犬が突然凶暴になる理由①反抗期、成熟期
「今まで人懐こくてどんな犬とも仲良くできてかわいらしい性格だったのに、最近他の犬にうなったり子供の服を噛んだりするようになったんです。」
そんな相談を何度か受けたことがありますが、その多くが子犬期から青年期に入る月齢でいわゆる“反抗期”によるものと考えられました。犬の反抗期は犬種や成長速度によっても異なりますが、小型犬では8~10か月頃、大型犬では1歳~1歳半頃にあると言われています。反抗期と言ってもただ単純に反抗をするということではなく、精神的にも身体的にも成熟して自分自身の力を試そうとする時期なのです。そのためまわりの人間や犬に対して強い態度に出て、それが通用するのかどうかを推し量っているのではないかと言われています。
犬が突然凶暴になる理由②痛みや不安がある
子犬から成犬へと成長する過程で凶暴に感じられる態度を示すことがありますが、それとは反対に老いが原因でそのような態度・行動を起こす犬もいます。年齢を重ねることで少しずつ体の色々な場所に痛みや不快感を感じるようになることがあります。
しかし言葉でそれを伝えることができないため、痛みのある部分を触られたりすることで相手に対して吠えたりうなったりして遠ざけようとすることがあるのです。また、体の痛みなどから思うように動けなくなることで不安や苛立ちを感じ、神経質になってしまうということもめずらしくありません。これまでは受け入れられていたことが受け入れられなくなって攻撃的になってしまうということも十分に考えられることです。
犬が突然凶暴になる理由③嫌な経験をした
年齢的な問題や心身の不調など何も思い当たることがない場合、それは“突然”の変化ではなく犬なりの理由があるのかもしれません。飼い主が気がつかないうちに犬が痛い・怖い・不快などネガティブな思いや経験をしてしまっていたということもあると思います。直接的に何かされたわけではなくても、何か嫌な思いをしたときにその場にいた人や犬を結び付けてしまうという場合もあります。犬でも勘違いをすることというのはありますし、言葉で話し合いができない分それが解消されるのに時間がかかることも。
犬が突然凶暴になったときの対処法
犬が突然凶暴になったと感じたとき、まず大切なのは凶暴性を見せる相手や対象物を把握することと原因を考えることです。どんなものに対してどんなときに攻撃性などを見せるのか、ということを知ることで原因を探るきっかけができると思います。そして原因をある程度を予想したらそれぞれに適した対処をしていきましょう。
成長過程の反抗期による行動であれば時期が来れば自然と落ち着くこともありますが、その時期の要求や威嚇などを受け入れることのないようにしなければなりません。無視をして受け流したり、毅然とした態度で要求を拒否するなどして「あなたの思い通りにはならない」ということを伝える必要があります。また、痛みや不安が原因であればそれらを取り除くサポートをしてあげましょう。
動物病院で相談したり、自宅でマッサージやストレスケアをしたりして心身に寄り添ってあげることが大切です。さらに、嫌な経験をしたと思われる場合はそれ対していいイメージを植え付けられるようなアプローチが必要です。おやつやおもちゃ、飼い主さんとのスキンシップなど犬にとって楽しいもの、うれしいものを活用して嫌な経験を楽しい思いで上書きできるように取り組んでみてください。
まとめ
優しかった犬が突然凶暴になってしまうと飼い主さんはとてもショックを受けると思います。「なんでこんな子に?」「前はこんな子じゃなかったのに…」そう考える人も多いと思いますが、きっとその変化には理由があるはず。不安や痛みや恐怖などを言葉で伝えられない犬たちは攻撃行動でそれらを遠ざけ解決しようとすることもめずらしくありません。まずは何に対していつ凶暴性を見せるのか犬の様子をしっかりと観察し、その原因を探ることから始めましょう。原因が見つかれば解決の糸口もきっと見えてくるに違いありません。