犬は「短期記憶」と「長期記憶」を持つ
犬は「記憶力がいい」と言われることもあれば「すぐに忘れてしまう」と言われることもあり、記憶に関する能力についてさまざまな意見が飛び交っています。犬の記憶に関する研究はまだまだはっきりとしない部分も多いとされていますが、基本的に犬の記憶は5秒前ほどのことを記憶する「短期記憶」と数十分~10年程度記憶される「長期記憶」の2種類があると考えられています。
短期記憶
「短期記憶」の時間が人間に比べて短いため、直前に言ったことややったこともすぐに忘れてしまうということがめずらしくありません。そのため、しつけなどで叱ったり褒めたりするときに「犬が取った行動から6秒以内に評価を行わなければならない」などと言われるのです。犬が取った行動から時間が経ちすぎてしまうと、犬は何を褒められているのか、何に対して飼い主さんが怒っているのかということが理解できず効果的なしつけができないのです。
長期記憶
それに対して「長期記憶」というのはその名の通り長い時間覚えていることができるもの。くり返し行っていることや教えられたこと、感情や感覚と結びついているできごとなどは長期記憶として残りやすいと言われています。
毎日ご飯の前に座るよう教えられた犬はそれをずっと覚えてくり返し行うことができます。また、痛い思いや怖い思いをした場所はトラウマのように記憶に残り数年経っても近づきたがらないということもあります。特ににおいや音に関連づけられたできごとや、ネガティブな感情を伴うできごとなどが強く記憶されやすいと言われています。
犬はどれくらい昔のことまで記憶できる?
犬が長期記憶としてどの程度長い期間記憶を持ち続けることができるかということについて、多くの人が関心を寄せています。「子犬のときの記憶はあるか?」「飼い主を忘れることはないか?」など犬がどのような記憶力を持っているかとても気になるところです。
長期記憶の中で怖い・痛いなどのネガティブな感情を伴うできごとや場所は記憶として残りやすいとしましたが、反対にポジティブな関係を長期間にわたって築いた相手についても長い期間記憶し続けることができると言われています。そのため、子犬の時期に数か月程度一緒に過ごした相手でもその関係性が深ければ老犬になっても覚えていると考えられているのです。
子犬の頃の記憶を持っていることも多い
犬がどれくらいの期間記憶を持ち続けることができるかということについては、現時点では正確には解明されていません。しかし、実際に犬と触れ合う中でとても古い記憶を犬は持っている、または時間が経っても何かしらのきっかけでその記憶を呼び覚ますことができると感じることはたくさんあると思います。
例えば盲導犬というのは生後1年までの子犬の時期を一般家庭の中で過ごし、たくさんの愛情を受けます。それから盲導犬として育成され仕事に就き、数年経って引退した後子犬のときに共に過ごした飼い主さんに会うと大喜びするということはめずらしくないそうです。
筆者もパピートレーニングなどで子犬の一時期を見続けた犬に数年ぶりに会ったとき、大歓迎を受けることがあります。はじめは様子をうかがうように私を観察したりにおいを嗅いだりしていても、途中でハッと気づいたかのように喜びを爆発させてくれることがあるので「思い出したのだな」と感じることがあります。
言葉を話せないため、犬がどの程度記憶しているかはわかりませんがこのような実体験がいつか証明されるような研究が行われればうれしいですね。
まとめ
犬の記憶力については世界中でさまざまな研究が行われていますが、まだまだ解明されていない部分も多く憶測や推測の域を出ないこともあります。「どのくらい古い記憶を持っているか」「どの程度過去のことを覚えているか」などについては科学的な証明はされていなくとも、飼い主さんや犬と関わる人たちが肌で感じるところも多いと思います。
そうしたことを含め、人と犬の関係をより深めるような記憶に関する研究が今後も行われていくことを願っています。
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20代 男性 匿名