犬にとっての『優しい室内環境』とは?意識するべき6つのこと

犬にとっての『優しい室内環境』とは?意識するべき6つのこと

近年では多くの犬が室内飼いされていると思います。愛犬にとって「優しい室内環境」は整っていますか?この記事では犬にとっての「優しい室内環境」や、意識するべきことをご紹介いたします。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

愛犬の健康を守るためにも室内環境は大切

オレンジ色のブランケットから顔を覗かせるダックスフント

新しい家族として犬を迎え入れるのは、ワクワクとドキドキが入り混じった気持ちになると思います。実際に一緒に暮らし始めると、楽しいことや豊かな気持ちになることが多いですが、想像していなかった大変さにぶつかることも時にはあるものです。

特に時間を長く過ごす室内は、飼い主さんが意識してあげなければ、犬にとって危険なものはたくさんあります。飼い主さんとしては「こんな物までイタズラするの!?」と驚くような出来事が起こると思います。

犬にとっての「優しい室内環境」には、飼い主さんが意識して押さえておきたいポイントがいくつかあります。愛犬が心身ともに健康で穏やかに過ごせるよう、愛犬にとっての適切で優しい室内環境について意識してもらいたいことをいくつかお伝えいたします。これから犬を迎え入れる方も、今現在、愛犬と暮らしている方も、ぜひ意識してみてください。

犬にとっての『優しい室内環境』とは?意識するべき6つのこと

へそ天で眠る柴犬

1.温度や湿度を適切に

一昔前までは外で飼われていた犬も、今では室内で飼われることが当たり前のようになっていますよね。犬に対して寒さに強いイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、犬種によってはとても寒さに弱い犬種もいます。また、多くの犬種は高温多湿に弱く、室内の温度が高すぎるのも犬にとっては優しい環境とは言えません。

犬にとって過ごしやすい室温は基本的に人間と同じと考えて良いでしょう。冬でしたら暖房の設定温度は18~22℃ほど、湿度は50~60%ほどに保つとちょうど良いと言われています。夏でしたら冷房の設定温度は25~28℃ほど、湿度は45~60%ほどに保つと良いでしょう。季節によって快適に過ごせる室温に変動もありますので、冷房や暖房の設定温度は愛犬の様子を見ながら行ってください。

また、犬種や個体によって心地良く感じる温度や湿度は異なります。耳や肉球に触れて身体が冷えていないか、呼吸が荒くなっているときは体温が上がっていないか(パンティングしていないか)、また寝相などからも暑いのか寒いのか快適なのかを判断し、その都度室温を調節してあげましょう。

【適温に関する補足】

体が大きく立派なダブルコートを持つバーニーズマウンテンドッグやグレートピレニーズなどの犬種は、蒸し暑さに特に弱い子が多いようです。冷暖房の温度設定は、基本的には飼い主さんが快適と感じる設定で良いと思いますが、夏に飼い主さんが快適に過ごしている室内ではパンティングが止まらず、冷房をその犬が静かに休める温度に設定してあげたら、飼い主さんはセーターを着込んで過ごすことになった、というような話もよく聞きます。フレンチブルドッグやパグなどの短頭種の子も蒸し暑さに弱いでしょう。夏は冷房の他に扇風機を併用するのも良いと思います。冬の暖房については、床に近い部分、飼い主さんの足元が暖かいかを気にしてあげると良いでしょう。

獣医師:木下明紀子

2.滑りやすい床に注意

犬の肉球はツルツルとしたフローリングの床では、とても滑りやすいもの。特に長毛種の犬で肉球の間にたくさん毛が生えていたり、その毛がはみ出して肉球を覆ってしまっていると余計にツルツルした床では滑りやすくなってしまいます。

滑って転んで怪我をしてしまう危険性もありますし、常に滑りやすい床の上で生活していると足や腰などへ負担がかかり関節を痛めやすくなってしまう可能性があります。ヘルニアや関節炎をできるだけ予防するためにも、床は愛犬が滑らない状態にするよう意識しましょう。

滑りやすい床を滑りづらくする方法はたくさんあります。我が家で使用しているのは、コルク製のジョイントマット。粗相などで汚してしまっても、その部分だけ水洗いすることができるので、手軽に清潔が保てます。

