょう。犬同士がちゃんと挨拶できる仲だったとしてもふとしたきっかけでお互い興奮し、マウントを取ったり取られたり、あるいは飛び掛かって歯を当てたりする可能性もあります。
ドッグランやお散歩でも犬からは意識と目を離さず、ちょっとでも犬の間に緊張が走ったようなら速やかにお互いの距離をとることが大切です。
まとめ
犬同士のコミュニケーションとはいえどちらかの犬が嫌がらないとも限らないマウンティング。もし犬がマウンティングしそうになったときは他の遊びに誘ったり、相手から距離をとったりしながらその行動自体を起こさせないようにするのが良いようです。
始まってしまった時もすぐに「ストップ」などでやめさせ、ちゃんとやめられたら盛大に褒めてあげるのを忘れないでくださいね。