犬は反省しないと言われる理由
犬のしつけをする中で「犬は反省しない」と言われることがありますが、必ずしもそうではないと思います。飼い主さんに叱られたことをきちんと理解できれば犬も反省してその行動をくり返さないようになるものです。
ただし過去に起きた事例や自分の行いを振り返って行動を正そうとするようなことはあまり考えられないので、人間の思う“反省”とは少し違うかもしれません。
しつけをする中で「犬は反省しない」と思われるのは、叱った後にもはしゃいで遊んでいたり何度叱っても同じことをくり返してしまったりするため。しかしながらそれは犬が叱られても反省しないのではなく、叱っていることやしてほしい行動が犬に正確に伝わっていないためであることがほとんどだと考えられます。
叱ったはず、伝えたはずのことを犬がしてくれないことから「反省していない」と感じてしまうのでしょう。
犬に伝わらない叱り方
犬を叱っても反省しない理由には、そもそも叱っている意味や理由が正確に伝わっていないということが考えられます。では、犬に伝わりにくい叱り方とはどのようなものなのでしょうか?
時間が経ってから叱る
犬は「短期記憶」と呼ばれる直前の行動などを記憶して保持することが苦手で、わずか3~6秒程度しか覚えていることができないとされています。そのため、何らかの行動に対して叱ったり褒めたりする場合も5秒以内に行わなければ犬は何を叱られているのか理解できないとされています。
特に留守番中のいたずらやトイレの粗相などに対して、数時間後の飼い主の帰宅時に叱られても全く関連付けることができず、ただ飼い主がイライラして怒っているだけだと思われてしまうのです。
長々と説教をする
犬に伝わらない叱り方として長い時間をかけて指導したり、くどくど説教をするということも挙げられます。犬は人間のように言語を正確に理解することはできません。「おすわり」「待て」などのよく使われる指示語や「ごはん」「散歩」など自分にメリットのある単語であればその意味を理解することができますが、長い文章になるとその意味を理解することは不可能。
長々と説教をしても犬にその意味は伝わらず、ただ飼い主が怒っているという状況しか理解できずに終わってしまうため反省させることはむずかしいでしょう。
一貫性がない
叱るときだけでなく褒めることも含めしつけをする上で非常に大切なのが、一貫性を持った態度で犬に接することです。同じことをしても叱られるときと許されるときがあったり、人によってその基準が異なってしまうと犬は混乱してしまいます。何が正しいことかわからず、飼い主の望む行動を取ることはむずかしくなってしまうと思います。
犬にとって効果的な叱り方
犬に伝わりにくい叱り方では、犬に反省させて行動を正すことはできません。犬に伝わりやすい叱り方のポイントをつかんで、効果的なしつけやコミュニケーションを取れるようにしましょう。
叱るのは“現行犯”のみ
犬は過去のできごとを長い時間覚えていることができない上、人間の言語を正確に理解できないので時間が経ってからいたずらや問題行動について叱っても何を怒られているのか理解することができません。
そのため最も効果的なのはやめて欲しい行動をしている瞬間に“現行犯”で叱ることです。さらに、正しい行動をした瞬間に褒めることができればしつけとしてより効果的だと思います。
短い言葉で毅然と叱る
くどくどと長い文章で説教をしても犬に反省を促したり行動を正すことはできません。犬を叱るときに意識したいのが、短い言葉で端的に伝えることです。望ましくない行動をしている瞬間に「コラ!」「NO!」など短い言葉をビシッと毅然とした態度で伝えましょう。また、叱るときには感情的にならず冷静に伝えることも大切です。
犬の性格に合わせた叱り方を考える
犬を叱るとき犬の性格タイプや気質に合わせてその方法を変えることもポイントです。飼い主さんにかまってもらうことが大好きでポジティブなタイプの犬には、目を見て叱ることよりも無視をされることの方が叱り方として効果的な場合があります。
また、繊細なタイプの犬は厳しく叱りすぎると自信をなくしてその後の行動に移れずしつけが進まなくなってしまうということも。性格に合わせた叱り方をすることで飼い主さんの思いがより伝わりやすくなるでしょう。
まとめ
「犬は反省しない」と言われることがあります。確かに人間のような反省の仕方とは違うかもしれませんが、学習として叱られたことで行動や態度を改めるということは十分できることです。そうした変化が見られず反省していないと感じられる場合には、こちらが伝えたいこと正確に伝わっていないのかもしれません。
叱るときや望ましい行動をして欲しいときには、タイミングや使う言葉などに気をつけて伝えられるように意識してみることをおすすめします。