犬の散歩を怠ると罰金!オーストラリアの新しい動物福祉法
オーストラリアの首都特別地域では昨年から準備していた動物福祉法の改正が議会によって可決されました。中でも話題になっているのが動物福祉を侵害した場合の厳しい罰金刑です。
オーストラリア国外のメディアで取り上げられて話題になっているのは「最低でも1日1回の犬の散歩を怠った場合、最高で4000豪ドル(日本円にして約30万円)の罰金というものです。他にも犬が暑さ寒さをしのぐことができる小屋などの避難場所、水や食料を提供しないなど、動物の世話を怠っていることが見つかれば、その場で罰金を科せられることになります。
けれどこのオーストラリア首都特別地域の新しい動物福祉法のポイントは厳しい罰金刑ではなくて、世話を怠ることがなぜ重い罰金を科せられるほどのことなのかを明確にしているところなのです。この法律の画期的な点をご紹介します。
動物には感覚も感情もあるということを認めた法律
この新しい動物福祉法の画期的なところは、法律の中に動物が知覚と感情を持っていることを正式に記載していることです。動物が知覚や感情を持っていることは科学で証明されていますが、法律の条文の中でそれが認められたのはオーストラリアでは初めてのことだそうです。ちなみに日本の動物の愛護及び管理に関する法律では、動物の知覚や感情に触れられている箇所はなく、罰則があるのは動物を身体的に傷つけたり命を奪ったりした場合のみです。
動物にも知覚や感情があるというのは当たり前ではないかと思いますが、まずは科学がそれを証明し、法律がそれを認めて取り入れるまでには長い道のりがあり、オーストラリアにおいては首都特別地域の法律において初めて採用されました。
今後、同国内の他の地域にも同様の動物福祉法が広がっていくことが期待されています。
犬の散歩を怠るということの重さ
動物には知覚も感情もあるということを踏まえた上で考えると、犬に散歩(運動)をさせず、つないだままで刺激のない毎日を強いる飼育方法は、身体を直接傷つけることはなくても犬の感覚や感情を傷つける行為であり、動物虐待に当たるというのがこの罰則の理由です。「犬の散歩を怠ると罰金!」というのはメディアのセンセーショナルな伝え方とは全く違うところに狙いがあり、犬は毎日きちんと運動しているが飼い主が体調を崩して散歩に行けなかったから即罰金!というようなものではありません。
犬の散歩は象徴的な一例ですが、他にも動物の感覚や感情を重視し、本来あるべきではない状態を強いることが虐待行為であり、新しい動物福祉法ではいかなる動物虐待も許さないとしています。
法案が可決したことを発表した担当大臣は「動物福祉とは、動物がその生活の中で精神的および身体的にどのような状態にあるかを見極め適切に対応するということです」と述べています。
まとめ
オーストラリアの首都特別地域で新しい動物福祉法の法案が可決されたというニュースをご紹介しました。この法律は、動物福祉について肉体的な苦痛や安寧だけでなく、精神的、感情的、感覚的な面での苦痛や安寧も考慮しなくてはならないと明記した画期的なものです。
オーストラリアの他の地域はもちろんのこと、日本も含めた他の国にもこのような考え方をベースにした法律が広まって欲しいと思います。
《参考URL》
https://www.legislation.act.gov.au/View/b/db_60107/current/PDF/db_60107.PDF
https://www.yoursay.act.gov.au/animal-welfare-bill-amendments
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=348AC1000000105