本を読むことに苦労する子供とセラピードッグ
カナダやアメリカでは、本を音読することが苦手で苦労している子供たちのためのセラピードッグのプログラムが人気です。学校や図書館、地域コミュニティなどで多くのセラピードッグプログラムが実施されています。
子供は犬に向かって本を音読し、犬はただ隣でじっと座っているだけなのですが、笑ったり叱ったりしない犬のそばでは、子供やリラックスして本を読むことができ、それが自信につながるというものです。
そしてこのたび初めて、犬が一緒にいることで子供が本を読む能力に対して、どの程度の影響があるだろうかというリサーチが行われました。
子供が本を音読するセッションでリサーチ
研究のためのリサーチを行ったのは、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の教育学部の学生とブロック大学の児童・青少年研究の教授です。
リサーチの参加者は6〜8歳の17人の子供たちとその親たちです。男女の内訳は男子9人女子8人でした。
リサーチの前に子供たちは、本を読む能力を査定するためのテストを受けました。そして研究者はそのテスト結果から分かった子供の能力よりも、少しだけ高いレベルの本を選択しました。
リサーチのためのセッションでは、子供たちは観察者と親(犬のハンドラー)と犬のいる場で本を音読します。また別のセッションでは、観察者と親のみで犬抜きで同様に本を音読します。
最初の課題ページの音読が終了すると、次の課題に進むか、またはセッションを終了するかを子供は自分で選ぶことができます。
犬有りか、犬抜きか、どんな違いが生まれた?
リサーチのためのセッションの結果は興味深いものでした。セッションに犬が同席していたときは犬抜きのときよりも、多くの子供たちが自主的に次の課題に進むことを選び、本を読むことへの持続性を示しました。犬の犬種や年齢には関係がありませんでした。
また子供たちは、犬が一緒にいるときの方が本を読むことが面白いと感じ、自分は本を読む能力があると感じたと報告したそうです。
研究者のこの研究の結果が、子供の読書のためのセラピードッグプログラムで、より効果的な基準プログラムを開発するのに役立つと述べています。
従来の読書のためのセラピードッグプログラムや研究では、子供たちは読む本を自分で選択するのですが、今回の研究のように子供の能力よりも少しだけ高いレベルの課題を与えることで、達成感を経験することにもつながります。
まとめ
子供が本を読むときに、そばに犬がいると自分の能力よりも少しレベルの高い本でもやる気と興味を持って読み、持続する力も出ることがわかったというリサーチ結果をご紹介しました。
犬の存在が子供の能力を伸ばすことにつながるのは素敵なことですね。
子供からティーンエイジャー、大人もシニアも私たちが犬から受ける恩恵は本当にひろきに渡ります。それだけに私たちは犬から受け取ることばかりでなく、本当に犬が必要とするものを与えることができているかどうか、しっかりと考えなくてはいけないなと思いました。
《参考URL》
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/08927936.2019.1645511
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/12/191202102040.htm