おいしい『冬の食べ物』が犬には危険なことも
寒くなってくると、冬の旬のものを食べるのが楽しみになりますね。食卓で冬が旬の食べ物を味わっているときに、愛犬に「それ、食べたい…」という目で見つめられると、おすそ分けしてあげたくなることでしょう。でも、人にはおいしく無害でも、犬にとっては危険という食べ物は少なくありません。
犬にはNGな食べ物をうっかり愛犬に与えてしまって、動物病院のお世話になるようなことがないように、犬に絶対NGな冬の食べ物を知っておきたいものです。そこで今回は、犬に絶対NGな『冬の食べ物』をご紹介したいと思います。
犬に絶対NGな『冬の食べ物』
①長ねぎ
11月~2月頃が旬の長ネギは、β-カロテンやビタミンCといった免疫力を高める栄養素を豊富に含むため、人であれば感染症予防として積極的摂りたい食材です。でも、犬には絶対NGです。長ねぎや玉ねぎ、にらなどのねぎ類は、犬に中毒を引き起こす危険性があります。
中毒の原因物質は、以前はねぎ類に含まれる「アリルプロピルジスルフィド」とされていましたが、現在は「有機チオ硫酸化合物」と言われています。人間には問題ないのですが、犬が有機チオ硫酸化合物を含んだねぎ類を食べると赤血球が破壊され、中毒を起こすことがあります。加熱しても有機チオ硫酸化合物は分解されないため、ねぎ類を煮込んだ煮汁を与えるのもNGです。
中毒の症状としては、血尿、貧血、嘔吐、下痢、脈や呼吸が速くなる、などが見られます。2日後ぐらいに症状が出ることもあるので、食べた日に無症状であっても安心はできません。愛犬がねぎ類を食べてしまったときは、「元気そうだから大丈夫」と自己判断せずに、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
②生のエビ、カニ
エビは伊勢エビ、甘エビ、芝エビなど、カニはズワイガニ、紅ズワイガニなどが冬に旬を迎えます。エビもカニも、いろいろな食べ方があっておいしいですね。
でも、犬にエビやカニを生で与えてはいけません。エビやカニには、ビタミンB1を分解するチアミナーゼという酵素が含まれています。チアミナーゼを多量に摂取したり、継続的に摂取したりすると、ビタミンB1欠乏症になる恐れがあります。ビタミンB1欠乏症になると、食欲不振、嘔吐、足のふらつきなどといった症状が現れます。
チアミナーゼは加熱すると働かなくなるため、加熱調理したエビやカニの身なら、犬に少量与えてもOKとされています。しかし、甲殻類は消化が悪いため、犬に積極的に与えるべき食材とは言えないでしょう。
③生のイカ、タコ
冬は甲イカ、ヤリイカ、イイダコなどが旬です。イカやタコにもチアミナーゼが含まれているため、犬に生で与えるのはNGです。加熱したものも消化に悪いので、おすすめできません。
ちなみに、イカの内臓を取り除いて干したスルメは胃で膨張し、犬の食道や胃、腸に詰まってしまう危険性があるので、与えてはいけません。
冬のイベントの食べ物にも注意を
冬が旬というわけではないけれども、冬のイベントによく登場する食べ物の中にも、犬にNGなものがあります。
①クリスマスのフライド・チキン
クリスマスのパーティーでは、フライド・チキンがテーブルに並ぶことが多いのではないでしょうか。フライド・チキンをほお張る飼い主さんをうらやましそうに見つめる愛犬に、ちょっとおすそ分けしたくなる飼い主さんは多いでしょう。
でも、フライド・チキンにはたっぷりの油と調味料が使用されています。犬には高カロリー、高塩分なので与えないようにしましょう。フライド・チキンに限らず、人用に調理されたものは脂肪や塩分の取り過ぎになるため、犬に与えるのはNGです。
また、犬が鶏の骨を食べてしまうと、骨が裂けて喉や消化管などに刺さる危険があります。飼い主さんが食べたフライド・チキンの骨をテーブルから盗み食いしたり、ゴミ箱からあさったりしないように注意しましょう。
②お正月のおもち
お正月といえば、おせち料理とおもちではないでしょうか。おもちの原料はもち米ですので、中毒を起こすことはありませんが、犬にとって非常に危険な食べ物です。というのも、犬は食べ物を丸呑みする習性があるからです。犬におもちを与えて丸呑みをしたら、喉に詰まらせてしまいます。おもちは、犬に絶対NGです。
③バレンタインのチョコレート
バレンタインは今や、本命チョコや義理チョコのみならず、友チョコというものまであります。バレンタインの時期は女性でも、もらったチョコレートが家にたくさんあったりするのではないでしょうか。
チョコレートには、テオブロミンという成分が含まれており、この成分が犬には有毒です。犬がチョコレートを食べて中毒を起こした場合、嘔吐やけいれん、震えなどが見られます。最悪の場合、死に至ることもあるので絶対に与えてはいけません。
まとめ
冬は秋に引き続き、犬の食欲が増す季節です。ご紹介した食べ物を与えないようにすることはもちろん、食いしん坊になっている愛犬に盗み食いされないように十分注意してくださいね。
もし、犬にNGな食べ物を愛犬が食べてしまった場合は、無理に吐かせようとせず、気づいた時点でかかりつけの獣医師に連絡して指示を仰ぎましょう。