犬との距離感を間違えるとどうなる?
近年日本でも外に鎖などでつなぐ飼育方法から室内で一緒に生活をするようになり、家庭内における犬に立ち位置が急激に変化してきました。物理的な距離感が縮まった中で、犬との関係性として距離感がうまく保てずにトラブルを起こしてしまうということも少なくありません。
犬が問題行動を起こす原因やきっかけが飼い主との距離感であることも多く、適切な接し方や距離の保ち方を学ぶことで犬との関係性もよくなる事例が数多くあります。
犬のペースを考えずに距離感を詰めすぎたり、犬の気持ちを考えず突き放すような態度を取ることなどで犬はストレスを溜めてしまうことがあります。飼い主と適切な距離感で過ごせないことによる寂しさや憂鬱、ストレス、イライラなどによっていたずらや吠え、攻撃行動などを起こしてしまう犬も。また、適度な距離感で接してくれない飼い主に対して不信感を抱いてしまうこともあるのです。
犬との適度な距離間の保ち方
犬と適度な距離感を保つために必要なことは、まず接する犬の態度をよく観察すること。そして犬からのアプローチを待つということです。初めて会う犬や飼い始めたばかりの犬、問題行動が見られるなど悪い方向への変化が見られたときなどには特に犬の態度や表情を観察することが大切です。
犬が「これくらいの距離が心地良い」と感じているにもかかわらず、それを無視して気持ちに土足で踏み込むような態度を取れば一気に信用を失い心を開いてくれなくなることもあります。
また、寝ているときに無理やり起こして遊ぼうとしたり、長時間の留守番後に甘えようと思っても忙しそうにして無視されたりすると犬は不快感や不信感を募らせると思います。
犬との適度な距離感というのは犬種や個性によってそれぞれ異なりますし、同じ犬であってもその日の気分や接する相手によって大きく変わる場合があります。それは私たち人間でも同じことが言えると思いますので、その感覚は犬も人も同じだと考えていいと思います。
適度な距離感で接してくれる相手に対しては、犬自らがその距離を縮めてきたり人の気持ちや様子をくみ取って接してくれるようになるのでより良い関係性が築けるでしょう。
犬の態度や表情で気持ちを理解しよう
犬がどのような距離感を適度だと感じているかについては、犬の態度や表情から知ることもできます。なでたりかまっている間に犬がそっとどこかに行こうとしたり、背中を向けて座ったり、人の顔を見ながらあくびをしたりしているときには「やめて」「落ち着いて」などという気持ちのあらわれかもしれません。
これらは犬が自分や相手を落ち着かせるためにするカーミングシグナルというボディランゲージでもあります。
こうした態度や表情が見られたときは一度触れることをやめて距離をとってあげるといいでしょう。もし「やめて」という意味ではなかった場合には、犬の方からまた近づいてくると思うのでそうしたやり取りをくり返して犬の感情を理解していけるようになるといいと思います。
また、初めて接する犬などの場合は犬の方から近づいてくることを待ってあげることも必要です。リードなどでつながれていたり抱っこされている犬は、人が近づいてきても逃げることができないため自ら適度な距離感を保つことがむずかしい状況にあります。
そのため、犬から少し離れた場所にしゃがんだり、手の甲を出して犬が近づいてにおいを嗅ぐなどのアプローチをしてくることを待ってから接すると犬も安心すると思います。
まとめ
すでに一緒に暮らしている愛犬との適度な距離感というのは日頃あまり意識することはないかもしれません。犬がある程度自由に過ごせる空間で長い時間生活を共にしていれば、自然に適度な距離感がつくられていることも多いのでお互いストレスなくいられるでしょう。
しかし、犬の年齢やライフステージが変わることで適度な距離感にも変化が起こる場合があります。犬の様子や態度をしっかりと観察して、心地良い距離感で過ごせるよう気をつけてあげましょう。