肉球とは?
肉球の正式名称
肉球とは、肉食動物の足の裏にある、毛の生えていない部分のことで、正式な名前は、蹠球(しょきゅう)と言います。ちなみに、蹠という字は、あまり目にすることがない漢字ですが、「あしうら」と読み、そのまま足の裏、という意味を表しています。
犬の肉球はなぜ固くなるのか?
地面を踏む力が強くなると、保護するための防御力も自然に強くなっていきます。
子犬のときは体重も軽く、また運動量も少ないですが、成長するにつれ、固い地面を歩いたり、自分自身の体重が増えたり、運動量が増えたりすることで足の裏にかかる負担が大きくなっていきます。その負担と刺激に対応して、徐々に肉球が鍛えられ、分厚く、固くなっていきます。
犬の肉球はなぜ黒くなるのか?
室内で飼われている猫や、まだ幼い子犬の足の裏はとても愛らしいピンク色をしています。ところが、猫は外を出歩くようになったり、犬も散歩に出かけるようになったりすると、肉球が硬くなったり、黒っぽくなったりします。
肉球の色は遺伝的要素が大きく、真っ黒な体毛の犬は子犬のときから真っ黒な肉球をしていることが多いです。逆に白っぽい体毛の犬は生活環境によって大人になっても、肉球がピンク色のままの場合もあります。肉球が黒くなるメカニズムは、メラニン色素による色素沈着によるものと考えられています。
毎日散歩に出かけたり、ドッグスポーツなどの運動をしたりすることで肉球が刺激されると、その場所にメラニン色素が分泌されて、色素沈着が起こります。そのため、ピンク色の肉球が黒くなってしまうのです。
犬の肉球の仕組み
肉球の組織
肉球の表面は、皮膚の角質層が固くなったもので、その表面は円錐状の突起の集まりで覆われています。この円錐状の組織のおかげで、氷の上でも滑らずに歩くことができます。そして肉球の内部は、脂肪と弾力のある繊維(弾性線維)とコラーゲンが多く含まれる線維組織が混在した組織で構成されています。
肉球の仕組み
先の方から、爪、爪の周りの指にあたる部分にある肉球の名称が指球(しきゅう)、真ん中の一番大きな肉球が掌球(しょうきゅう)と言います。
肉球の役割
靴底の役割
肉球は、スポーツシューズの靴底のように分厚く、皮下の骨や筋を保護し、スパイクシューズのように小さな円錐状の組織は地表をしっかりと捉えます。
クッションの役割
歩いたり、走ったりすると関節に大きな負担がかかります。けれども、肉球がクッションの役割を果たし、その衝撃を和らげます。
体温調節の役割
肉球周辺には動脈と静脈が並行しているため、上がりすぎた体温をすぐに冷やせる構造になっています。
犬の肉球が持つ知られざる機能5つ
1.地面の状態を感知できる
犬によっては、飼い主さんが肉球を触ったら驚いて、眠っていても目を覚ましてしまう場合があります。逆に寛いでいるときに飼い主さんが肉球を触りたいだけ触っても、何とも思ってないようにふるまう犬もいて、肉球の感覚は犬の個体ごとに違うようです。
とはいえ、基本的には肉球周辺にはたくさんの神経や血管があるので、人間の掌や足の裏と同じように、地面からの温度や固さ、感触などを感じることができます。
2.体温を調節するための汗をかく
「犬は汗をかかない」と思われがちですが、実は犬も体温が上がったときや興奮したとき、緊張したときに肉球に汗をかきます。
なぜなら、肉球周辺には動脈と静脈が非常に近い距離にあり、体温調節に大きな役割を担っていて、さらに汗をかくことでその性能を高めることができます。
3.どんな悪路でも足を守ることができる
肉球の表面は固く、さらに小さな円錐状の突起の塊で覆われている上、しっかりと地面を捉えて素早く走れて、石や岩がむき出しでも肉球の皮下組織を傷つけることなく行動できます。また、雪原などの凍てついた地面でも、肉球内部で血流がしっかり通っているため凍傷になりにくく、足を守ることができます。
4.肉球は、犬の全体重を支えている
私たち人間は、かかとをしっかりと地面について歩いています。けれども、犬はかかとを浮かせて、人間でいうと常につま先立ちで歩いている状態です。つまり、犬は歩いているとき、全ての体重が指先にかかっている、ということです。肉球は、その荷重を支える役割を果たしています。
5.肉球に水かきがついている犬がいる
ラブラドール、ニューファンドランドなど、泳ぐのが大好きな犬種の中には、肉球周辺に水かきがついています。
まとめ
私たち飼い主には無防備に触らせてくれる肉球も、実は様々な機能を備えている優秀で重要な体のパーツです。ただ、感触を楽しむだけでなく、愛犬の体を支えて、保護してくれている愛犬の肉球に感謝をしつつ、肉球に触ってよく観察し、愛犬の健康チェックの項目に加えてはいかがでしょうか?