犬は飼い主の会話を聞いているのか?
家族間の会話や電話での会話などは、犬の前で頻繁に行われていることだと思いますが、そもそも犬は飼い主の会話を聞いているのでしょうか?
実は、犬は人間同士の会話をとても意識して聞いているのではないかと考えられています。特に家の中では家族が会話をしているときなど、犬は寝ているように見えてもうっすらと起きて耳だけはそばだてているということも珍しくありません。
そして、犬が家族の会話を気にしている理由は「自分に関係があることかもしれないから」です。特に“散歩”や“ご飯”“おやつ”など、犬にとってうれしいことの話や、“病院”“注射”など苦手なことの話が出てくる可能性があるため、多くの犬は飼い主の会話を意識していると考えられています。
実際、自分のベッドで静かに寝ていると思っていた愛犬が「ご飯にしよう」の一言でパッと起きて、駆け寄ってくるということは多く見られる光景です。
犬が言葉の意味を理解する方法
犬は私たち人間の会話に注目しており、耳をそばだてていることが多いと考えられます。その中で犬が会話の意味を理解するのは、知っている言葉が出てきたときです。基本的に犬は人間の会話からその意味を理解する際、単語レベルの言葉を聞き取って判断していると考えられています。
そのため「ご飯」の意味を知っている犬の場合、「ご飯あげよう」と言ったときも「ご飯なしにしようかな」と言ったときも、同じように反応して近寄ってくることが多いと思います。知っている単語があるとそこに続く言葉や接続詞などまでは聞いておらず、また正確な会話の意味を理解することは難しいでしょう。
犬が単語またはよく使われる会話のフレーズの意味を理解するのは、言葉の後にそれを意味する物や行動が提示されることが繰り返されることで行われます。「ご飯だよ」という言葉の後に食べ物が出されたり、「散歩に行こう」との呼びかけの後に実際散歩に出かけたりすることを繰り返すことで、犬は自然に言葉にその意味を結びつけて理解していくのです。
犬の言語処理をする方法に関する研究
犬が人間の言葉をある程度理解できるということは様々な研究でわかっていますが、近年ハンガリーのエトベシュ・ロラーンド大学で行われた研究によって、言語情報を処理する脳の働きが犬と人間で似ているということが判明してきました。
この研究を主導した動物行動学者のアッティラ・アンディクス氏は、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を用いて犬の脳の動きを研究しました。機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)の中で決して動かないように犬たちをしつけ、計13頭の犬を対象に人間や他の犬が発した様々な声を聞いたときに脳がどう反応するかを調べました。
その結果、幸福感と恐怖感をあらわす声に対して人間も犬も脳の同じような部分が活性化することが判明。さらにその2年後同じ13頭の犬に内容や言い方を変えて発した4パターンの言葉を録音で聞かせる研究を行いました。そこでわかったのが犬の脳は左半球が単語そのものに、右半球が発せられるイントネーションに反応しているということでした。
まとめ
犬がどの程度人間の言葉や会話を理解できるかということは、犬とともに生きる私たちにとってえも興味深いことだと思います。世界中で行われる様々な研究によって、犬の言語理解や脳の働きに関する事実が判明しており、犬が私たちの言葉にしっかりと耳を傾け理解しようとしてくれていることがわかります。
さらに、日々一緒に暮らしている中で犬が私たちの言葉を一生懸命聞き、理解しようとしたり会話に加わろうとしたりする姿も見られると思います。私たち人間は犬とより多くの会話をするために、わかりやすく伝わりやすい方法を考えていきたいものですね。