間違った知識で愛犬の『ごはん』のお世話をしていませんか?
多くの犬にとって、ごはんは散歩に匹敵するか、それ以上に楽しみな時間です。うれしそうに、そしておいしそうにごはんを食べる愛犬の姿を見ていると、幸せな気持ちになると同時に、「今日も元気だな」と安心もしますね。
愛犬にごはんを与えることは、毎日絶対に欠かせないお世話のひとつですが、間違った知識でお世話をしていませんか?間違った知識でごはんのお世話をしていると、愛犬の健康に害を与えたり、困りごとにつながったりしてしまうかもしれません。
そのようなことにならないように今回は、犬の『ごはん』における間違ったNG知識についてご紹介したいと思います。
NG知識①ごはんの時間は決めてあげたほうがいい
規則正しい生活を送っている飼い主さんほど、愛犬のごはんの時間もきっちり決めてしまいがちです。でも、決まった時間にごはんをあげていると、犬は体内時計でそれを覚えて、ごはんの時間が近づくと吠えて催促するようになる可能性があります。また、飼い主さんの都合で時間通りにごはんをあげられないとき、犬のストレスになることも。
ごはんの時間が近づくたびに吠えてご近所に迷惑をかけないためにも、愛犬にストレスを与えないためにも、ごはんの時間はあえて決めないほうがいいでしょう。
NG知識②人が食べられるものは犬も食べられる
飼い主さんが食事をしているときに、愛犬におねだりされてしまうと、ついおすそ分けしたくなりますね。でも人の食べ物の中には、犬の体によくないものもあります。同じ哺乳類なので、人が食べられるものは犬も食べられるような気がしてしまいますが、そうではないのです。
犬と人とでは体の仕組みが異なるため、人が全く問題なく食ベられるものでも、犬にとっては有害であることが多々あります。例えば、タマネギなどのネギ類、チョコレートやブドウ(レーズン含む)は中毒を起こすことがあるので、犬には危険な食べ物です。
また、消化のよくないタコやイカを含む生の海産物やビオチン欠乏を招く可能性のある生の卵白などは、大量にあげることは避けましょう。食中毒の恐れがある生肉や加熱の十分ではない肉なども、人間と同様に犬が食べるのは避けるべきです。
また、人用に調理や加工された食べ物は、塩分、糖分、脂肪分、刺激物などが多く含まれており、カロリーも高めであることが多いため、フードをちゃんと食べている上に犬がさらにそのようなものを食べると肥満の原因になります。肥満は病気になりやすくさせたり、麻酔と手術のリスクを高めたりするので、どんなにおねだりされても愛犬の健康を考えて、飼い主さんの食事やおやつをおすそ分けするのはやめましょう。
NG知識③健康のために野菜中心のごはんのほうがいい
キャベツやレタス、白菜、ブロッコリー、きゅうり、かぼちゃなどは、加熱したり食べやすいように切ったりして、犬に与えることができます。だからといって、「愛犬の健康のために、野菜中心のごはんにしよう!」と、野菜ばかりのごはんにするのはよくありません。栄養バランスが狂うもとになります。
犬は、総合栄養食のフードを正しく食べていれば、野菜などで栄養を補う必要は基本的にありません。フードのトッピングとして野菜を与える場合は、適量を守りましょう。
もし手作りごはんに挑戦するのなら、犬に必要な栄養成分や栄養摂取量は人と異なることを理解し、愛犬に合った栄養バランスの取れたごはんを作ることが大切です。野菜や穀類、肉などの食材をバランスよく使い、味付けはせずに素材そのものの味を生かしましょう。
NG知識④食べ残しはそのまま置いておく
ごはんを出しても愛犬が興味を示さなかったり、ごはんの途中で遊び始めたりした場合、お腹がすいたら食べられるようにと、食べ残しをそのまま置いていませんか?これは、だらだら食べの原因になることがあります。
犬には本来、目の前にある食べ物は全て食べようとする習性があります。しかし、いつもごはんが置いてある状態だと、「いつでも食べられる」と思って、ごはんをだらだら食べるようになることがあります。このような食べ方だと、飼い主さんが食欲の変化に気づきにくく、病気の発見が遅れてしまうかもしれません。
また、食べ残しの放置はごはんが傷む心配もあるので、「ごはんは20分経ったら片付ける」など飼い主さんがルールを決めて、ごはんの時間は限られていることを愛犬に教えましょう。愛犬は、「ごはんは出されたらすぐに食べなくてはいけない」と理解していくでしょう。もし、愛犬に少しでも多く食べて欲しい状況で少量のごはんを常に置いておく必要がある場合には、ごはんが不衛生にならないように十分に気をつけてください。
急にごはんを食べなくなったり、痩せてきたりした場合は、病気が隠れていないか、獣医師に診てもらいましょう。
NG知識⑤間食も必要
間食とは、規則的な食事以外に摂取する補助的な食事のこと。いわゆる、おやつです。人には『3時のおやつ』というものがあることや、犬用のおやつの種類が豊富であることなどから、犬には間食も必要な気がしてしまいますね。でも、総合栄養食のフードを適量食べているのであれば、本来犬に間食は必要ありません。
犬に間食としてのおやつは絶対にNGというわけではありませんが、与え過ぎると栄養バランスの偏りや偏食につながる恐れがあるので注意が必要です。おやつは、飼い主さんとのコミュニケーションやごほうびとして少量ずつ与えるのがおすすめです。
どのような目的であるにせよ、おやつを与える場合は、愛犬に必要な1日のエネルギー量の10%程度にとどめ、おやつを与えた分フードは減らすなどして、肥満を防ぎましょう。人用のスナックやクッキーを与えるのは厳禁です。犬用のおやつを与えましょう。フードが大好きな子でしたら、わざわざ特別なおやつを用意しなくても、フードをごほうびとして使うこともできます。その場合には、ごほうびに使う分を1日分の食事からあらかじめ取り分けておきましょう。
まとめ
犬の『ごはん』について、間違った知識を持っていませんでしたか?飼い主さんは、家族の一員である愛犬のごはんについて、人と同じに考えてしまいがちです。でも、人と犬は別の生き物です。犬のごはんについて正しい知識を持ち、愛犬にとって栄養バランスのよいごはんを正しく与えましょう。それが愛犬の健康につながります。
ごはんの時間については、「決めた方が良い」「決めない方が良い」と両方の意見がありますが、犬や飼い主さんによってどちらが良いのかは変わります。飼い主さんの都合で毎日決まった時間にごはんをあげることができない場合に飼い主さんが罪悪感を感じる必要はありませし、毎日決まった時間にごはんをあげていて何も問題がないのであれば、ごはんの時間は決められたままで良いでしょう。ごはんの時間を決めた方が良いという意見は、規則的な生活が保障されることで犬がより安心して生活できるから、という考えによるものです。しかし決められた時間にごはんという楽しいことが起こることで、犬がそれを予測して興奮したり要求吠えをしたりしてそれが問題となる場合には、ごはんの時間を決めない方が良いということになります。
さらに、ごはんは1回にまとまった量をあげないといけない、ということもありません。特に留守番が長い犬では、フードが少しずつ出てくる知育玩具を利用して、留守番の間長い時間をかけて少しずつ食べるのがごはんであっても良いでしょう。