ご褒美のNGタイミング①「おやつで気を引こうとする」
「おやつで愛犬の気を引き、指示に従うように仕向ける」はNGです。おやつを見せなければ指示に従うことができない犬になってしまいます。これでは、いざという時に飼い主さんの指示に従うことができず、思わぬ怪我や事故の原因を作ってしまうからです。たとえば、リードが外れて走り出してしまった時。おやつがなくても、飼い主さんからの“止まれ”や“戻れ”の指示に従うことができるでしょうか。おやつを見せれば戻って来る、というワンちゃんが多いかもしれません。確かに、それほど、おやつは魅力的な存在ですよね。
×おやつを見せて指示を出し、従うことができたら、おやつをあげる。
◎指示を出し、従うことができたら、(引き出しなどから)おやつを取り出し、あげる。
(◎は、先におやつの存在を知られないようにすることがポイントです。)
このように変えると良いと思います。
ご褒美のNGタイミング②「吠えるのをやめたからおやつをあげる」
電話が鳴ると吠える。来客を知らせるチャイムが鳴ると吠える。お散歩中、他の犬に向かって吠える。などの無駄吠えで悩む飼い主さんは多いと思います。おやつを見せて吠えるのをやめさせていませんか?また、音や犬に対して吠えていた犬が、吠えることをやめたからといって、ご褒美におやつをあげていませんか?「吠えるのをやめたからおやつをあげる」はNGです。“吠えれば、おやつがもらえる”と、間違った学習をしてしまうからです。犬が吠えることは本能です。飼い主さんにとってはウルサイ無駄吠えかもしれませんが、犬は理由があって吠えます。おやつを使って吠えることをやめさせられるのは一時的なものです。なぜ吠えるのかを理解し、その原因を解決してあげることができなければ、無駄吠えは一生なくなりません。
ご褒美は犬をコントロールするものではない
ご褒美を困ったときの頼りにしていませんか?愛犬の気や注意を引くために使ったり、問題行動を一時的にやめさせるために使ったりするのは、犬にご褒美をあげるべきではないNGタイミングです。ご褒美は、犬をコントロールするための道具ではないからです。犬にとってのご褒美は「思いがけず訪れた良いこと」であるとGOODです。そして、ご褒美は「おやつ」や「食べ物」ばかりではありません。飼い主さんから、頭やカラダを撫でてもらうことも、抱きしめてもらうことも、良い言葉をかけてもらうことも、ご褒美になります。大好きな飼い主さんが笑顔で嬉しそうに大袈裟に褒めてくれるだけでも、犬にとっては最高のご褒美になります。おやつを使って学習させることと、愛情を使って学習させることでは、犬の学習する力も変わってきます。
犬は思いがけず訪れた良いことを忘れない
犬は、“良い結果”や“嬉しい結果”を忘れることはありません。もし、ご褒美におやつをあげたいのであれば、おやつがもらえることを悟られないようにする必要があります。毎回毎回おやつをあげていたのでは、もう、おやつがもらえることをわかっているでしょう。おやつが入った袋を手にして指示を出したとしても、同じです。ご褒美におやつをあげるのは、ごくたまにしてみましょう。おやつの存在にも気づかれないようにしまう。そうすると、「まさか 今日は おやつがもらえるなんて♡!」と、思いがけず訪れた良い結果に、犬はとても喜んでくれます。
そもそもご褒美って必要なの?
ご褒美としておやつをあげることには、賛否両論ありますよね。おやつをあげるとごはんを食べてくれなくなる。おやつが原因で肥満になってしまった。おやつがないと言うことを聞いてくれない。などの問題が起きてしまうことがあります。おやつをご褒美として、上手く活かすことができるのであれば良いのですが、できないのであれば、おやつをご褒美とするのは、“しつけの初めのうちだけにする”など対応すると良いのではないでしょうか。私は、愛犬たちへのご褒美は、ギューッ♡と抱きしめてあげたり、思いっきり大袈裟に褒めてあげることにしています。おやつは、おやつの時間を決め、その時間にのみあげています。
まとめ
- 指示に従うように仕向けるために、ご褒美をあげる。
- 問題行動をやめさせるために、ご褒美をあげる。
- 犬をコントロールするために、ご褒美をあげる。
このようなご褒美の与え方は今すぐやめてみましょう。愛犬の行動や様子に良い変化があらわれるきっかけにすることができるかもしれません。愛犬を褒めてあげたいのであれば、おやつや食べ物ではなく、飼い主さんや家族の「愛情」で褒めてあげると良いと思います。