犬の耳掃除は本当に必要?しなくちゃいけない理由って?

犬の耳掃除は本当に必要?しなくちゃいけない理由って?

私の愛犬は、アメリカンコッカースパニエル。耳のトラブルとは長い長いお付き合いをしてきました。毎日欠かさず耳掃除もしているのに、一向に改善する兆しはありませんでした。ところが、ある時かかりつけの獣医さんからの意外なアドバイスによって、耳のトラブルが激減しました。そこで、私は疑問に思ったのです。「犬の耳掃除は本当に必要だったの?」と。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の耳掃除は何のために必要なのか?

寝転んで耳掃除をされる黒い犬

耳の中を清潔に保ち、病気を予防するため

耳の中の余分な脂や耳垢を取り除くため、と言われています。脂分や耳垢がたまると細菌が繁殖しやすい環境になるのを防ぐために、耳の中を清潔に保つ必要がある、と言われています。

耳のトラブルが起きやすい犬の特徴

男性に耳掃除をされている黒いコッカースパニエル

耳が垂れている

柴犬やシェパードのように耳が立っている犬の耳は「立ち耳」と言い、コッカースパニエル、ラブラドール、ダックスフンドなど耳が垂れている犬の耳を「たれ耳」と言います。たれ耳の場合、立ち耳と比べて常に耳の穴に蓋がかぶさっている状態なので通気性が悪く、湿気がこもりやすくなっています。そのため、立ち耳の犬よりもたれ耳の犬の方が、耳のトラブルを起こしやすいのです。

体臭が強い

犬の場合、体臭が強い、ということは皮脂の分泌が多いことを意味します。耳垢は、外から入ってきたホコリや皮膚が自然に剥がれ落ちた残骸が、耳の中で分泌された皮脂と混ざり合ってできるものです。ですから、皮脂の分泌が多く、体臭が強い犬の耳垢は、体臭がさほど強くない犬の耳垢と比較すると、当然、ニオイも強く感じられます。

外で飼っている

室内で飼うよりも、飼い主さんの目が行き届きにくく、犬の居住空間も室内飼いの犬よりも不衛生な場合が多いため、耳だけでなく皮膚のトラブルも起きやすくなります。

犬の耳掃除をしてはいけない理由

伏せをして上を見る耳が垂れている子犬

耳の粘膜を傷つける

犬の耳の掃除の仕方でよく目にするのが、「犬の耳の中の毛を抜く」という作業があります。毛を引き抜いた後、毛穴に炎症が起こることがあります。

また、耳を洗浄するためのクリーナーによって、皮膚の粘膜が傷つけられて、慢性的な炎症が起きてしまい、それが改善されないまま繰り返しクリーナーで洗浄され続けると粘膜が変質し、固くなってしまいます。

耳の自浄作用を妨げる

耳垢=不潔、というイメージですが、薄い茶色の耳垢は外からのホコリや耳の中で剥がれ落ちた皮膚が皮脂によってまとまったもので、不潔なモノではありません。そして、耳にはこの耳垢を鼓膜に近い方から外側へと自然に押し出す自浄作用が備わっています。

ですから、耳の中が赤く腫れていたり、あきらかにいつもと違う異臭がしたりする、という状態でなく、健全な状態の耳を過剰に掃除して耳垢を全て取り除いてしまうと、耳の中で行われる自浄作用を妨げることになってしまうのです。

犬の耳掃除は本当に必要?

