犬の『社会化』の重要性は?
犬の「社会化」とは
子犬を迎え入れたご家庭、また迎え入れる予定があるご家庭で強く意識していただきたいのが、犬の「社会化」です。子犬にはこれから飼い主さんと人間社会で幸せに生活していくために、多くのことに慣れてもらわなくてはいけません。
知らない人や犬、見たことのない物、聞いたことのない音、行ったことのない場所など、多くの環境と接すること、また経験させることで慣れるようにしてあげることが犬の「社会化」になります。
犬の「社会化期」は個体差はあるものの、生後3週齢~12週齢ころまで。犬はこの時期が1番好奇心が強く、警戒心はまだ育っていないため多くの刺激を柔軟な心で受け入れることができます。
まだワクチン接種の時期でもありますので、獣医さんとの相談が必要になりますが、抱っこ散歩で外の世界を見せてあげる、また動物病院では子犬に社会性を身につけるためのパピーパーティーなども行われていますので、積極的に参加することをお勧めします。
犬の「社会化」の重要性
犬の「社会化」が重要視されるのには、もちろん理由があります。犬はこの「社会化期」に得た経験から、その後の性格がほとんど決まってしまうとも言われているからです。
犬の脳は生後4か月頃までに、ほとんどが出来上がるといわれています。そして、4か月頃からは知らないものに対しての警戒心も出てくる時期です。例えば、生後4か月前(社会化期)に知らない人と触れ合う機会がなかった犬は、人に対して恐怖心を持つ犬に育ってしまう傾向があります。
社会化期に何も経験させずに過ごさせると、何に対しても慣れることができていないので怖がりな犬に成長する可能性が非常に大きいです。
警戒心が低く、柔軟性が高い「社会化期」に多くの良い経験をすることによって、脳がすこやかに成長し、心身ともに健全な犬に育つともいわれています。犬にとっての「社会化」は、その後の愛犬の性格、また犬生にも影響してくる重要なものになります。
「社会化」をやらなかった犬はどうなる?
必要以上に怖がりになる
「社会化」をやらなかった犬は、何事に対しても経験不足。人間が未知のものに対して、恐怖心を抱く感覚に似ているのではないでしょうか?急な来客やチャイムの音などに怖がってしまうのはもちろん、ドライヤーや周囲の車の音など、日頃の生活音にまで怖がってしまうのは社会性が身についていない可能性があります。
問題行動を起こしやすくなる
恐怖心が強いことによって生じるのが犬の問題行動。「社会化」をやらなかったことで起こる犬の問題行動は「無駄吠え」「噛み癖」など。
「無駄吠え」という言葉は人間目線の言葉で、犬にとってみれば無駄に吠えているわけではなく、吠える理由があって吠えています。その多くの理由が「恐怖」や「不安」です。人に慣れていない犬は、お散歩中に知らない人に向かって吠えてしまうこともあるでしょう。また、動物病院で獣医さんに診てもらわなくてはいけないとき、噛みつこうとすることもあるはずです。
噛む力加減が分からない
犬は「社会化期」に犬同士でコミュニケーションをとることで、「噛むことは痛いこと」と学びます。他の犬と喧嘩をするかのように遊んでいる最中に、お互いにどのくらいの力で噛むと痛いのかを経験し学んでいきます。
強く噛みすぎると、相手が嫌がって遊んでくれなくなることで力加減を学んでいくのです。噛む力加減を学ぶことができないと、飼い主さんと遊んでいるときに、悪気なく飼い主さんに怪我をさせてしまうこともあると思います。
犬自身も多くのストレスを抱え込んでしまう
「社会化」を行わず、人とともに生きるための「社会性」が身につかなかった犬は、「苦手なもの」「不安なもの」「嫌いなもの」が多く存在してしまいます。容易に想像がつくと思いますが、自分自身が負と感じるものが多いと、嫌な気持ちになる時間が多いのは当たり前ですよね。「社会化」を行わなかった犬は、負の存在が多くストレスを感じる瞬間も多くなってしまいます。
ストレスを多く感じてしまうのは、人間同様、犬でも健康にとても悪いこと。子犬の頃のわずか数か月の「社会化期」に「社会化」をするかしないかで、将来的に愛犬の健康面にまで影響が出る恐れがあります。成長しても心身ともに健康に過ごせるよう、子犬のころの「社会化」を真剣に考えてみましょう。
まとめ
犬にとっての「社会化」は本当に大切なものです。「社会化」を行うことで、愛犬の犬生は豊かなものになる可能性が高いと思います。また飼い主さんにとっても、問題行動が少ない性格に育ってくれるのはありがたいことですよね。
犬の「社会化期」はとても短い時間しかありません。この時期に多くの経験をさせることは、将来的に飼い主さんにとってもプラスになることなので、できるだけ子犬のために時間を割いてあげてください。