『強い不安』を感じている時にする行動1:自分の身体を執拗に舐める
犬は強いストレスを感じた時や、強い不安感を抱いた際に自分の身体を舐めたり、尻尾や手足を噛む行為をします。
普段から自分の手足をペロペロと舐める犬でしたら、あまり気にならないかもしれませんが、普段からあまりそのような行為をしないのに、ふと気づくと自分の手足を執拗に舐めたり噛むような行為をしていたら、犬の精神状態が乱れているかもしれません。
様子を見て少し異変を感じたら、目新しいことや環境の変化など、犬が不安や葛藤を抱く原因はないか考えてみましょう。散歩中やドッグラン内、おでかけ先で見られる場合には場所を変えてみたり、大好きなおやつを与えて気を紛らわせてみたりしてみましょう。思いあたることがあればその不安の原因をなくしてあげ、また気分を変えさせることで落ち着いたなら大丈夫です。
『強い不安』を感じている時にする行動2:アクビをする
犬は強い不安を感じたときにアクビをすることもあります。しかし、寝起きや普段眠る時間帯にする場合はもちろんただ眠いからでしょう。そうでなく、アクビをした際はストレスや強い不安を感じているかもしれません。
例えば、大きな音がしたときや、知らない人が犬に近づいて触った時、慣れない場所に行った時などです。何かきっかけになる出来事が起こり、犬がアクビをした場合は、強い不安やストレスを感じているのと同時にその出来事を嫌がっていることが多いため、その際は犬の様子を見て、そのまま慣れさせるために放っておくか、犬をその場から避難させるか、飼い主さんが判断する必要があります。
『強い不安』を感じている時にする行動3:目や顔をそらす
目や顔をそらす場合も、犬は強い不安を感じていることが多いです。犬という動物にとって目を合わせるという行為は、喧嘩など戦う姿勢でいるときにすることがです。家庭で飼われていて普段から飼い主さんを含める人間と接触する機会が多くなっている現代の犬では、信頼している人と視線を合わせることは良いコミュニケーションの一つですが、親しくもない人や他の犬と視線を合わせることは敵意の表れとなります。
そのため、近づいてきた人や散歩中に出会った犬などに対して目や顔をそらした場合、その犬は「敵意はないよ」と伝えたくてそうしているのです。つまり、相手とは争いたくない、それ以上相手に近づかないで欲しいと思っているのです。そんなメッセージを無視してその犬にさらに近づけば、その犬は大きな不安や恐怖を感じ、逃げるか自分を守るための攻撃をするか、ということになります。もし自分の犬がこのような仕草を見せていたら、飼い主さんはその人や犬がそれ以上自分の犬に近づくのを止めてあげて下さいね。
もしそのような行為をした場合は何か前後にきっかけとなるような事が起きていないか思い返し、該当するようなことがあるならば犬のために避けてあげると犬もより安心して過ごすことが出来ると思います。
まとめ
犬は強い不安やストレスを感じると合図として様々な行動をとります。今までの環境や個体差により、紹介したこと以外のことをすることもあり、気付きづらい場合もありますが、不安やストレスを感じたら何かしらの行動をとることが多くあります。
もし、この行動は強い不安を感じているのかもしれないと思い当たることがあるならば犬の行動学に詳しい獣医師さんやトレーナーさんに相談してみてください。そうすることで、犬のことが更に分かるようになり、強い不安やストレスから解放してあげることが出来るようになるかもしれません。
犬が不安を感じた時に行う上記の行動は、一般的に「カーミングシグナル」と呼ばれ、自分自身と相手を落ち着かせようとして行うものです(カーミングとは、英語で静かにする、落ち着くという意味です)。
行動学的に言うと、相手に敵意がないことを示す服従行動や、不安や葛藤がある時に気を紛らわすために行う行動である転位行動がカーミングシグナルに含まれます。カーミングシグナルには他にも、地面のにおいをかぐ、鼻や口周りをなめる、ブルブルをする、伏せるなどがあります。
一時的な不安ではなく、慢性的なストレスから体の一部、特に手先、前足の指をしつこく舐めることがあります。手先をしょっちゅう舐めている場合、まずは皮膚や指に異常がないのか確かめる必要がありますので、動物病院を受診して下さい。
精神的なもの以外で手先をしょっちゅう舐める原因には、けがや異物(植物の破片がささったり砂利がはさまったりなど)、アトピー性皮膚炎などがあります。