コルク以外でも様々な素材のジョイントマットが販売されています。また、大きなカーペットを1枚敷いてしまうものひとつの方法。ただし、抜け毛が多い犬種だと、お掃除はちょっと大変になるかもしれません。

部屋の雰囲気を変えずに工夫するのであれば、フローリングに滑り止めワックスを塗る方法もあります。フローリングをそのまま使用できるので、部屋の雰囲気を変えることなく過ごすことができます。

効果は徐々に落ちてくるので、定期的に塗り替える必要があるようです。ワックスを使用するのであれば、ペットの安全が配慮された商品を吟味して選んでください。

3.入ってほしくない場所にはゲートを

愛犬にどうしても入ってほしくない場所がある場合は、ゲートを使用して侵入するのをしっかりと止めましょう。多くのご家庭ではキッチンにゲートを使用しているようです。また階段の上り下りも犬の足腰に大きな負担がかかります。犬が不必要に階段を使ってしまわないよう、できるだけ階段にもゲートをつけることをお勧めします。

キッチンはもちろん、暖房器具など、火を使用する場所や物は危険がつきものですよね。特にお留守番をフリーでしている犬には、安全な環境でお留守番してもらうためにもゲートやフェンスなどの必要性が高くなると思います。

安全面だけではなく、お互いがストレスなく過ごすためにもゲートは活躍します。たとえば、キッチンに入って盗み食いをしてしまう犬がいた場合、食べ物が口の届く所にありながら犬にそれを食べないようにしつけるよりは、キッチンに入れなくしてしまう方が、盗み食いという問題を早くそして楽に解決することができます。

4.電気コードに注意

とても意識してもらいたいのが電気のコード。イタズラで噛んでしまうと感電の恐れがありますし、コードがかじられているのに飼い主さんが気付かずに電化製品を使ってしまうと漏電の危険もあります。電気コードは家中のどこのお部屋にもあるでしょうし、差し込み口も犬の体高より低いものがほとんどなので意外と厄介です。家具の後ろを通す、また愛犬の力で動かすことができない物で隠してしまう、カバーをつけるなど、工夫をしてイタズラ防止をしましょう。
コードをイタズラするようになってから対策を講じるよりも、最初から対策をしておきイタズラされることがない方が、ずっと問題が少なくてすみます。

5.小物、観葉植物は片付けて誤飲防止を

犬は興味を持った物は何でも口に咥えてしまう子がとても多いです。「食べ物ではない!」と理解して口から離す子もいるようですが、遊びとして噛んだりする子もいて、誤飲に繋がる可能性がとても高いです。犬は口に入るサイズの物は何でも飲み込めてしまうので、犬が咥えてしまいそうな小物類は届かない高い場所などへ片付けてしまいましょう。

また、観葉植物には犬が噛んだり飲み込んだりしてしまうと毒性のあるものもあります。犬の生活空間には観葉植物を置かないのが一番良いでしょう。花束やフラワーアレンジメントも、犬が絶対口にしないようにしましょう。

6.ハウスを準備する

犬のハウスは、ケージやサークル、クレートなどになります。お家全体が、または犬のいる部屋全体が犬のハウスではありません。ハウスは愛犬にとって「自分だけの安心できるお家」となります。自分専用のくつろげるハウスがあることで、日常のストレスの軽減にも繋がりますし、どうしても飼い主さんが愛犬を見ていられないときに、入っていてもらうことで事故防止にも繋がります。

ハウスは「閉じ込める場所」では決してありません。愛犬の精神面や安全面を考慮しても、愛犬が落ち着くことができる場所を用意してあげることをお勧めします。

まとめ

ソファでくつろぐゴールデンレトリバー

犬は飼い主さんの予想をはるかに超えるイタズラをすることがあります。もし、イタズラを防ぎきれなかったとしても、前もって室内環境を整えておくことで事故防止に繋がるはずです。

室温に関しては犬種や個体差によって、多少の差がありますが、一般的に暑さに弱い、寒さに弱いといわれる犬種は特に気をつけてください。夏の暑さで熱中症になってしまったり、寒くて急にガタガタ震えだしたり体に負担がかかったりしてしまうことがあるのも事実です。愛犬の健康を保つためにも、優しい室内環境をしっかり意識しましょう。

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