綿棒で耳の掃除をしてもらう犬

犬に耳掃除は必要はない

愛犬・めいぷるは、たれ耳で体臭の強いアメリカンコッカースパニエルです。家族に迎える前から、耳のトラブルについては「長いお付き合いになる」と覚悟はしていました。ですから、めいぷるは子犬のころから耳の中の状態に常に注意を払い、ふだんから念入りに耳のお手入れをしていました。

ところが、数年経っても、梅雨時だけでなく長雨が続くと、必ず耳から独特のニオイがし始め、「耳を痒がり出したな」と思ったら、もう真っ赤に腫れている…ということは日常茶飯事でした。

病名は、「マラセチアによる中耳炎」です。そして、まれに、「緑膿菌による中耳炎」になったこともあります。緑膿菌による中耳炎になったときは、完治するまで1か月以上かかりました。もちろん、医療費もかかりました。

緑膿菌による中耳炎が完治したとき、かかりつけの先生に「めいぷるちゃん、普段の耳のお手入れを止めてみましょう。その代わり、外出の際はスヌードで耳が汚れないようにして、外出から帰ったら、必ず足を清潔にしてみてください」と指示されました。

その指示通りにし、半年近く経ちますが、あれほど頻繁に発症していたマラセチアによる中耳炎は一度も発症していません。この経験から、私は「犬に耳掃除は必要ない」と言う意見に賛同できるようになりました。

犬の耳にまつわるトラブルが起きやすい本当の原因とは?

獣医さんに耳の中を診察されている犬

後ろ足で耳を掻くことによる細菌感染

犬は、耳を後ろ足を使って掻きます。外を歩くといろいろな細菌が肉球や爪に付着し、その足で耳を掻くと、耳の中に細菌が侵入します。過度なお手入れによって、耳の中の粘膜が傷ついていると細菌に感染して、外耳炎や中耳炎が発症します。

低品質のフードによるアレルギー

低品質なフードを食べることによって、皮脂の分泌が増えたり、酸化した皮膚のニオイが強くなったりすることがあり、耳の中に異臭を感じることがあります。

また、低品質のフードに含まれる食材が原因で、皮膚トラブルが起こり、その影響で耳の中が腫れたり、粘膜がただれたりと言った症状が現れることもあります。

ダニの感染

犬の耳に、ミミヒゼンダニというダニが寄生して発症する病気です。黒い耳垢が出ているときは、ミミヒゼンダニによる「耳疥癬」に感染しています。

まとめ

耳掃除をされているダックスフンド

愛犬のためと思い、一生懸命心を込めて耳の手入れをしたのに、却ってそれが愛犬の耳にとってはトラブルの種になっていたことに驚きました。

そして、身に染みて感じたのは、常に耳の中に何か異常はないか?痒がっていないか、赤みはないか?を気にかけること、それから、正常なときの耳垢の状態などもしっかり覚えておき、トラブルをできる限り早く発見して、獣医さんの診察を受けることです。

もし、毎日、しっかりと愛犬の耳をお手入れしているのに、耳の病気を繰り返す…という経験をお持ちの飼い主さんは、一度、耳掃除をお休みして、足の手入れを汚れの防止に気を配ってみてはいかがでしょうか?

獣医師からの補足

マラセチアやブドウ球菌は皮膚の常在菌です。個人差がありますので、決まった数字はありませんが皮膚には一定数の微生物が必要で、いることで皮膚を守ってくれています。しかし、清潔にしすぎると皮膚を守ってくれる微生物の数が減ってしまい、皮膚を守る働きが弱くなります。その結果、皮膚に病原性のある細菌などが感染しやすくなることもあります。また、皮膚のコンディションが悪くなることで皮膚の常在微生物の数が爆発的に増えてしまうと、常在微生物が原因の皮膚炎が起こりやすくなります。

皮膚に存在する細菌は微妙なバランスを取りながら存在していますので、清潔にしすぎたり、綿棒や綿花でこすってしまうことで外耳炎になりやすくなってしまうことはあります。

全く耳そうじをしないことが良いのではなく、極端にやりすぎないことが大切でしょう。足で耳をかく動作の多い犬の場合は、足に付着する微生物には注意することは大切です。特に散歩から帰ってきた時には、足に様々な雑菌をつけてしまいます。足をきれいにし、雑菌のついた足で耳をかかないように気を付けてください。足は洗ったままにすると乾燥して痒みが出やすくなります。洗った後には薄く保湿剤を塗布しお手入れを忘れないようにしてください。

平松育子
院長
獣医師
平松育子

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

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