1.パピー期の子犬
まだ成熟しきらないパピー期の子犬は、一般的にお留守番が苦手です。母犬やきょうだい犬たちと一緒に暮らしていた記憶がまだ新しいため、ひとりぼっちで過ごすことに慣れていないからです。また、飼い主さんとの暮らし始めて間もないため、「待っていれば必ず飼い主さんが帰ってきてくれるから大丈夫」という確信も持てず、常に不安で過ごすことになってしまうことも一因でしょう。
また、飼い主さん側から見ても、パピー期の子犬がお留守番に向かないのは明らかです。ごはんの間隔が狭いため、こまめなお世話が必要だったり、しつけが完了しきっておらず、お留守番時にしてはいけないことの区別がついていなかったりする場合は、安心してお留守番させることはできませんよね。
2.愛玩犬や人間と共同生活を送ってきた犬種
お留守番の得手不得手は、犬種によっても大きく左右されます。わんこの種類が膨大なのは、現代に至るまで、人間の様々な都合によって品種改良が繰り返されたからです。つまり、その犬種がどのような経緯で作出されたのかによって、犬種の持つ性格や特徴は異なります。
愛玩犬
例えば、王侯貴族が寵愛するための愛玩犬として作出された犬種は、古来から人間に抱かれることに慣れていて、人間と一緒にいることに幸せを感じるため、ひとりぼっちは得意ではありません。具体的には、キャバリアやシーズーなどがこれに当たります。
使役犬
また、愛玩犬ではなく使役犬としての歴史を持つ犬種であっても、人間と一緒に移動生活をしていたり、人間の暮らしにかなり密着していたりと、人間と非常に近い距離で共同生活を送っていた犬種の場合は、人間と一緒にいることで安心するため、お留守番は得意ではありません。
例えば、サモエドは寒い冬には暖房代わりに人間たちを暖めていたというほど、人間と近くで暮らしてきた犬種ですから、人懐こい反面、ひとりぼっちは嫌う傾向にあります。
日本犬はお留守番にも慣れやすい
一方で、ほとんど品種改良の手が加わらなかった上、番犬や猟犬として適度な距離で人間と暮らしてきた柴犬などの日本犬は、自立心が強く、あまりベタベタすることを好まないので、お留守番にも慣れやすい子が多いと言われています。
運動量をたくさん必要とする犬
中大型犬などの運動量をたくさん必要とする犬種も、お留守番は得意ではありません。どんなに広い部屋や広い庭で自由に走れる環境があっても、お留守番をしている間は、どうしても運動量が制限されてしまうものです。お留守番によって運動量が制限されてしまうと、わんこは心身ともにストレスが溜まってしまいます。
その結果、破壊行動や無駄吠えなどの問題行動が現れたり、場合によっては、心身のバランスを崩してたりして、体調不良を引き起こしてしまうこともあります。
飼い主さんとの距離が近すぎる犬
どんな犬種のわんこでも陥りうるパターンで、最も注意したいのが、飼い主さんとの距離が近くなりすぎるパターンです。愛犬を溺愛するあまり、「いつでもどこでも一緒」になりすぎると、わんこはひとりぼっちになったときに極端に不安を感じるようになり、お留守番が苦手どころかお留守番ができないわんこになってしまいます。
常に飼い主さんの後ろを付いてくる、少しでも飼い主さんの姿が見えないと鳴いてしまう、お留守番中に無駄吠えがひどいなどの症状は、分離不安症と呼ばれる疾患の代表的な症状です。
分離不安症は、わんこが「ペット」から「家族」へと変化してきた近年、増加傾向にある問題の1つ。飼い主さんの行動が愛犬をお留守番嫌いにさせてしまうこともあるということを、しっかりと認識しておかなければなりません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?確かにお留守番に得意・苦手はあるかもしれませんが、いずれにせよ、お留守番が「好き」なわんこはいません。たとえ、愛犬が良い子でお留守番できて、何も問題がないように見えても、寂しい思いをしていることに変わりはありません。お留守番の時間はできる限り短く、そして、お留守番をさせてしまった後には、愛犬とたくさん遊んで触れ合ってあげてくださいね。